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前回まで、マイホーム売却益にかかる「3,000万円特別控除」「特定居住用財産の買換え特例」のご説明をしました。
ただし、この2つの制度は、併用が認められていません。
 
どちらを利用したほうがお得なのか?迷うところですね。



 

1. 譲渡所得(利益)が3,000万以下のとき

この場合、「3,000万の特別控除の特例」を使えば、税金は発生しませんので、「3,000万の特別控除の特例」を選択した方が、税金的にはお得です。
ただし、3,000万の特別控除が行われても、国民健康保険料や介護保険料などの計算には関係ありませんので、翌年の保険料への影響には注意が必要です。



 

2. 譲渡所得が3,000万超のとき

この場合、どちらを選択するか?検討の余地があります。



 

3. 事例

  • 旧マイホーム取得価額1,000。
  • 旧マイホームを5,000で売却。
  • 新マイホームは、7,000で買い換えを予定している。
  • 買い換え特例の要件は満たしており、上記以外の所得はない。
  • 「3000万特別控除」と「買い換え特例」どちらがお得?


(1) 3,000万特別控除を適用する場合

① 譲渡所得の計算

5,000 – 1,000 = 4,000(うち、3,000特別控除を適用する)
 

② 税額の計算

  • 4,000 – 3,000 = 1,000(特別控除後の所得)
  • 1,000 × 14.21% (10年超軽減税率・所得税・住民税) = 142


(2) 買い換え特例を適用する場合

譲渡所得は繰り延べられますので、旧マイホーム売却時点では税金は発生しません。



 

(3) 結果

  • 旧マイホーム売却時点では、買い換え特例を適用した方が、税金がかからないという点で、「売却時点の節税」という意味ではお得です。
  • また、買い換え特例を適用した場合は、譲渡所得を繰り延べますので、「国民健康保険料等」にも影響はありません。



 

(4) 注意事項

ただし、買い換え特例は、あくまで課税を繰延するだけですので、将来買い換え資産を売却するケースを想定しておかなければいけません。

  • 買い換え特例を適用した場合、旧マイホームの「取得日」は引き継がれません。
    したがって、買い替え特例適用後、10年以内に再売却するような場合には、10年超の軽減税率や、新たな買い換え特例が利用できず、再売却で多額の税金が生じる可能性があります。
  • つまり、買い換え特例を適用する場合は、新たに買い換えたマイホームを、10年超所有するという長期的視野を持っておく必要があります。



 

4. 買い換え特例を選択した方がよい場合まとめ

  • 旧マイホームの譲渡所得が3,000万円を超える。
  • 買い換えるマイホームは、10年以上居住保有する予定で、当面は売却予定がない人(将来、買い換え資産を売却する時は、また買い換え特例の要件を満たす自信がある人)

 

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