DR024

 

 

留保金課税が適用される会社は、同族会社でかつ「特定同族会社」となります。
前回まで、具体例を用いて「特定同族会社と判定されるケース」・「判定されないケース」をまとめました。

今回は、少し違った観点で、100%子会社・100%孫会社と「特定同族会社」の関係について、具体例を用いて説明します。


1. 特定同族会社の要件

おさらいになりますが「特定同族会社」に該当する要件をまとめると、以下のようになります。
すべての要件を備えた場合に、「特定同族会社」となります

要件 内容
要件1 同族会社 上位3株主グループで、持株割合が50%超となる会社
要件2 被支配会社 上位1株主グループで、持株割合が50%超となる会社
要件3 一定の会社 判定会社の上位1株主グループに、「被支配会社でない法人株主」が含まれる場合、この法人株主を除外しても、判定会社が被支配会社となる会社

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2. 事例

 

  • P社、S1社、S2社は、P社を頂点とした100%グループ会社
  • P社自身は、少数株主多数、単独で過半数所有している株主はいない。
  • 全ての会社の資本金は、1億円超とします。
  • P社、S1社、S2社、それぞれ留保金課税が適用される会社か?判定しましょう。

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3. P社


(1) 要件1 同族会社に該当するか?

⇒上位3株主グループで、持株割合が50%超となるか?
P社は、株主多数(単独で過半数所有はいない)のため、要件1を満たさず、「同族会社」に該当しません。

(2) 結論

P社は「同族会社」に該当しないため、「留保金課税」の適用はありません


4. S1社(子会社)


(1) 要件1 同族会社に該当するか?

⇒上位3株主グループで、持株割合が50%超となるか?
S1社は、P社に100%保有されているため、要件1を満たし、「同族会社」に該当します。

(2) 要件2 被支配会社に該当するか?

⇒上位1株主グループで、持株割合が50%超となるか?
S1社は、P社に100%保有されているため要件2を満たし、「被支配会社」に該当します。

(3) 要件3 「一定の会社」に該当するか?

⇒「被支配会社でない法人株主」を除外しても、S1社は、被支配会社になるか?
法人税法67条の規定をもとに、検討します。

法人税法67条
被支配会社のうち、①被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうち被支配会社でない法人がある場合には、②当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるもの

 

内容 結果
手順1 判定の基礎となった株主等とは? 第1株主順位グループのP社。
手順2 株主等のうち、「被支配法人でない法人」かあるか? P社は少数株主多数の「被支配会社でない法人」
⇒「被支配会社でない法人」がある。
手順3 当該法人を、その判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるか?
  • P社を除外して、再度S1社が被支配会社になるかを判定する。再判定後の第1順位の株主はなし。
  • P社を除外して判定しても、単独で過半数を所有する株主はいないため、S1社は「被支配会社」にはならない。

⇒要件3を満たさず、「一定の会社」に該当しません。

(4) 結論

S1社は、「特定同族会社」に該当しないため、「留保金課税」の適用はありません。


5. S2社(孫会社)


(1) 同族会社に該当するか?

⇒上位3株主グループで持株割合50%超となるか?
S2社は、S1社に100%保有されているため要件1を満たし、「同族会社」に該当します。

(2) 要件2 被支配会社に該当するか?

⇒上位1株主グループで、持株割合が50%超となるか?
S2社は、S1社に100%保有されているため要件2を満たし、「被支配会社」に該当します。

(3) 要件3 「一定の会社」に該当するか?

⇒「被支配会社でない法人株主」を除外しても、S2社は、被支配会社になるか?
法人税法67条の規定をもとに、検討します。

法人税法67条
被支配会社のうち、①被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうち被支配会社でない法人がある場合には、②当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるもの

 

内容 結果
手順1 判定の基礎となった株主等とは? 第1株主順位グループのS1社。
手順2 株主等のうち、「被支配法人でない法人」かあるか? S2社はS1社に100%保有されているので、「被支配会社」
「被支配会社でない法人」はない。
手順3 当該法人を、その判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも被支配会社となるか? 除外する株主はいないため、手順2で終了。

⇒被支配会社となる

⇒要件3を満たし、「特定同族会社」に該当します。

(4) 結論

S2社は、留保金課税の適用が行われる「特定同族会社」となります。
・・・という結論がでそうですけど・・

(5) 結論の・・くつがえし

実は・・法人税基本通達16-1-1で、「被支配会社でない法人の直接又は間接の被支配会社は、すべて被支配会社でない法人に含まれる」・・という規定があるんです。
結局、上記例だと、S2社は、被支配会社でない法人(つまりP社)に間接的に支配(S1を通して)されている被支配会社ですので・・
結論・・S2社には留保金課税の適用はない
ということになります。

最後にどんでんがえしがあって・・・なんのことやらという感じですけど。。。


6. ご参考~P社が同族会社の場合のS1社

今回は、グループの一番上のP社が、株主多数である「非同族会社」を前提とした事例でした。
仮に、P社が同族会社の場合は、S1社・S2社とも「特定同族会社」になります。
上記3「S2社」と同じように判断していくと、「特定同族会社」という結論になるでしょうね。
 
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