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最近は、中小企業でも「国境を越えて取引」を行うことが当たり前の時代になってきましたね。
今回は、国際取引で生じた利益に対する「税金の課税方式」についてお伝えします。

税金の課税方式は、「居住地国課税」と「源泉地国課税」の2つの方式があります。


1. 居住地国課税と源泉地国課税

「居住地国課税」とは・・
納税義務者が居住する(住んでいる・在籍している)国内で生じた所得だけでなく、国外で生じた所得も含めた「全世界所得」に対して課税を行う方式です
(全世界所得課税といいます)

一方、「源泉地国課税」とは、所得が生じた国で課税を行う課税方式です。

 

例えば、日本が「居住地国」である法人(個人)は、日本で得た所得(国内源泉所得)だけでなく、海外で得た所得(国外源泉所得)にもすべて課税されます。

一方、日本が「居住地国」でない法人(個人)は、日本で生じた所得(国内源泉所得)のみに課税されます。

 

日本が居住地国 日本が居住地国でない
課税される所得 国内 + 国外源泉所得 国内源泉所得


2. 二重課税

実は・・上記2つの課税方式は、世界の「ほとんどの国」で採用されています。

つまり・・裏を返すと、日本が居住地国でない会社は、別の場所で「居住地」となっているということです。
そして、「全世界所得課税」の考え方が採用される以上、「居住地国」がどこであるかにかかわらず、居住地国から見た「国外源泉所得」についてはダブって課税されているということになります。
これが、「国際間の二重課税」の問題と呼ばれるものです。

日本の法人を例にすると、「海外所得」に関しては日本で課税され、しかも、海外の国でも課税されている・・二重課税になっているんですね。
 

(イメージ 日本企業 アメリカ支店があるケース)

201705_1-1

⇒アメリカでの所得は、「日本」と「アメリカ」両方で二重に課税されている!

 

3. 事例


(1) 日本に本店、アメリカに支店がある会社

 

課税主体 課税対象
居住地国 日本 日本 国内(日本)+国外(アメリカ)源泉所得
源泉地国 アメリカ アメリカ 国内(アメリカ)源泉所得

 

  • 居住地である日本では「全世界所得課税」・・国内・国外源泉所得に課税
  • 源泉地国であるアメリカでは「源泉地国課税」・・国内(アメリカ)源泉所得に課税


(2)アメリカに本店、日本に支店

 

課税主体 課税対象
居住地国 アメリカ アメリカ 国内(アメリカ)+国外(日本)源泉所得
源泉地国 日本 日本 国内(日本)源泉所得

 

  • 居住地であるアメリカでは「全世界所得課税」・・国内・国外源泉所得に課税
  • 源泉地国である日本では「源泉地国課税」・・国内(日本)源泉所得に課税


4. 二重課税を排除するには??

二重課税を排除するために、各国間での「租税条約」や、「外国税額控除」の制度が認められています。これらの制度は、また別の機会にお伝えします。

 

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