FM104

 

 
前回、「日本から海外に支払う場合の源泉徴収の可否」についてお伝えしましたが、
今回はその逆・・海外から入金時に差し引かれる「源泉所得税」の論点です。
 
前回テーマ「日本から海外に支払う」場合は、「日本の所得税」を源泉徴収するものですが、
今回の「海外から日本に入金時に源泉徴収される税金」は、日本の所得税ではありません。
差し引かれるのは、あくまで「外国現地の税金」である点が、大きく異なります。
 
日本から海外に支払う場合は「日本の税金」を源泉する。
逆に、海外から入金がある場合は、現地の税金が源泉される。
と考えると・・分かりやすいかもしれませんね。



 

1. 源泉徴収の対象となる海外入金取引は?

海外からの入金取引すべてが「源泉徴収」の対象になるわけではありません。
多くの現地国では、「現地で何らかの所得が発生している場合」に源泉徴収が必要となります。
 
例えば、海外子会社が、日本国内親会社のライセンスを利用している場合は、現地で何らかの所得が発生しているため、海外現地で「現地の税金」を納める必要があります。
 
190415creabiz2_1



 

2. 具体例

源泉徴収の対象は「海外現地の税金」ですので、現地国によって取扱いが異なります。
一般的に、ロイヤリティやライセンスフィー、コンサルティングフィー、貸付金利息などは、源泉徴収されるケースがほとんどですね。
 
海外入金取引の「源泉徴収有無」につき、具体例を列挙します。
 

種類 内容 源泉徴収の有無
輸出商品の入金 輸出元の日本業者は、海外で所得を得ていない 不要
ロイヤリティ入金(※) 使用料の支払者(債務者)の現地国で源泉所得が発生 必要
コンサルティング料入金 コンサル等の支払者(債務者)の現地国で源泉所得が発生 必要
(※)
ロイヤリティは、多くの国で「債務者主義」が採用され、使用料を支払う「債務者」の居住地国で源泉徴収されます。
ロイヤリティが海外から入金される場合は、海外現地国で源泉徴収が行われることが多いです。



 

3. 源泉徴収税率と租税条約

各国により、現地の「源泉徴収税率」は異なります
ただし、源泉徴収税率は、受け取る相手先の国により、別途租税条約」で上限税率が定められている場合があります。
 
租税条約は国内法に優先して適用されますので、受けとる相手先国との「租税条約」がある場合は、租税条約の上限税率が適用されます。
多くの国との租税条約では「ロイヤリティの支払い」の限度税率は上限10%と定められています。(米国などは免税)



 

4. 日本の税金は課税される?

海外からロイヤリティ入金があった場合に差し引かれる源泉徴収税は、あくまで海外現地の税金ですが、海外からのロイヤリティ収入に、日本の税金は課税されないのでしょうか?
 
答えは・・海外現地の税金とは別に、日本の税金も課税されます。
例えば、日本に本店がある法人(内国法人)は、日本国内で得た利益だけでなく、海外で得た利益に対しても日本の法人税が課税されます。(=全世界所得課税
 
つまり、海外からのロイヤリティ入金は、現地で「外国税」が源泉徴収されるだけでなく、日本でも「全世界所得課税」の考え方から日本の法人税が課税されるんですね。



 

5. 外国税額控除による二重課税排除

上記のとおり、海外からのロイヤリティ入金の場合、海外で「外国税」が源泉徴収され、さらに日本でも課税される「国際間での二重課税」の状態となります。
 
そこで、日本の法人税上は、外国税額控除という制度により「二重課税の排除」が行われ、日本での法人税の軽減を図っています。
 

(具体例)

国内親会社から海外子会社にロイヤリティ100万円の請求を行った。

 

(日本でのロイヤリティ売上の仕訳)

借方 貸方
売掛金(入金額) 90 売上 100
仮払金等(源泉) 10
 

日本の帳簿上は売上100を計上
⇒100に対する法人税が課税される

 
190415creabiz2_2
 

<< 前の記事「為替予約(振当処理)の会計処理/税務処理」次の記事「海外に支払う場合の源泉徴収の可否」 >>