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1.剰余金の配当って?

「剰余金の配当」とは、過去に蓄積した「剰余金」を原資に、株主に配当を行うことを言います。
現金での配当だけでなく、広義には、「現物分配」つまり「金銭以外の資産」の配当も含みます。

また、「剰余金」っていうのは、「その他利益剰余金」と「その他資本剰余金」の2種類があります。
2つのうち、どちらを原資に配当を行うか?で会計処理が異なってきます。
今回は、この剰余金の配当にかかる「会計処理」と「税務処理」をまとめます。


2.会計処理(現金配当を例にします)

「剰余金の配当」仕訳は、配当決議日or実際支払年度で仕訳を行います。
剰余金の種類により、会計処理が異なってきます(準備金の積立仕訳は省略)。


(1)その他利益剰余金からの配当の場合

借方 貸方
配当する方 繰越利益剰余金 ×× 現金
預り金(※)
××
××
配当受ける方 現金
仮払金(※)
××
××
受取配当金 ××

(※)配当にかかる源泉所得税部分です。


(2)その他資本剰余金からの配当の場合

借方 貸方
配当する方 その他資本剰余金 ×× 現預金
預り金(※)
××
××
配当受ける方 現金
仮払金(※)
××
××
その他有価証券 ××

(※)配当にかかる源泉所得税部分です。


3.税務処理


(1)その他利益剰余金からの配当の場合

①税務処理

この場合、配当する方、配当受ける方ともに、「会計処理」と「税務処理」が同じため、加減算はありません。

②ご参考~配当する側の申告書の記載~

税務調整はありませんが、参考に「配当する側」の税務申告書の事例を記載します。

当期利益の右側「社外流出欄」に「配当」というタイトルで記載します。
例 H29/3期 税引後利益100万、H28/6 配当5万実施の場合
(その他加減算なし、期首 繰越利益ゼロとします)

(別表4 所得の金額の計算に関する明細書)

区分 総額 処分
留保 社外流出
当期利益 1,000,000 950,000 配当 50,000
その他 ・・
加算 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
減算 ・・ ・・ ・・ ・・ ・・
所得金額 ・・ 1,000,000 950,000 50,000

(別表5 利益積立金の計算に関する明細書)

区分 期首 当期中の増減 差引
利益準備金
・・・
利益積立金
繰越損益金 950,000 950,000


(2)その他資本剰余金からの配当の場合

①税務処理

税務上は、「資本金等の額」からの減少分と、「利益積立金」からの減少額がありますので、それぞれの減少額を算定します(利益積立金の減少部分は、「みなし配当」)。

借方 貸方
配当する方 資本金等の額(※1)
利益積立金(※2)
×× 現預金
預り金
××
××
配当受ける方 現金
仮払金(※)
××
××
その他有価証券(※1)
受取配当(※2)
××
××

(※1)(※2)それぞれ金額は一致します。

②税務修正仕訳・申告書の記載

(配当する方)
「自己株式取得の会計処理」のところで、別表の具体例を記載しています。こちらをご参考ください。
(配当を受ける方)
「自己株式売却の株主側の会計処理」のところで、別表の具体例を記載しています。こちらをご参考ください。


4.利益準備金の積立って?

  • 剰余金の配当をする場合には、配当の10%を資本準備金又は利益準備金として積立しなければいけません(会445条4)
  • 上記は、「資本準備金と利益準備金合計額」が資本金の1/4に達するまで強制されます(計規22条2①)
  • なお、1/4を超えて積み立てる分には何の問題もありません。

(仕訳例)

配当10,000円を行う場合(資本金1/4には達していない前提)

借方 貸方
繰越利益剰余金 11,000 現金
預り金(※)
利益準備金
7,958
2,042
1,000

(※)配当にかかる源泉所得税部分です。

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