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国際税務では、個人の場合は「居住者と非居住者」の区分、法人の場合は、「内国法人と外国法人」の区分が大切となります。
非居住者及び外国法人(以下、「非居住者等」といいます)は、「国内源泉所得」のみが課税対象となるからです。
 
また、非居住者等は、たとえ国内源泉所得があっても、事業所得については、恒久的施設(PE)を有しない限り、課税対象にはなりません。
つまり、国内源泉所得があっても、「課税対象にならないものがある」ということです。
 
そこで、今回は、非居住者等の課税対象となる「国内源泉所得」のうち、課税対象となるもの、ならないものをまとめます。



 

1. 非居住者等の「国内源泉所得」の課税対象



 

(1) 外国法人の国内源泉所得とは?(法138条。法141条)

外国法人における「国内源泉所得」は、以下の6種類となります。
まず、PEに帰属する所得を1号とし、PEに帰属しない所得は、その他(2~6号)として、2区分に分けます。
 
また、「上記2区分」は別々の課税標準として取り扱われますので、2区分間での損益通算などもできません。
 

種類 PE 内容 PEあり PEなし
1号所得 PE帰属所得 PEに帰せられる所得 課税 非課税
2号所得 PE非帰属
所得
国内資産の運用又は保有による所得 課税 課税
3号所得 国内資産の譲渡による所得 課税 課税
4号所得 国内での人的役務の提供事業の所得 課税 課税
5号所得 国内不動産の貸付による所得 課税 課税
6号所得 その他の国内源泉所得 課税 課税

 


 

(2) 非居住者の国内源泉所得とは?(所得税法161条、164条)

非居住者における「国内源泉所得」は、以下の17種類となります。
まず、PEに帰属する所得を1号とし、PEに帰属しない所得は、その他(2~17号)として、2区分に分けます。
 

種類 PE 内容 PEあり PEなし 源泉
個人 外国法人
1号所得 PE帰属所得 PEに帰せられる所得 課税 非課税 なし なし
2号所得 PE非帰属
所得
国内資産の運用又は保有による所得 課税 課税 なし なし
3号所得 国内資産の譲渡による所得 課税 課税 なし なし
4号所得 組合事業から生ずる利益の配分 課税 非課税 あり あり
5号所得 国内にある土地等又は建物等の譲渡による所得 課税 課税 あり あり
6号所得 国内での人的役務の提供事業の所得 課税 課税 あり あり
7号所得 国内不動産の貸付による所得 課税 課税 あり あり
8号所得 債権、預貯金等の利子所得 課税 課税 あり あり
9号所得 配当等の所得 課税 課税 あり あり
10号所得 貸付金利子等の所得 課税 課税 あり あり
11号所得 使用料等の所得(ロイヤリティ) 課税 課税 あり あり
12号所得 給与・報酬・年金・退職金等の所得 課税 課税 あり 非該当
13号所得 事業の広告宣伝の賞金の所得 課税 課税 あり あり
14号所得 生命保険契約等に基づく年金等の所得 課税 課税 あり あり
15号所得 定期積金等の給付補填金 課税 課税 あり あり
16号所得 匿名組合契約に基づく利益の配分 課税 課税 あり あり
17号所得 その他の国内源泉所得 課税 課税 なし なし

 


 

2. 源泉徴収 (所212条)

「国内源泉所得」の課税の仕組みは、①申告納税方式(総合課税)②源泉徴収方式(分離or総合)課税の2種類となります。
源泉徴収の有無は、同じ表になるため、上記1右側にまとめて記載しました。
 
所得税法212条で源泉徴収義務がある所得(4号~16号、外国法人は12号なし)が源泉徴収の対象となります。
 
PEの有無・帰属区分には全く関係なく、単純に、所得税法上、源泉徴収が必要な所得に該当するものは、源泉徴収が必要となります。
 

(例)非居住者に対する使用料等の対価

非居住者がPEを有する PEに帰せられる所得 1号 源泉徴収&申告納税
PEに帰せられない所得 11号 源泉徴収のみ
非居住者がPEを有しない 11号 源泉徴収のみ

 
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