起業/IPO - Creabiz|公認会計士が運営する経営サポートメディア https://www.creabiz.co.jp 説明 Fri, 04 Aug 2023 00:32:26 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 No237.上場準備チームの具体的な役割・作業内容・求められるスキル https://www.creabiz.co.jp/ipo/0012.html/ Sun, 28 Feb 2021 15:00:13 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11723 上場準備の期間は最低でも「3年程度」かかります。 社内管理体制や規定の整備、開示書類の作成、資本政策、証券会社・監査法人対応など、範囲は多岐にわたります。 また、部門横断的な作業も多くなるため、通常は「上場プロジェクトチ […]

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上場準備の期間は最低でも「3年程度」かかります。
社内管理体制や規定の整備、開示書類の作成、資本政策、証券会社・監査法人対応など、範囲は多岐にわたります。
また、部門横断的な作業も多くなるため、通常は「上場プロジェクトチーム」を発足し、当該チームを中心に上場準備の作業を進めていきます。
 
今回は、「上場準備チーム」の作業内容や、具体的役割・求められるスキルをまとめます。



1. 上場準備作業一覧

上場準備にかかる作業を一覧すると、おおむね以下となります。
「上場準備チーム」は、これらを統括し、各部門への指示・調整機能を果たすことになります。

  • 証券会社・監査法人の対応窓口
  • 各部門への指示、調整および進捗管理
  • 中期経営計画の策定・予算制度の整備
  • 資本政策案の策定
  • 社内管理体制の整備・主要業務フロー見直し・フローチャート作成
  • 社内規程・社内重要書類の整備
  • 会計制度・上場会社の会計基準への移行
  • 関係会社の整備・関連当事者等との取引の見直し、整備
  • 上場申請書類の作成(Ⅰの部・Ⅱの部・有価証券届出書等)
  • 証券会社・取引所審査の際の「質問回答書」の作成



2. 上場準備チームのメンバー

申請直前事業年度末の3期前ないし2期前までにチームを発足することが多いです。

最高責任者 通常は「社長」が責任者となります。
IPOに関する全体経営方針・戦略策定、判断⇒IPO責任者への指示を行います。
IPO責任者 最高責任者からのIPO経営方針にもとづき、IPO全般の指揮をとります。
対外的には、監査法人や証券会社の窓口となり、社内的には部署間の調整の役割を担います。
IPO担当者 IPO責任者の直下に、IPO担当者を置きます。
社内諸規程関係の作成や、予算の取りまとめ、予算実績分析・証券会社等からの質問回答書など実務を担当します。
経理部(兼務) IPOに一番多く関わる部署となります。
上場会社の基準に基づいた会計数値の作成、上場申請書類の作成等を行います。
各部門(兼務) 営業、製造、法務、人事等主要な部門でIPO業務を兼務します。
営業・製造部門のIPO担当者は、売上予算・原価予算の各部署の取りまとめや、販売、購買、製造に関する内部統制の整備を行います。
法務・人事部門は、コンプライアンスの遵守状況のフォロー・ストックオプション等人事制度の構築、関連内部統制の整備などを行います。
内部監査担当者 各部署の管理状況をチェックし、会社の内部統制が有効に整備・運用されているかを確認します。
証券会社に対する回答書も一部作成します。

上場準備作業を行う担当者は、自然と、会社の内容を細部に至るまで知ることになります。
これは非常に貴重な経験になります。
そういった意味では、できれば上場準備チームは、社内人材で育成もかねて抜擢するほうが有用です。
例えば、将来の幹部候補の方などは適任かもしれません。
上場準備作業を通じてノウハウが蓄積し、将来的な会社の成長につながります。



3. 各メンバーに求められるスキル

IPO責任者 IPO責任者の役割は、社内的には、関係各部門を取りまとめ、全体作業の進捗を管理します。
一方、外部に対しては、証券会社や監査法人の窓口的な役割を果たします。
したがって、会社の業務全般を理解し、部門間調整ができる方が望ましいです。
一般的には管理担当役員がIPO責任者になるケースが多いです。
IPO担当者 IPO担当者は、IPO責任者の指示のもと、あらゆる書類を作成していきます。
したがって、高い事務処理能力が要求されます。
外部との関係では、証券会社等への質問回答書を作成しますので、論理的な回答を作成できる文章力、数値の検証能力が必要になります。
また、社内の各部門との調整機能も果たしますので、他部署との調整ができる人材が望ましいです。
経理部(兼務) 上場するにあたって、従来の税務基準の会計処理を上場会社の会計基準に移行しなければいけません。
また、「Ⅰの部」「Ⅱの部」など企業内容開示制度に基づく書類の作成も必要となりますので、税務会計の知識だけでは全く対応できません。
上場会社の経理経験者や、IPO経験者などが適任だと思われます。
各部門(兼務) 営業・製造・購買・総務・法務など、各部門から上場準備チームに参加します。
部門ごとの主要な「業務プロセス」の整備やフローチャート化、自分の部署に関連する証券会社等からの質問回答書を作成するなどの役割を担います。
また、他の部署との調整や全社における「部署」の位置づけなどを把握している必要があります。
業務内容に精通している部長、課長レベルの方が適任と思われます。
内部監査担当者 各部門の内部統制が有効に機能しているかをチェックする役割を果たしますので、全部門の業務内容に精通している担当者であることが望まれます。
また、J-SOXへの対応として、各業務フローの確認・リスクの特定など、上場会社特有の業務に対応する必要があります。
内部監査担当者も、経理担当者同様、上場会社経験者やIPO経験者が適任だと思われます。

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No234.【令和2年改正】エンジェル税制をわかりやすく解説、優遇措置の内容、確定申告の要件、対象企業は? https://www.creabiz.co.jp/ipo/0011.html/ Mon, 30 Nov 2020 15:00:55 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11640 令和2年の税制改正で、エンジェル税制の要件が緩和されました。 大きく①対象企業の拡大、②認定株式投資型クラウドファンディング事業者を通じた確認申請書類の省略措置が講じられ、ベンチャー株式への投資にかかる税制上の恩典が利用 […]

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令和2年の税制改正で、エンジェル税制の要件が緩和されました。
大きく①対象企業の拡大、②認定株式投資型クラウドファンディング事業者を通じた確認申請書類の省略措置が講じられ、ベンチャー株式への投資にかかる税制上の恩典が利用しやすくなっています。
今回は改正後の「エンジェル税制」についてまとめます。


 

1. エンジェル税制とは

エンジェル税制とは、未上場ベンチャー企業への株式投資を行った個人投資家に認められる「税務上の優遇制度」です。
ベンチャー企業への投資促進や産業活性化を目的とした制度で、「投資時点と売却時点」の両時点で優遇措置が認められる点が特徴的です。
エンジェル税制の対象は個人のみです。

 

2. 優遇措置の内容

(1) 投資時点の優遇措置(2種類)

投資時点の優遇措置は以下の2種類となり、いずれかを選択できます。
優遇措置AとBで適用条件が異なっています。

優遇措置A 優遇措置B
確定申告で控除する場所 総所得金額から控除 株式譲渡益から控除
控除額 投資額(※)– 2,000円 投資額全額

(※)上限・・総所得金額 × 40% VS 800万円のいずれか小さい方
 
株式売却益が少ない「一般的な投資家」の場合は、「優遇措置A」を適用するケースが多くなります。
一方、「株式売買を頻繁に行い、株式売却益が多い投資家」の場合は、投資額全額の控除が可能な「優遇措置B」を選択することになると思われます。


 

(2) 売却時点の優遇措置(売却損失発生の場合)

株式売却時に損失が発生した場合、以下の優遇措置を受けることができます。

未上場ベンチャー株式売却損失とその他の株式譲渡益の通算(相殺)可
①で相殺できなかった損失を、翌年以降3年損失繰越可

 
通常の「未上場株式」の場合は、「損益通算」や「損失の繰越」は認められていませんので、この点に「エンジェル税制」のメリットがあります。


 

3. 具体例

  • 未上場ベンチャー企業への投資 300万円
  • 総所得金額 600万円
  • 投資年度の他の株式売却益 800万円
  • 上記株式を投資3年後に100万円で売却(売却損200万円)。売却年度に他の「株式譲渡益」はないものとする
  • 他の要件はすべて満たしているものとする


 

(1) 投資時点

① 優遇措置Aのケース

  • 投資額:300万円
  • 上限:600万円 × 40% = 240万円 < 800万円
    ⇒ 小さい方240万円
  • 240万円 < 300万円(投資額)⇒ 上限240万円を採用
  • 控除額 = 240万円 – 0.2万円 = 239.8万円
    ⇒ 239.8万円を「総所得金額」から控除可能

 

② 優遇措置Bのケース

  • 投資額300万円 < 他の株式譲渡益800万円
    ⇒ 投資額300万円全額を「株式売却益」から控除可能


 

(2) 売却時点(優遇措置A・B共通)

売却年度の対象ベンチャー株式売却損200万円は、翌年以降3年間繰越可能


 

4. 優遇措置を受けるための確定申告

「エンジェル税制」の優遇措置を受けるには、確定申告が必要になります。
確定申告の際には、投資先の企業から交付される資料が必要となりますので、投資先のベンチャー企業から資料を取り寄せる必要があります。


 

5. クラウドファンディングを通じた投資の要件緩和

令和2年改正により、ベンチャー企業側の諸要件を確認する「事業者」として「株式投資型クラウドファンディング事業者」が加わりました。
また、「株式投資型クラウドファンディング事業者」が確認事業者となる場合、試験研究費要件等が不要となりましたので、今後は、対象企業が拡大することが見込まれます。


 

6. まとめ

最近は、「クラウドファンディング」の台頭により、未公開株式への投資は容易になっています。
また、今回の改正により、確認事業者に株式投資型クラウドファンディング事業者が加わったことで、「エンジェル税制」の活用機会は増えていくことが想定されます。
ベンチャー企業への投資は、一定のリスクはあるものの、将来的には、大きなキャピタルゲインを得られる可能性もあります。
今回の「エンジェル税制」による所得税節税メリットも踏まえ、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか?


 

7. (ご参考)投資を受けるベンチャー企業の適用要件

ベンチャー企業すべてがエンジェル税制の対象となるわけではありません。
優遇措置A,Bそれぞれ「対象企業の要件」が定められています。
投資した年度の「設立経過年数」に応じた要件が定められています。


 

(1) 優遇措置A

優遇措置Aは、創業5年未満の中小企業かつ下記の要件を満たす必要があります。
 

投資時点の設立経過年数 要件
1年未満かつ最初の事業年度が未経過
  • 新事業活動従事者等要件(※1)
  • 1年未満かつ最初の事業年度が経過
  • 新事業活動従事者等要件
  • 営業キャッシュフロー要件(※2)
  • 試験研究費割合要件A(※3)
  • 1年以上~2年未満
  • 新事業活動従事者等要件
  • 営業キャッシュフロー要件
  • 試験研究費割合要件A
  • 売上高成長率要件A(※4)
  • 2年以上~3年未満
  • 試験研究費割合要件A
  • 売上高成長率要件A
  • 3年以上~5年未満
  • 試験研究費割合要件A
  •  

    (※1)新事業活動従事者等要件

      新事業活動従事者等が2人以上かつ常勤役員・従業員の10%以上

    (※2)営業キャッシュフロー要件

      直前期までの営業キャッシュフロー赤字

    (※3)試験研究費割合要件A

      試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の5%超かつ直前期までの営業キャッシュフロー赤字

    (※4)売上高成長率要件A

      売上高成長率が25%超かつ営業キャッシュフロー赤字


     

    (2) 優遇措置B

    優遇措置Bは、創業10年未満の中小企業かつ下記の要件を満たす必要があります。
     

    投資時点の設立経過年数 要件
    1年未満かつ最初の事業年度が未経過
  • 新事業活動従事者等要件(※1)
  • 1年未満かつ最初の事業年度が経過
  • 新事業活動従事者等要件
  • 試験研究費割合要件B-1(※2)
  • 1年以上~2年未満
  • 新事業活動従事者等要件
  • 試験研究費割合要件B-1
  • 売上高成長率要件B(※3)
  • 2年以上~5年未満
  • 試験研究費割合要件B-1
  • 売上高成長率要件B
  • 5年以上~10年未満
  • 試験研究費割合要件B-2(※2)
  •  

    (※1)新事業活動従事者等要件

      優遇措置Aと同様、新事業活動従事者等が2人以上かつ常勤役員・従業員の10%以上

    (※2)試験研究費割合要件B

    B-1 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の3%超
    B-2 試験研究費等(宣伝費、マーケティング費用を含む)が収入金額の5%超

    (※3)売上高成長率要件B

      売上高成長率が25%超(キャッシュフロー赤字の要件はない)

    (※)優遇措置Aとの大きな違い

      「営業キャッシュフロー赤字」が不要である点です。


     

    8. 参照URL

    (中小企業庁) エンジェル税制のご案内・仕組み

    https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/angel/index2.html

    (中小企業庁)エンジェル税制の対象要件

    https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/chiiki/angel/subject/index2.html


     

    9. YouTube

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    No233.【IPOを考える方必見】IPOを目指す際に最初に実行すべき「5つの行動」 https://www.creabiz.co.jp/ipo/0010.html/ Sat, 31 Oct 2020 15:00:10 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11629 IPO(株式上場)の準備期間は、「準備着手」から「最終上場」に至るまで、一般的には少なくとも「3年程度」はかかります。 過去の自分の経験では、IPOを希望される会社のうち、実際に上場までたどり着いた会社は、全体の2~3% […]

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    IPO(株式上場)の準備期間は、「準備着手」から「最終上場」に至るまで、一般的には少なくとも「3年程度」はかかります。
    過去の自分の経験では、IPOを希望される会社のうち、実際に上場までたどり着いた会社は、全体の2~3%くらいではないでしょうか。

    IPOは簡単にできるものではない・・というのが正直な感想です。上場するためには、多くの「基準」をクリアする必要があるため、相応の「時間」や「業務量」が必要になります。
    最近は「新型コロナウィルス」の影響により、証券会社や取引所から、「上場申請取り下げ依頼」も来ているようです。
     
    今回は、IPOを目指す際、最初に実行すべき行動を「5つ」に絞って解説します。

     

     

    1. 公認会計士によるショートレビュー(予備調査)

    IPOに興味を持った場合、まず最初の行動として、ご自身の会社の財務数値を第三者に評価してもらう作業となります。
    具体的には、公認会計士に「ショートレビュー」を依頼し、会社の「決算数値」の内容を確認してもらいます。
     
    「ショートレビュー」とは、第三者が会社の「決算数値」を調査し、会社の現状把握、上場に向けて解決すべき課題、上場会社の会計基準(あるべき数値)との乖離を調査する作業です。
    財務調査とも呼ばれ「調査した結果」については、一般的に「レポート」が提出されます。
     
    このレポートをもとに、実際に株式上場をめざすかどうか?の意思決定を行います。現実的には、この「ショートレビュー」で、想定外の論点が発見される会社がほとんどで・・この時点で、IPOをあきらめてしまう会社も多いです。
    例えば、会計基準変更に伴う数値修正(退職給付債務や税効果会計など)や、内部統制の整備不備など・・従来の税務をベースとした経理処理では「想像すらしていなかった論点」を指摘され、大幅な損失の計上を余儀なくされる場合がほとんどです。

     

    2. 市場の決定・外部利害関係者の承諾

    ショートレビューが無事終わり、IPOを目指そう!と決定したら、まずはどの市場をめざすか?を決定します。
    企業規模や業務内容、会社の成長性などによって、ゴールとなる「株式市場」は異なってきます。
     
    また、株式上場を目指すことは、良くも悪くも、会社を取り巻く「利害関係者」に非常に大きな影響を与えます。
    例えば、既存株主の立場では、上場を見据えた「資本政策」により、持株比率の調整が行われるとともに、上場時に株式を「市場に売出し」することで、保有株式数が大幅に減少する可能性があります。
     
    また、メインバンクの立場では、上場準備コストによる財務数値インパクトは、「自己査定」や「融資審査」に影響がありますし、会社から「新たな資金調達への協力」なども要請される可能性があります。
    したがって、これらの「利害関係者」に対して、あらかじめ「上場準備を進める旨」につき、事前に了承を得ておく必要があります。

     

    3. 公認会計士・監査法人の選定

    IPO(株式上場)するためには、上場を申請する「直前2期間」の決算書につき、公認会計士による監査証明書が必要となります。
    監査証明書とは、「会社の決算書が適正である、という第三社のお墨付きの意見」のことです。
    監査証明書をもらうには、上場会社で要求されている「一般に公正妥当と認められた会計基準」での会計処理に準拠する必要があります。
    ここのハードルは・・かなり高いです。
     
    なお、上場申請直前2期間には、2期前の期首も含まれますので、実質的には上場申請直前2期以前に公認会計士に依頼しておかないといけません。
    監査証明書がなければ、物理的に上場できませんので、株式上場の意思がある程度固まったら、できるだけ早い時期に、監査法人や公認会計士に「声がけ」しておくことをお勧めします。


     

    4. 上場準備チームの組成

    上場準備作業は、会社の経理・管理部門だけで完結できるものではありません。
    実現可能性の高い「事業計画」の策定が求められますので、営業部署による精度の高い「売上予算」や、生産部署による「工数・原価予算」の情報も必要になります。
    また、コンプライアンス・人事制度構築の面では、法務・人事部なども関連します。
     
    つまり・・IPO準備作業は、経理・管理部門にとどまらず「全社に横断するプロジェクト」となります。
    上場準備作業を開始する際には、全部署を取りまとめる「上場プロジェクトチーム」を発足し、当該チームが主体となってIPO準備を進めていくことになります。
    一般的に、当該プロジェクトチームの責任者は、「社長」や「管理担当取締役」が就任する場合が多いです。


     

    5. 主幹事証券会社の選定

    主幹事証券会社は、上場にあたっての手続サポート全般を担います。
    特に、事業計画の策定(ビジネスプラン策定も含む)は、上場申請自体の可能性や、上場時の株価に直接影響する項目ですので、証券会社のサポートは非常に重要になります。
    証券会社の役割は、事業計画策定支援にとどまらず、上場スケジュール・資本政策の策定、社内管理体制の整備等に関するアドバイスなど、多岐にわたります。
    上場直前期には、証券取引所の上場審査のプレチェック的な位置づけで、主幹事証券会社の「審査部」は、事前審査を行います。
    通常は、証券会社とコンサルティング契約を締結し、1年~2年程度、上場に向けた準備作業が行われます。
     

    (まとめ)

    今回は、「上場準備を検討するにあたって最初に行動すべき内容」を5つに絞って紹介しました。
    もちろん、貴社のビジネス自体が「今後成長する要素」が十分にあることが「大前提」となります。
    現実的に考えると、「IPO準備作業」は、細かなところの整備が求められ、想像以上にコストもかかりますので、一般的にはハードルが高い作業となります。
     
    したがって、個人的には、先導する社長が「どこまでIPOに対して強い思いを持っているか」「途中でくじけない真の通った気持ちがあるかどうか」で、最終的にIPOできるかどうか?は・・決まるような気がします。
    中途半端な気持ちでは「IPO準備作業」は確実に継続しません。
    まずは、自分の会社がIPOをめざす「積極的な理由・メリット」があるのか?「IPO後の自社のイメージ」など、中長期的な会社の姿を想像しながら、社長が「強い意志」を持って進めていくことが大切だと・・個人的には思います。


     

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    No221.IPOをとりまく利害関係者 https://www.creabiz.co.jp/ipo/ipo%e3%82%92%e3%81%a8%e3%82%8a%e3%81%be%e3%81%8f%e5%88%a9%e5%ae%b3%e9%96%a2%e4%bf%82%e8%80%85.html/ Sat, 28 Mar 2020 04:35:49 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11122   目次 1. 必ず関連する利害関係者 (1) 監査法人・公認会計士 (2) 証券会社 (3) 株式事務代行機関 2. その他の利害関係者 (1) VC(ベンチャーキャピタル) (2) 印刷会社 (3) コンサ […]

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    JD076
     

     

    前回、お伝えしたとおり、IPOするためには、「形式基準」「実質基準」の両方を満たさなければいけません。
    「実質基準」に関しては、自社だけで完結できるものではなく、さまざまな「利害関係者」の支援や協力が必要となります。

    上場したいからといって、自社だけで完結できるものではないんですね。
    証券取引所に持ち込む前には証券会社による審査が必要ですし、上場直前2期間は、公認会計士の監査証明が必要になります。

    今回は、IPOをとりまく「利害関係者」についてまとめます。

     

    1. 必ず関連する利害関係者

    (1) 監査法人・公認会計士

    上場するためには、上場直前2期間の決算書につき、「公認会計士による監査証明」が必要となります。
    監査証明とは、簡単に言うと、自社の決算書が適正です!という第三者のお墨付きの意見のことです。

    上場会社では、さまざまな会計基準の適用が義務付けられますので、税務の知識だけでは対応できません。
    公認会計士の役割は、会社が作成した決算書が、会計基準に照らして「適正」かどうか?を判断し、第三者として証明書を提出する役目を果たします。


     

    (2) 証券会社

    主幹事証券会社は、IPOするにあたっての「窓口的な存在」になります。
    資本政策の立案や社内体制整備のアドバイス、規程書類のチェック、上場にあたっての手続サポート、公募・売出し等を引き受けるための会社内容の審査(引受審査)などを行います。

    主幹事証券会社は、申請会社の上場にあたり、「取引所に対する推薦書」を提出します。
    したがって、まずは主幹事証券会社からOKをもらわないと、証券取引所に持ち込みすらできないことになります。


     

    (3) 株式事務代行機関

    株式事務代行機関とは、株式関係事務の円滑化のため設置が義務付けられている機関です。
    具体的には、株主名簿作成事務、議決権・配当等株主に付与する各種権利の処理、株主総会の運営指導などを行います。
    一般的には「信託銀行」が代行機関となります。

     

    2. その他の利害関係者

    (1) VC(ベンチャーキャピタル)

    ベンチャーキャピタルとは、主に未公開株に投資するファンドです。
    会社の立場では、VCから受け入れる資本は、銀行借入と異なり、返済不要な資本になりますので、資金調達ニーズがある会社にとっては大きな意味があります。
     
    一方、VCからの資本受入は、新たな株主の参入という側面もあります。
    VCがIPO会社に出資する目的は、上場後に株を売却し、キャピタルゲインを獲得することにあります。
    したがって、出資後は、株主の立場として経営指導的な役割を果たす反面、業績不振や予算未達などの場合は、必要以上に口出しをしてくることもありますので、経営陣にとってプレッシャーになる可能性もあります。


     

    (2) 印刷会社

    上場に関連する印刷会社は、「宝印刷」や「アジア印刷」などになります。
    上場会社は、有価証券報告書などの開示書類を、四半期に一度開示します。

    また、上場準備にあたっては、「有価証券届出書」「1の部」「2の部」など、莫大な量の「上場申請書類」の作成が求められます。
    印刷会社は、単にこれら開示書類の印刷業務だけでなく、記載例の提供や、簡単なチェック・アドバイスまで行ってくれます。


     

    (3) コンサルティング会社

    上場するにあたっては、内部管理体制の整備、J-SOX対応など、非上場会社では想定もしていない組織対応・内部統制構築が求められます。
    各種コンサルティング会社は、これらのノウハウに基づき、会社を指導していく役割を果たします。

    あくまで、監査法人や証券会社は、会社外の関係者ですので、実際に組織を作ったり、書類等を作成してくれるわけではありません。
    コンサルティング会社は、会社内部の人間に代わって、組織構築や、書類作成のサポートなどを行ってくれます。


     

    (4) 金融機関

    上場には莫大な資金が必要となります。
    銀行は、VCと異なり株主の立場ではありませんが、融資や、その他IPO関連情報提供などの支援業務を行います。


     

    (5) 弁護士

    IPOするうえでのリーガルチェックの役割を担います。
    上場会社は、より一層の「コンプライアンス遵守」が求められますので、弁護士は、コンプライアンス違反がないか?などを、随時に確認する役割を果たします。

    また、法的な観点で、証券会社に提出する書類や、各種規定のチェックも行ってくれます。

     

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    No220.上場申請の審査の流れと審査基準 https://www.creabiz.co.jp/ipo/220.html/ Tue, 24 Mar 2020 02:30:25 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11118   目次 1. 審査の順序 2. 審査基準 (1) 形式基準 (2) 実質基準 << 前の記事「IPOをとりまく利害関係者」次の記事「IPOのスケジュールと上場費用」 >>   […]

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    JD071
     

     
    上場に至るまでの審査には、①主幹事証券会社による引受審査と、②証券取引所による審査があります。
    取引所の審査はおおむね2~3か月かかりますが、その前の「主幹事証券会社」による引受審査も合わせると、おおむね「半年程度」はかかります。


     

    1. 審査の順序

    上場審査は、以下の順番で行われます。

    証券会社引受部の審査 ⇒ 証券会社審査部の審査 ⇒ 証券取引所の審査

     
    審査を行うにあたって、事前に、証券会社から莫大な数の「質問書」が来ます。
    会社は、これらに対する回答書を作成、提出することになりますが、ここの作業は、非常に時間や手間がかかる・・とイメージしてもらえたらと思います。
     
    その後、各役員などに対しての直接面談があり、ヒアリングが行われます。
    ヒアリングの回数は3,4回程度です。
    質問の内容は、会社の業績・予算に関するものから、関連当事者、内部管理体制に至るまで多岐にわたります。
    担当者によって質問の内容に幅はありますが、これらについて、つじつまの合った説得力のある回答をしなければいけません。

     

    2. 審査基準

    上場するためには、証券取引所が要求する審査基準をクリアしなければいけません。
    審査基準には「形式基準」と「実質基準」の2種類があります。
    証券会社は、証券取引所への推薦状を提出する立場にありますので、実質的には、証券会社が審査基準をクリアしているか?を、事前に確認していくことになります。


     

    (1) 形式基準

    形式基準とは、上場するために最低限クリアしなければならない定量的な基準です。
    数値や株数等、客観的な指標ですので、比較的イメージしやすいかもしれません。
    市場ごとに、求められる数値は異なっています。
     

    (日本取引所グループHP 新規上場基本情報より)

    新規情報基本情報


     

    (2) 実質基準

    証券取引所の審査は、こちらの「実質基準」の審査が中心となります。
    形式基準(定量基準)と別に、企業の安定性、健全性、コーポレートガバナンスの遵守性など、上場会社としての質的な面を満たしているか?を確認する基準となります。
    具体的な内容は、各市場により若干異なりますが、おおむね似たような基準となっています。
     
    「審査での重点項目」を市場別にまとめると、以下のとおりとなります。
    数値等では判定できない内容ですので、審査員の心証なども影響します。

     

    東証1部
    東証2部
    マザーズ JQ
    (スタンダード)
    JQ
    (グロース)
    企業の継続性及び収益性(※1)
    事業計画の合理性 (※2)
    企業の存続性 (※2)
    企業の成長可能性 (※2)
    企業経営の健全性・企業行動の信頼性
    コーポレートガバナンス及び内部管理体制の有効性
    企業内容等の開示の適正性 (※3)
    その他公益又は投資者保護の観点から東証が必要と認める事項 (※4)

     
    (※1)東証1部・東証2部
    企業の「継続性」や安定的な「収益性」にスポットをあてて審査されます。
     
    (※2)東証マザーズ・ジャスダック(スタンダード・グロース)
    ベンチャーなどの新興企業が多く上場している市場です。マザーズやジャスダック(スタンダード)は、どちらかというと、企業の成熟度に応じたコーポレートガバナンスや管理体制が問われます。
    上場時点でビジネスモデルが完成していない場合であっても、継続的に利益を生むことが評価されれば問題ありません。
     
    (※3)企業内容の開示の適切性を担保するため、公認会計士による監査が義務付けられます。
     
    (※4)その他必要と認める事項には、株式事務代行機関の設置、指定保管振替機関の取扱同意、株式の譲渡制限解除なども含まれます。

     

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    No219.IPOのスケジュールと上場費用 https://www.creabiz.co.jp/ipo/ipo%e3%81%ae%e3%82%b9%e3%82%b1%e3%82%b8%e3%83%a5%e3%83%bc%e3%83%ab%e3%81%a8%e4%b8%8a%e5%a0%b4%e8%b2%bb%e7%94%a8.html/ Tue, 14 Jan 2020 04:20:12 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11070     前回、「IPO市場の概要」や「メリット・デメリット」をお伝えしましたが、今回はIPOまでの「一般的なスケジュール」や「上場費用」についてお伝えします。   1. IPOまでにかかる時 […]

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    JD066
     

     
    前回、「IPO市場の概要」や「メリット・デメリット」をお伝えしましたが、今回はIPOまでの「一般的なスケジュール」や「上場費用」についてお伝えします。


     

    1. IPOまでにかかる時間

    中小企業の社長様の中には、簡単にIPOできる!と考えている方もおられますが・・
    実は・・そんなに簡単なものではありません。
     
    少なくとも、申請直前2期間分については「公認会計士による監査証明書」が必要となります。
     
    つまり・・最低2年はかかるということですね。
    平均的にかかる期間は、3~5年程度でしょうか。
     
    また、IPOするためには、公認会計士の他、証券会社や証券代行会社等、さまざまな利害関係者の協力をもとに、「社内体制の整備」を進めていかなければいけません。
     

    (日本取引所グループHP 新規上場基本情報より)

    200114creabiz2

     

    2. 上場準備にかかる費用

    上場準備費用は、外部に支払う費用だけで試算しても、おおむね50百万円程度はかかるといわれています。
    外部支払費用以外にも、社内体制整備やディスクロージャー対応等の「社内人件費」もかかってきますので、現実的には、それ以上のコストが生じます。


     

    (1) 上場までに毎年かかる費用

    上場準備に係る費用は、公認会計士への監査費用、証券会社へのコンサル費用だけでなく、社内体制整備のための人件費がかかります。
    例えば、社外取締役や社外監査役等を選任する場合は、「役員報酬」が追加で発生します。
     
    また、社内体制整備のためには、経験豊富な経理人員を採用する必要があります。
    おそらく、 IPO準備費用の中でも、社内人件費が一番高いのではないでしょうか。
    毎年3・4千万程度はかかると思われます。
     

    (上場まで毎年かかるもの)

    公認会計士の監査費用 年間 7・8百万円~
    証券会社費用 年間 10百万円~
    社内人件費 年間 30百万円~


     

    (2) 上場時にかかる費用

    上場する際には、証券取引所に審査料や新規上場料を支払います。
    以下の通りです。

    東1 東2 マザーズ JQ
    上場審査料 400万円 400万円 200万円 200万円
    新規上場料 1,500万円 1,200万円 100万円 600万円
    • 上記以外に公募・売出に係る費用 = 株式数 × 公募価格 × 1/1000

     
    上記の他、「印刷費用」や「登録免許税」など様々な費用がかかります。

    印刷費用(上場申請書類 + 届出書目論見書等) 500万円程度
    登録免許税 資本組入額 × 7/1000
    IR対応費用・払込取扱手数料・弁護士費用他 1,000万円~

     
    どうですか?
    上場するまでには、かなりのコスト負担があることがわかりますね。


     

    (3) 上場後の費用

    上場後も「社内人件費」は、引き続き発生します。
    また「監査報酬」は、一般的には上場後の方が高くなります。
    最低でも毎年10百万円程度はかかるのではないでしょうか?
    証券取引所には、毎年「上場維持費用」が発生し、「株主総会運営費用」もかかります。
     

    東1 東2 マザーズ JQ
    上場維持費用 96万~456万円 72万~432万円 48万~408万円 100万~120万円
    • 別途TDネット利用料がかかります。

     

    3. まとめ

    上場するためには、莫大な時間とコストがかかります。
     
    私は、10年ほど前まで大手監査法人で「IPO準備」の仕事に携わっていたのですが、 100社程度関与したうち・・実際IPOできたのは、2・3社程度でしょうか。
    本気でIPOを目指すのであれば、「将来の利益見込等」の形式要件はもちろんですが、上場コストや時間軸などを総合的に勘案の上、意思決定すべきだと思います。
     
    自分の経験上、社長に「上場に対する熱い思い」がないと、確実に途中でくじけると思います。
    上場準備の入り口にあたる「ショートレビュー」の際、社長に「なぜIPOを目指すのか?」という質問をするのですが、その際に「明確に回答がない」場合は・・
    正直、続かないかと思います。

     

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    【関連記事】

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    No218.IPO市場の種類とメリット・デメリット https://www.creabiz.co.jp/ipo/218.html/ Tue, 14 Jan 2020 03:50:47 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11051     最近は、日経新聞でも、日々IPO銘柄が紹介されていることが多いですね。 IPOとは「Initial Public Offering」の略、株式を上場させることです。 2009年のIPO銘柄数は […]

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    JD065
     

     
    最近は、日経新聞でも、日々IPO銘柄が紹介されていることが多いですね。
    IPOとは「Initial Public Offering」の略、株式を上場させることです。
    2009年のIPO銘柄数は19社だったのに対し、最近は毎年100社程度が上場しています(うち、マザーズが半数以上)。
     
    昔と比べると・・景気が回復したということになるのでしょうか。
    今回は「IPO市場の概要」と「メリット・デメリット」を中心にお伝えします。


     

    1. IPOとは?

    IPO(株式上場)とは、株式会社が、証券取引所に株式を上場させ、自社の発行する株式を自由に譲渡できるようにすることです。
    株式市場に上場することで、証券取引所を介して、自社株式の売買が行われるようになります。

     

    2. メリット・デメリット

    IPOすることで、会社の知名度・信頼性が向上しますので、様々なメリットを受けることができます。
    その反面「適時開示等」の事務負担増大のデメリットがあります。
    以下、法人・従業員・株主側からのメリット・デメリットをまとめます。


     

    (1) 一般的なメリット・デメリット

    メリット デメリット
    法人
    • 知名度・信頼性向上による新規取引の増加
    • 資金調達(増資・新規借入)が容易になる
    • 人材採用の質が向上
    • 経営体制や社内環境の改善
    • 企業情報開示の負担増
    • コスト負担増(上場維持費用、監査報酬他)
    • 株を自由に売買できるため、買収リスクの発生
    • 外部株主等のプレッシャーにより、意思決定の自由度が制約
    従業員
    • ストックオプション等付与による報酬増加・労働意欲の向上
    • 上場会社肩書によるモチベーションの上昇
    • 内部管理体制整備による福利厚生環境の改善
    • 内部管理が厳しくなり、人によっては窮屈に感じる方もいる
    株主
    • 創業者利潤の確保
    • 流動性増加により、現金化が容易となる
    • 株価上昇による資産価値の増加
    • 親族経営による事業承継は困難になる


     

    (2) 個人的に考えるメリット

    上記は、一般的に言われているメリット・デメリットですが・・
    個人的には、IPOによる最大のメリットは、「IPO準備過程で従業員が自分の会社をより深く知ることができる」点だと思っています。
     
    IPO準備をしていく中では、さまざまな「社内管理体制」を構築していきます。
    こういった機会は、普段の業務ではなかなか経験することができません。
    IPO準備を進める過程で、従業員は、普段あまり携わっていなかった業務や、会社の社内管理体制、あるべき内部統制などを自然に把握、理解していくことになります。
    従業員が自分の会社を深く知ることになれば、経営への興味、リスクの把握、会社への愛社精神など、さまざまなメリットが生まれる可能性があります。
    ここに一番大きなメリットなのかな?と、個人的には考えています。

     

    3. IPO市場の種類

    (1) 国内市場は4か所

    一般投資家が株式を売買できる市場は、国内で4か所あります(東京、名古屋、札幌、福岡)。
    かつての「大阪証券取引所」は、東京証券取引所と経営統合し、現在は「先物市場」のみが存在しています。


     

    (2) 「本則市場」と「新興市場」

    国内市場4か所はそれぞれ、本則市場・新興市場の2種類に分かれます。
     

    東京 本則市場 東証1部・2部
    新興市場 マザーズ
    JASDAQ(スタンダード・グロース)
    プロ向け TOKYO PRO Market
    名古屋 本則市場 名証1部・2部
    新興市場 セントレックス
    札幌 本則市場 札証
    新興市場 アンビシャス
    福岡 本則市場 福証
    新興市場 Q-Board


     

    (3) 東京証券取引所

    日本での代表的な取引所は「東京証券取引所」になります。
    東京証券取引所の内容は、以下の通りとなります。

     

    ① 東証1部(本則市場)

    国内外を代表する大企業・中堅企業が上場する日本の中心的な株式市場です。
    「東証1部」は、海外投資家も含めた国際的な市場として、市場規模や流動性においても世界のトップクラスの市場です。

     

    ② 東証2部(本則市場)

    東証1部とそん色のない大企業等が上場している市場です。
    ただし、上場の「審査基準」という点では、若干ハードルは下がるため、東証1部上場のステップとして、まずは東証2部の上場を目指す会社も多いです。

     

    ③ 東証マザーズ(新興市場)

    マザーズは、近い将来「東証1部」へのステップアップを視野に入れた成長企業向けの市場です。
    「高い成長可能性」を求められますが、規模や業種などによる制限は設けられていません。
    マザーズ上場後、多くの企業が東証1部にステップアップしています。

     

    ④ JASDAQ(新興市場)

    マザーズと近いですが、JASDAQの場合は、ある程度の事業規模と実績を有する成長企業が含まれている点が特徴です。
    ①信頼性、②革新性、③地域・国際性という3つのコンセプトが掲げられています。
    「スタンダード」と「グロース」の2種類があります。
     

    スタンダード スタンダードは、企業の「存続性」が重視されます。
    一定の事業規模と実績がある企業を対象に、純資産・利益・時価総額等の一定水準が要求されます。
    グロース グロースは、企業の「成長性」が重視されます。
    特色ある技術やビジネスモデルを有し、成長可能性がある企業が対象となります。
    純資産等の形式基準はなく、赤字企業でも、成長可能性があれば、上場が可能な点が特徴的です。

     
    マザーズやJASDAQなどの「新興市場」は、本則市場よりも、上場基準のハードルが少し下がるため、まずは新興市場を目指す会社が多いです。
     

    IPO企業の規模比較(2015年~2017年)

    200114creabiz1

     
    次回は、IPOのスケジュールや上場費用についてお伝えします。
     

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    No217.【法人成り】債務超過の個人事業主が「法人成り」する場合の会計処理/寄付金・給与課税は?のれんの計上はできるのか? https://www.creabiz.co.jp/ipo/217.html/ Wed, 11 Dec 2019 00:39:16 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=10978 規模拡大に伴い、個人事業主から「法人成り」を検討されることもあるかと思います。 「法人成り」とは、法人を設立し、個人事業主時代の「財産や債務」を新法人に移転させることを指します。   しかし、「法人成り」時点で […]

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    JD064

    規模拡大に伴い、個人事業主から「法人成り」を検討されることもあるかと思います。
    「法人成り」とは、法人を設立し、個人事業主時代の「財産や債務」を新法人に移転させることを指します。
     
    しかし、「法人成り」時点で、個人事業主が債務超過の場合など・・引き継ぐ「資産」より「負債」が多いケースもあります。こういった場合に、法人成りが認められるのか?また、法人・個人間で対価のやり取りがない場合、個人側に経済的利益が生じる結果、給与、寄付金認定されるのか?疑問に思われる方もいるかもしれません。
     
    今回は、法人成りする個人事業主が、債務超過等の場合の留意事項につきまとめます。

     

    1. 法人成りの税務上の取扱い

     

    (1)法人税・所得税上の取扱い

    法人成りに際しては、個人の資産や負債を、「売買」(事業譲渡)の形態で法人に引き継ぐ処理が多いです。
    売買の場合、税務上は原則「時価譲渡」となりますので、譲渡個人側は、資産・負債を「時価」で売却、時価 > 簿価の差額につき「所得税」が課税されます。引き継ぐ法人側も、「時価」で取得する会計処理を行います。

    ただし、土地等の場合を除き、一般的に含み益は生じないケースが多く、実務上課税関係が生じることはほぼありません。法人成りの際の課税関係に関しては、No61をご参照ください。
     

    (2)消費税上の取扱い

    法人成りは、「資産の譲渡取引」となり、他の資産の譲渡取引と同様、譲渡対象に応じて消費税課税区分が決定されます。例えば、譲渡対象が建物などの場合は、消費税課税取引、土地など課税対象外のものは、消費税非課税取引となります。
     

    2. 債務超過の場合の会計処理

     
    「債務超過」とは、「資産<負債」の状態をいいます。
    個人事業主がたとえ「債務超過等」の場合でも、法人成り自体は、設立後の「個人⇔法人」間の売買契約等に基づく財産移転取引ですので、法的には問題ありません
     

    (1)貸付金・借入金処理

    法人成りの場合は、個人法人間で対価のやり取りをしないケースが多いです。債務超過の個人が法人成りする際、「法人個人間」で、対価のやり取りをしない場合は、資産と負債の差額は、①個人側は、法人に対する「借入金」②法人側は、個人に対する「貸付金」で計上します。

    なお、資産超過の場合(資産>負債)は、上記と逆、つまり①個人側は、法人に対する「貸付金」②法人側は、個人に対する「借入金」で計上します。

     

    (2)個人側で「役員給与」や「寄付金」の可能性は?

    「法人個人間」で、対価のやり取りをしない場合、個人側は債務超過部分の債務を逃れたという点で、経済的利益が生じ、役員給与・寄付金認定が行われるのか?疑問が生じます。
    この点については、過去の判例上、債務超過の貸借差額はあくまで「借入金」であり、「役員給与」や「寄付金」にはならないとされています。
    ①現実的にお金のやり取りがない未払の段階で「寄付金処理」はできない点や、②「役員賞与」としての具体的事実関係を示す証拠書類がない場合は、役員給与の認定も難しい点が、理由として挙げられます。
     

    (3)法人側で「のれん・債務引受損失」の可能性は?

    一方で、法人側は、「法人個人間」で、対価のやり取りをしない場合、債務超過部分につき「貸付金」ではなく、「のれん」で計上できるのか?という論点があります。
    のれんとは、事業などを買収する際に、買収対象事業の「将来の超過収益力」に対して支払う金額です。税務上は5年間で損金処理が可能です。

    過去の判例上、債務超過の貸借差額はあくまで「貸付金」であり、のれん・債務引受損失としての計上は認められていません平成25年7月19日裁決)。理由は以下の通りです。
     

    のれん不可 単純に個人の債務超過の状態を、ゼロ円で法人に引き継いだ「形式変更」にすぎず、実態は全く変わっていないため、営業権のような財産的価値(超過収益力)が発生するとは考えにくい。
    債務引受損失不可 通常、債務引受は、債務者(個人)と引受人(法人)の重畳的債務引受(※)となり、仮に引受人が債務を返済した場合は、引受人⇒債務者に対して「求償権」が生じるため、「債務引受」の事実をもって「損失が確定した」とは言えない。(= 税務上は「債務確定」していない)

    (※)【重畳的(並存的)債務引受とは?】
    従来からの債務者はそのまま残留し、新債務者が加わり、両者が並んで債権者に対し責任を負う契約。
    債権者と引受人の同意でのみなされ、特段の事情がない限り、債務者と引受人との関係は、連帯債務関係を生ずるものとされ、引受人が債務を弁済した場合、引受人は債務者に対して求償権を有する。
     

    3. 債務超過の場合の仕訳例

    • 個人事業主(資産5,000、負債10,000)が、法人成りにより、資産・負債をすべて、新法人に売買(事業譲渡)で移管する。
    • 譲渡代金はゼロ円とし、譲渡時に対価の授受は行わない。
    • 資産・負債とも簿価=時価とし、資産はすべて消費税課税資産とする。
    • 個人事業主は課税事業者、新法人は免税事業者とする。

    【仕訳】

    借方 貸方
    個人側 負債(時価) 10,000 資産(時価) 5,000
    仮受消費税(※2) 500
    法人借入金(※1) 4,500
    法人側 資産(時価) 5,500 負債(時価) 10,000
    役員貸付金(※1) 4,500

    (※1)資産負債差額は、個人側は「法人借入金」、法人側は「役員貸付金」を計上します(のれんは×)
    なお、簿価 = 時価の場合、個人側に所得税・法人側に法人税はかかりません。

    (※2)資産の譲渡取引となり、「消費税課税取引」となります。
    なお、課税対象となる取引は「資産の譲渡等」であり借入金(負債)の譲渡は消費税課税対象となりません(消法4条)。ただし、消費税の課税標準の計算において、代物弁済による消滅する債務の金額は、受け取った金銭の額に加算します(消施令45②)。したがって、消費税課税標準は5,000(△5,000+10,000)となります。(平成20年12月15日裁決
     

    4. 債務超過の個人が法人成りする場合の留意事項

    (1) 金融機関の承諾

    銀行借入金がある場合は、勝手に「借入金」を法人に移管することはできません。
    関連金融機関等の承諾を得て、借入金を移管(債務者変更)する必要があります。
     

    (2) 新法人で貸付金が計上される

    法人側では、設立当初から「個人への貸付金」が計上されるため、関連金融機関から見た場合、決算書の見栄えが悪くなります。ただし、銀行主体で法人成りするケースも多く、貸付金の計上は予想されているケースは多いです。
     

    5. Youtube

     
    YouTubeで分かる「法人成り」

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    No167.株式交付信託とは? https://www.creabiz.co.jp/ipo/%e6%a0%aa%e5%bc%8f%e4%ba%a4%e4%bb%98%e4%bf%a1%e8%a8%97%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f.html/ https://www.creabiz.co.jp/ipo/%e6%a0%aa%e5%bc%8f%e4%ba%a4%e4%bb%98%e4%bf%a1%e8%a8%97%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f.html/#respond Thu, 14 Dec 2017 01:18:14 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=8134   目次 1. 株式交付信託って何? (1) メリット (2) 税務上の取扱い (3) 役員報酬の損金算入の規定 << 前の記事「債務超過の個人事業主が「法人成り」する場合の留意事項」次の記事「リス […]

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    1. 株式交付信託って何?

    会社が、信託銀行(受託者)に金銭を信託し、当該金銭を原資に信託銀行が市場から株式を取得して、役員等に株式を付与するものです。
    一般的に、「株式交付信託」と呼ばれる場合は、役員を対象とした「株式報酬」として位置づけられるものを指します(従業員の福利厚生の一環として、信託を通じて従業員に株式を付与するものは、「日本版ESOP」と呼ばれます)。

    株式自体が付与される点でリストリステッドストック(譲渡制限付株式)と共通しますが、値上がり益だけを享受するストック・オプションとは特徴が異なります。
    業績や在任期間等に応じて「ポイント」を付与し、ポイントに応じて株式を付与する方法が一般的です。

     

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    (1) メリット

    業績達成度合いなどで、役員が取得する株式取得数などが変動する点で、役員側に業績向上のインセンティブが働くことになります。


     

    (2) 税務上の取扱い

     

    法人側 従業員側
    設定時・拠出時 損金 ×(※1) 課税なし
    信託株式取得時 損金 ×(※2) 課税なし
    役務提供時 損金 × 課税なし
    株式交付時 損金 ○(※3) 給与所得(在籍時)・退職所得課税(※3)
    株式譲渡時 損金 × 譲渡所得課税

    (※1)委託者である企業が「信託の変更をできる権限を有する」場合には、企業が「受益者」とみなされ、設定時・拠出時には、特段の課税関係は生じない

    (※2)税法上は自己株式の取得となる。
    なお、市場購入のため、会社に売却した株主側でみなし配当は生じない(譲渡所得のみが生じる)

    (※3)この時点で、役員が株式交付信託の受益者として確定し、法人側は損金算入が可能、役員側は給与所得あるいは退職所得として課税される。


     

    (3) 役員報酬の損金算入の規定

    税制改正により、株式交付信託は「役員給与税制」の対象とされ、他の金銭報酬と同様の整備が行われました。
    株式交付信託は、「事前確定届出給与」、か「一定の利益連動給与」に該当する場合に「損金算入」が認められることになります。(退職金として支払う場合は、従来通り損金算入可)。

     

    給与所得 「事前確定届出給与」か「一定の業績連動給与」に該当する場合、損金算入可
    退職所得 原則損金算入可

     

    一般的には、役員の退職金代わりに「株式交付信託」を活用するケースが多いと思いますが、例えば、「信託時」や「設定時」に、確定した株式数を交付するという件を整備すれば「事前確定届出給与」でも損金算入が可能です。

     

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    1. どんなもの?

    譲渡制限の付された株式を「株式報酬」として交付するものです。
    従業員や役員等に対して、「無償でリストリステッドストック(以下「RS」と略します)を交付し、一定期間の業績達成度合等を条件に、将来的に譲渡制限が解除され、株式を譲渡することで利益を得ることができる仕組みです。

     

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    2. メリット

    ① 法人側

    • キャッシュアウトなく、株式で報酬を与えることができる。
    • 譲渡制限期間は、従業員に業績向上のインセンティブを与えることができる。

    ② 役員・従業員

    株式報酬として付与されるため、株式価値全額につき、金銭報酬と同様のメリットを享受する。


     

    3. ストックオプションとの違い

    ストック・オプションは、「権利付与時から行使時」までの値上がり益が報酬となるのに対し、RSは、株式自体を付与することから、株式価値全体が報酬となります。
    ですので、株価が下落しても、一定の利益を得ることが可能です。


     

    4. 税務上の扱い

    RSの活用を促進するため、会社法及び税制が整備されました。
    税法上は、「特定譲渡制限付株式」という概念の導入とともに、以下の取扱いがされます。

    ① 法人税

    特定譲渡制限付株式を交付した場合、給与等課税事由の生じた日(=無償取得しないことが確定した日)に損金算入可
    (法法54)

    ② 所得税

    特定譲渡制限付株式の交付を受けた個人の各種所得の収入時期は、交付日ではなく、譲渡制限が解除された日
    (所令84①)

     

    法人側 従業員側
    付与時 損金 × 課税なし
    給与等課税確定日・
    譲渡制限解除時
    損金 ○ 給与所得・退職所得
    譲渡時 損金 × 譲渡所得


     

    5. 特定譲渡制限付株式とは?

    • 一定期間の「譲渡制限期間」が設けられている株式
    • 法人による無償取得(没収)事由が定められていること
      (勤務条件又は法人の業績条件が達成されないことなど)。(※)
    • 役員等から役務提供を受ける会社又はその完全親会社の株式であること
    • 役務提供の対価として交付される株式である
      (※)無償取得される株式数が、業績等に連動する内容のものは「損金不算入」


     

    6. 付与対象者が役員の場合

    RSの付与対象が「役員」の場合は、「役員報酬の損金算入」の規定に留意しなければいけません。
    税制改正により、RSは「役員給与税制」の対象とされ、他の金銭報酬と同様の整備が行われました。
    RSは、「事前確定届出給与」か「一定の業績連動給与」に該当する場合に「損金算入」が認められることになります
    (退職金として支払う場合は、従来通り原則損金算入可)。

    (ご参考~事前確定届出給与の要件~)

    • 市場価格のある株式又は市場価格のある株式と交換される株式
      (適格株式・法34条1項2号ロ)

    なお、将来の役務の提供に係るものとして「政令で定める要件」を満たすものは、「事前届出」が不要になります。(法34条1項2号イ)

     

    (事前届出不要の要件)

    • 職務執行開始日(株主総会)から1 カ月以内に、取締役会等で所定の時期に確定した数のRSを交付する」旨を決議
    • 上記決議から1 カ月以内に、「特定譲渡制限付株式」を交付

    「譲渡制限付株式」の交付時点で支給額が確定しているものですね。
    支給後に報酬債権の額が変動する場合や、無償取得株式数が業績等に連動するものは「事前確定届出給与」の要件を満たしません(パフォーマンスシェアとしての性格のもの)。

    なお、H29年税制改正により、「譲渡制限がない株式」を交付するタイプの報酬についても「事前確定届出給与」「定期同額給与」に該当すれば損金算入が可能となりました。



     

    7. 参照URL

    (経済産業省~インセンティブプラン導入の手引)

    https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210607001/20210607001-1.pdf

     

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