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前回、譲渡所得の内訳のうち、「売却収入」「売却費用」のお話をしました。
今回は、「譲渡所得」を構成するもうひとつ・・「取得費」のお話をします。

おさらいになりますが、まずは「譲渡所得」の算定方法から記載しますね。

1.譲渡所得の算定方法

簡単にいうと、「売却代金」から「今までに支払った費用」を差し引いた額です。

 

譲渡所得=売却収入-(取得費+売却費用)

(特別控除等は、譲渡所得からこの後差し引きます)

 

 

 

今回は、このうち、の取得費の話です。売却収入と売却費用については、
売却収入・売却費用って?」をご参照ください。

2.取得費って何?

売却した不動産を、過去に「購入」した際に支払った額のことです。
でも・・購入時は税金や手数料などいろいろ支払っているし・・どこまでが取得費なの?って思われる方も多いでしょうね!
そこで、「取得費」として認められている「具体例」をまとめてみます。

(1)取得費の範囲

(イメージ)

 

取得費○ 取得費×
  • 土地建物の購入・建築代金・設計料・設備費・改良費(通常の修繕以外)・土地の測量費など
  • 購入時の仲介手数料・登記費用・登録免許税
  • 購入時の税金(不動産取得税・特別土地保有税・印紙税)
  • 購入時の固定資産税精算金・造成費(整地・埋立て・地盛りなど)
  • 増改築費用・庭木・造園費用など
  • 土地利用目的で購入した建物付土地の「建物購入代金」や「取壊費用」
  • 契約キャンセルした違約金
  • 土地建物を購入するための「立退料」・所有権確保のための訴訟費用
  • 借入金利息のうち、実際使用開始日までの部分(所基通38-8)
  • 通常の修繕料金
  • 相続財産である土地を遺産分割するための訴訟費用
  • 遺産分割代償金として他の相続人に支払った額

相続の場合の「取得費」の取扱いは、別でまとめています。
相続で取得した不動産の取得費は?をご参照ください。

 

上記の他、売却不動産が「相続による取得」の場合は、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」というものもあります。


(2)減価償却

上記の「取得費」は、あくまで取得当時の金額です。
当たり前ですが、建物などは、時の経過とともにどんどん劣化していくので、取得時の価値がそのまま継続するわけではありません。
そこで、取得した時点の支払額「取得費」を、「売却時点の価値」に修正しないといけません。
この作業が「減価償却」と呼ばれるものです。

 

(イメージ)

 

 

建物の取得費 = 取得時点の取得価額 - 「減価償却費」

 

なお、土地は、利用しても価値が減少するわけではありませんので、「減価償却」は行いません。あくまで建物部分となります。


(3)減価償却費の計算方法

「定額法」で計算します。

定額法っていうのは、原則的に「毎年同じ額」で償却していく方法です。

(償却方法を届けていない場合です)

 

減価償却費(定額法) = 建物購入代金 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

 

なお、耐用年数を経過した「非事業用建物の取得費」は、取得価額の10%ではなく、取得価額の5%となる点に注意です
(所得税法施行例85・134①-イ)

①償却費って?

建物の形状などによってあらかじめ決められた耐用年数に対応する率です。
例えば、鉄筋コンクリート造マンションなら耐用年数47年、償却率は0.022となります。(事業用耐用年数)。

ただし、非事業用(マイホームなど)を売却する場合は、上記事業用耐用年数×1.5倍の耐用年数となります(所得税法施行例85)

(例) 鉄筋コンクリートマンション(非事業用)⇒47年×1.5=70年(切捨て)
⇒70年の償却率は0.015となります。

②経過年数って?

取得時から売却時までの経過年数です。6ヶ月以上の端数は1年とし、6ヶ月未満は切り捨て計算します。


(4)取得費がわからない場合は?

取得費がわからない場合も・・あきらめる必要はありません!
「取得費」がわからない場合の「取得費」の算定方法は?」をご参照ください。

前回と今回で、譲渡所得の中身である「売却収入」「売却費用」「取得費」のご説明が一通り終わりました!
次回は「譲渡所得算定の具体例」を作ってみます。

 

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