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グループ法人税制では・・
グループ内の寄付金は、寄付を行った法人は「全額損金不算入」となり、受領した法人は「全額益金不算入」となります。
しかし、寄附を行った法人の株主は、寄附金相当額のうち「持分割合に相当する金額」につき「利益積立金額」を調整(株式簿価修正)する必要があります
(法令9①七、119の3⑥)。

前回は、「100%子会社間での寄付金の申告書の記載方法」をまとめましたが、
今回は、「親⇒子への寄付の場合の申告書」の記載方法をまとめます。

 


1.例題

「クレア社」は、「100%子会社ビズ」に対する貸付金100の債権放棄を行い、当該債権放棄は、「寄付金」認定された。

 

201704_4-1

 


2.子会社(寄付を受ける側・ビズ社)


(1)仕訳

借方 貸方
会計 借入金 100 債務免除益 100
税務 借入金 100 受取寄付金 100
申告調整(※) 債務免除益 100 受取寄付金 100

(※)ビズ社では、会計上は「債務免除益」を計上しますが、税務上は「寄付金」認定されるため、申告調整仕訳が出てきます。
ただし、損益的なインパクトはないため、別表4では、寄付金として処理した場合に生じる「受贈益の益金不算入額処理(社外流出)」だけを調整すればよいことになります。


(2)別表の記載

①別表4の記載

(所得の金額の計算に関する明細書)

区分 総額 処分
保留 社外流出
当期利益
加算 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
 ・
減算 受贈益の益金不算入額(※) 100 100
 ・

(※)別表4 16欄で減算します(社外流出)。

 

①別表5の記載

特に記載ありません。

 


3.親会社(寄付を行う側&寄付された子会社の株主・クレア社)

クレア社は、寄付を行った立場だけではなく、寄付された子会社の「株主」でもあります。
したがって、「株主としての税務簿価修正」も行わなければならない点、が注意事項です。

 


(1)仕訳

借方 貸方
会計 債権免除損 100 貸付金 100
税務 寄付金 100 貸付金 100
子会社株式 100 利益積立金 100
申告調整 寄付金(※1) 100 債権免除損(※1) 100
子会社株式(※2) 100 利益積立金(※2) 100

(※1)親会社では、会計上は「債権免除損」を計上しますが、税務上は「寄付金」認定されるため、申告調整(科目修正)が出てきます。
ただし、損益的なインパクトはないため、別表4では、寄付金として処理した場合に生じる「寄付金の損金不算入額処理(社外流出)」だけを調整すればよいことになります。

(※2)税務上は、寄付金部分につき子会社株式の「簿価修正」仕訳を行います。
寄付の分、各子会社の純資産が増減している点を反映し、子会社株式の「税務簿価」を修正するイメージです。
詳しくは、グループ法人内取引の取扱いをご参照ください。

 


(2)別表の記載

①別表4の記載

(所得の金額の計算に関する明細書)

区分 総額 処分
留保 社外流出
当期利益
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
仮計
寄付金の損金不算入額(加算)(※1) 100 100

(※1)別表4 26欄で加算します(社外流出)

 

別表5の記載

(利益積立金の計算に関する明細書)

区分 期首 当期中の増減 差引
利益準備金
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
子会社株式(※2) 100 100
繰越損益金(※3) △100 △100

(※2)子会社株式の純資産増減に対応して、子会社株式の簿価調整(利益積立金)を行います。この簿価修正は、「税効果会計」の対象となります。

なお、この簿価修正は、別表4とは連動していないので、別表5に直接入力する必要があります。
(※3) この欄は、申告調整ではなく、元々計上済の「会計上の繰越利益」を表示しています(申告調整と区別するために、斜体で表示)。

(資本金等の額の明細書)

特に記載ありません。

 


(3)ご参考

参考に、親会社の別表4の記載方法を、もう一つ記載しておきます。

「別表5との整合性を重視した記載方法」です。この方法では、別表4と別表5が連動しますので、別表5に直接入力する必要がなくなります。

 

(所得の金額の計算に関する明細書)

区分 総額 処分
保留 社外流出
 当期利益
加算 ・・・ ・・・ ・・・
債権免除損(※1) 100 100
減算 寄付金(※1) 100 100
仮計 △100
寄付金の損金不算入額(加算)(※2) 100 100

(※1)会計上の仕訳を「債権免除損」から「寄付金」に振り替える調整です。
この調整を入れることにより、加算欄の「債権免除損」100は、別表5に自動入力されます。
一方、減算欄の「寄付金」100は社外流出で入力しますので、別表5には転記されません。

(※2)別表4 26欄で加算します(社外流出)
 
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