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グローバルにビジネスを展開する会社では、「海外に出張」に行くケースも多いですよね!
海外子会社の技術指導・営業支援や、管理面の指導だったり・・目的は様々ですね。

ただし、税務上は、海外子会社に出張に行く場合、出張等の費用をどちらで負担するか?という論点があります。
どちらが負担するかにより、「寄付金認定」される可能性があるという点に注意しなければいけません。

税務調査では・・意外と大きな論点となります。

 

5-1

1. 税法上の考え方


(1) 総論

親会社の立場で、子会社を支援するのは当たり前なんじゃ?と思われる方もいるかもしれません。
確かに「子会社」が利益を得れば、結果的に「親会社」も「恩恵」受けますもんね。

しかし、税法上は、たとえ「子会社」であっても、あくまで「親会社」とは別法人という考え方なんです
つまり、親会社の支援したサービスが、結果的に「子会社の経済的価値の増加」につながる場合は、子会社側で負担しないとおかしいよね?という理屈です。

確かに・・そうなんですけど。。

(2) ポイント

税務調査の調査官が参考とする「移転価格事務運営要領」というのがあります。
参考にする場合は「この規定」だと思います。抜粋すると以下の箇所です。

 

(3-9 企業グループ内における役務の提供の取扱い)
法人が国外関連者に対し・・経営・財務・業務・事務管理上の活動を行う場合において、当該活動が役務の提供に該当するかどうかは、当該活動が当該国外関連者にとって経済的又は商業的価値を有するものかどうかにより判断する。具体的には、当該国外関連者と同様の状況にある非関連者が、他の非関連者からこれと同じ活動を受けた場合に対価を支払うかどうか、又は当該法人が当該活動を行わなかったとした場合に国外関連者自らがこれと同じ活動を行う必要があると認められるかどうかにより判断する。

 

① 経済的価値の提供が行われているかどうか?

簡単に言うと、海外子会社に、経済的価値(役務)を提供していれば、寄付金認定するよ!という規定です。
ただし、経済的価値の提供は、あくまで「事実認定」ですので・・
裏を返すと、「形式的」に海外子会社に出張したからといって、すべてが否認される規定ではありません。

大切なのは、形式ではなく、「事実認定」となります。

② その活動が、客観的に対価を負担すべきものか?

例えば・・
海外子会社の利益のために「技術指導」を行う出張であれば・・?
⇒子会社は、仮に「他社」に頼んだ場合も対価を払うと思われますので、「子会社が負担すべき出張旅費」となります。

逆に・・
親会社の利益のために「技術指導」を行う場合は・・?
⇒あくまで親会社のためであり、子会社が対価を負担すべきものではない
ともいえます。

具体例とすれば・・
製造子会社に従業員を出張させて、「自社の規格に合う製品製造」のための「技術指導」はどうでしょう?
⇒「本社製品の研究開発」という側面もありますので、一概に寄付金認定される取引とも限りません。

事実認定を無視して、海外子会社への技術指導等の出張の「形式」だけをとらえて、寄付金認定されるわけではありません。

ポイントは、「子会社支援のための出張」か?「親会社のための出張か?」という点です。
「子会社のための出張と判断された親会社が負担している出張旅費」は、税法上、「寄付金認定」され、出張旅費の損金算入が否認される可能性があります。

ただし・・現実的には、どちらの法人のために行っているものなのか?という「事実認定」はかなり難しいと思われます。

2. 親会社負担・子会社負担の事例

具体的にはこんな感じでしょうか。
とはいっても、「区分があいまいなもの」は、折半するのもありだと思いますよ!

 

親会社のための出張(親会社負担) 子会社のための出張(子会社負担)
  • 株主としての活動

(総会開催、株式発行、親会社有価証券報告書作成のための活動)

  • 子会社での市場調査をもとに、他国での事業展開に活かす
  • 新製品の開発
    品質管理を調査し、新製品の開発に活かす等
  • 子会社が行う活動と重複する活動
  • 企画、技術指導、(※1)
  • 販促、経営支援(※1)
  • 内部管理面の支援(※2)
  • 子会社の要請に応じて随時役務の提供を行えるよう人員や設備等を利用可能な状態に維持するコスト

(※1)株主としての地位で行う側面もあると思われますが、「専ら株主として自らのために行うもの」と主張するのは難しいかもしれません。
(※2)子会社投資の保全を目的とする活動ですが、当該「子会社等にとって経済的又は商業的価値を有するもの」は、子会社のための部分もあると思われます。
(※)例えば、業績等の理由から子会社に請求できない場合は、「子会社支援損」の損金可否という別途論点があります。


3. 具体的な対応


(1) 文書化

① 社内規定等の作成

寄付金の論点は、あくまで「事実認定」ですので、判断が非常にあいまいです。
そのため、「海外出張旅費等」の社内ルールを文書化しておくことが望まれます。
文書化された社内ルールがあれば、エビデンスの一つとなりますので。
親会社だけでなく、子会社も含めて、当該ルールを「共通認識」しておくことも大切です。

② 「出張報告書」等の作成

親会社が旅費等を負担する場合、「出張報告書」などで、出張目的などを明確に記載しておきます。
また、出張期間に応じた「人件費」を請求する場合も、根拠となる数字の元となる「客観的な資料」を残しておきます。
「子会社支援」ではないことを証明するためのエビデンスになります。

(2) 全額を「親会社負担」にしない

実務上は、いろいろなコストが発生すると思われますので、すべての取引を文書で規定するのは「現実的」ではありません。
また、正直・・海外出張のコストにつき、子会社が、「全く利益を得ていない」と全面主張するのは、ハードルが高い気がします。

あくまで私見ですが・・親会社から子会社に対価を全く請求しない処理よりは、一部だけでも請求している方が理屈は通りやすいかもしれません。
なぜなら、この場合は負担割合の論点になりますので、税務当局が覆すには、少し力がいるところですので。

4. 会計処理/税務処理


(1) 会計上の取扱い

科目は、人件費や交通費のマイナスよりも、「雑収入」等に計上するのが一般的です。


(2) 申告上の取扱い

  • 子会社に請求したコストは、「サービスの対価」ですので、消費税上の「課税売上」となります。
  • 法人税上は、「国外関連者に関する明細書(別表17-4)」に記載します。


5. 最後に

実は、今回の論点は、「国際税務の問題」というよりも、国内グループ会社間でもよくある「親子間寄付金」の問題の一種なんです。
どちらの法人の利益になるか?という「事実認定」で損金算入が問題になるのは、何も国際税務の場面だけに限られません。

つまり、「国外関連者への寄附金」の論点は、「国内子会社への寄付金と同じ論点」と考えても問題ありません。

最後に繰り返しますが・・
大事なのは、今回の出張が、自らのためなの?先方のためなのか?(自らの役務を他に提供しているものか)という点です。

 

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