DR018

 

前回は、同族会社でかつ「特定同族会社」と判定されるケースを、具体例を用いて説明しました。

今回は、前回と逆パターン。
同族会社には該当するが、「特定同族会社」には該当しないケースを2つ、具体例を用いて説明します。


1. 特定同族会社の要件

おさらいになりますが「特定同族会社」に該当する要件をまとめると、以下のようになります。
すべての要件を備えた場合に、「特定同族会社」となります

要件 内容
要件1 同族会社 上位3株主グループで、持株割合が50%超となる会社
要件2 被支配会社 上位1株主グループで、持株割合が50%超となる会社
要件3 一定の会社 判定会社の上位1株主グループに、「被支配会社でない法人株主」が含まれる場合、この法人株主を除外しても、判定会社が被支配会社となる会社

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2. 事例1~「被支配会社」に該当しないケース~

クレア社は、留保金課税が適用される「特定同族会社」に該当するでしょうか?

  • クレア社(発行済株式総数10,000株、資本金1億円超)
  • 株主構成
株主名 保有株式数 持株割合 摘要
甲(個人) 3,000 30% 筆頭株主(※)
乙(個人) 2,000 20% (※)
丙(個人) 500 5% (※)
その他一般多数株主(合計) 4,500 45% (※)
合計 10,000 100%

(※)各株主間で「特殊の関係のある個人及び法人」に該当するものはありません。
(簡略化のため、以下、「特殊の関係のある個人及び法人」は、「同族関係者」と略します)

(1) 要件1 同族会社に該当するか?

⇒上位3株主グループで、持株割合が50%超となるか?
株主間で、同族関係者は存在しませんので、単純に上位3株主の合計
3,000(甲) + 2,000(乙) + 500(丙) = 5,500株(55%)
⇒要件1を満たし、「同族会社」に該当します。

(2) 要件2 被支配会社に該当するか

⇒上位1株主グループで、持株割合が50%超となるか?
クレア社は、第1順位株主グループ(甲)には30%しか保有されていません。
したがって、要件2を満たさず、「被支配会社」に該当しません。
(甲の同族関係者もいないため)

(3) 結論

要件3を検討するまでもなく、「特定同族会社」に該当しません。


3. 事例2~「一定の会社」に該当しないケース~

クレア社は、留保金課税が適用される「特定同族会社」に該当するでしょうか?

  • クレア社(発行済株式総数10,000株、資本金1億円超)
  • 株主構成
株主名 保有株式数 持株割合 摘要
A社(法人) 6,000 60% 筆頭株主(※1)(※2)
甲(個人) 2,000 20% (※2)
乙(個人) 1,500 15% (※2)
その他一般多数株主(合計) 500 5% (※2)
合計 10,000 100%

(※1)A社の株主は、少数株主多数であり、「被支配会社」ではありません。
(※2)A社、甲、乙、一般多数株主間で「同族関係者」はいません。

(1) 要件1 同族会社に該当するか?

⇒上位3株主グループで、持株割合が50%超となるか?
株主間で、同族関係者は存在しませんので、単純に上位3株主の合計
6,000(A) + 2,000(甲) + 1,500(乙) = 9,500株(95%)
⇒要件1を満たし、「同族会社」に該当します。

(2) 要件2 被支配会社に該当するか

⇒上位1株主グループで、持株割合が50%超となるか?
クレア社は、第1順位株主グループ(A社)に60%保有されているため、「被支配会社」に該当します。

(3) 要件3 「一定の会社」に該当するか?

⇒「被支配会社でない法人株主」を除外しても、クレア社は、被支配会社となるか?
法人税法67条の規定をもとに、検討します。

法人税法67条
被支配会社のうち、①被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうち被支配会社でない法人がある場合には、②当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるもの

 

内容 結果
手順1 判定の基礎となった株主等とは? 第1株主順位グループのA社。
手順2 株主等のうち被支配会社でない法人があるか?
  • A社は少数株主多数の「被支配会社でない法人」

⇒「被支配会社でない法人」がある。

手順3 当該法人を、その判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるか?
  • A社を除外して、再度クレア社が被支配会社になるかを判定する。
    再判定後の第1順位の株主は甲(個人)。
  • 甲(個人)は20%しか保有していないため、A社を除外して判定しても、単独で過半数所有する株主はいないため、クレア社は「被支配会社」にはならない。

⇒要件3を満たさず、「一定の会社」に該当しません。

(4) 結論

クレア社は、「特定同族会社」に該当しません。

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