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30代になると、マイホームを購入したい、住宅ローンはいくら借りられるのか?
などが、そろそろ気になる時期かもしれませんね。
 
今回は、個人事業主やフリーランスの方の「住宅ローンの目安」についてのブログです。
実際に、「金融機関様」からお聞きした内容をもとに、まとめてみました。



 

1. サラリーマンの場合は?

一般的に、会社員の場合の「住宅ローン」と「返済期間」の目安は、以下となります。
 

住宅ローンの目安(年収倍率) 前年度「年収」の、6・7倍程度
返済期間の目安(年間返済割合) 年収に対する「年間返済割合」(※1)が、概ね25~30%に収まる「年間返済額」(※2)を基に逆算した「返済期間」

(※1)年間返済割合は、住宅ローン年間返済額 ÷ 年収で算定します。
(※2)年間返済額には、支払利息も含みます。
 
 
ちょっとわかりにくいと思いますので、以下に具体例を記載します。

(例)給与額面 500万円の会社員の場合

  • 住宅ローン限度額
    額面500万円 × 6倍 = 3,000万円
  • 返済期間
    年間返済割合の限度:500万円 × 25%= 125万円(年間125万円までの返済額ならOK)
    ⇒3,000万円(住宅ローン限度額)÷ 125万円(年間返済額限度)= 24年(返済期間)



 

2. 自営業者の場合は?

自営業者(=個人事業主)の場合は「年収」ではなく、確定申告書の「所得合計」で判断されます。
簡単に言うと、会社員よりも審査は厳しくなります。
 
個人事業主・フリーランスの場合の「住宅ローン」と「返済期間」の目安は、以下となります。

住宅ローンの目安(所得倍率) 「所得合計」の6・7倍程度
返済期間の目安(年間返済割合) 「所得合計」に対する「年間返済割合」が、概ね25~30%に収まる「年間返済額」を基に逆算した「返済期間」

 
つまり・・個人事業主の場合は、「年間所得合計」が500万円で、ようやく3,000万円程度の住宅ローンが借りられる(返済期間は24年)という結論になります。
 

① 所得合計って?

「所得合計」とは、確定申告書の「⑨番」の数値です。
この金額は、

  • 売上から各種経費・専従者給与・青色申告特別控除等を差し引いた数値
  • 所得控除(基礎控除、保険料控除等)は、差し引く前の数値

です。
 
通常、自営業者の場合は、仕入等の経費がかかりますので、サラリーマンの「年収」と比べると、「所得」は低く抑えられるのが一般的です。
つまり・・「所得合計」の数値で審査の判断がされると・・ちょっと厳しいですね。
 

② 2・3年の平均「所得合計」が対象

サラリーマンと異なり、自営業者の場合は「事業の安定性」という点もポイントとなります。
具体的には「所得合計」の数値は直近数値だけでなく「過去2・3年分の平均数値」で審査される場合が多いです。
単純に「直近年度の所得合計額」だけで皮算用していると・・3年平均されてしまって、期待額に届かなかった!ってことも・・あり得ますよね。
 
審査が厳しい銀行だと、3年のうち「1番低い所得合計」を基準に審査する銀行や、赤字が1期でもあれば審査×の銀行もあるようです。
 
なお、審査の際には、直近3期分の「決算書・申告書」を提出することが一般的です。



 

3. 減価償却費、専従者給与、青色申告特別控除の取り扱い

銀行によっては「減価償却費や専従者給与、青色申告特別控除」は経費とみなさず、所得の計算上、プラスに見てくれるところもあります。
 

減価償却費 減価償却費は、実際にお金が出ていく費用ではないため、この分は経費から除外して、所得を計算してくれる銀行もあります。
青色申告特別控除 青色申告特別控除は、税法上の恩典として経費と認められるだけの項目ですので、経費から除外して判定してくれる銀行もあります。
専従者給与 専従者給与は、例えば奥様などに支払っている給料などです。
家族全体で判定すれば、この分は±ゼロですので、経費から除外して所得を計算してくれる銀行もあります。

 
住宅ローンの審査を受けると、個人信用情報に「審査記録」は残りますが、
半年間で記録自体は消えるようですし、銀行によって審査の基準も異なりますので、
複数の銀行で、審査を受けるのもありだと思います。



 

4. 自己資金はいくら必要?

手付金として、契約時に1割程度は支払う場合が多いですが、現在はフルローンの商品もありますので、自己資金については、そこまで気にする必要はありません。



 

5. 支払の滞納は?

税金や保険料、他の借入金、クレジットカード支払の滞納などは「個人信用情報」で重点的にチェックされます。
銀行の立場からすると、滞納する人は「自分の貸金も滞納されるのではないか?」と想像しますよね。
もし、現時点で滞納のある方は、まずは滞納分の支払いを終わらせてから、審査に挑む方がよいと思います。
特に、税金の滞納(=国の債権)は、個人が支払不能に陥った場合には銀行の返済よりも優先的に弁済に回されるため(国の債権の方が強い)、銀行は重く見ています。



 

6. 他の借入金がある場合はどうなる?

銀行は、将来、自分が貸したお金が無事返済されるか?という観点で審査を行います。
例えば、他の借入金がある場合、自分への返済以外に支払があるということですので、
「借入ゼロ」の方と比較すると・・少し厳しく見られそうですよね。
具体的には、「他の借入金残高」だけ、融資額が減額されるケースがあります。
 

他の事業資金借入 他の借入額だけ減額される場合があります。
クレジットカード これも借金の1つです。なお、金融機関によっては、クレジットカードの利用履歴は、見ない銀行もあるようです。
車のローン 上記と同様に、借金として見られます。



 

7. ご参考~フラット35

ちょっと金利は高めですが、「フラット35」という商品があります。
民間金融機関の住宅ローンよりは、審査のハードルが低い商品となります。

(特徴)

  • フラット35の審査は「前年所得と借入のバランス」が重視され、現在の営業状況はそれほど重視されない。
  • 決算書の提出は、原則「1期分」のみでOK。
  • 事業用の融資自体は、他の借入金として計算されない。



 

8. 個人事業主が住宅ローンを受けるためのポイント


(1) 3年を目安に

概ね、3年程度の数値を目安に取り組むのがよいかと思います。
自営業者は「節税」に目が行きがちですが、住宅ローンを受けたい場合は、
3年間は、ある程度の所得を計上し、無理な節税は控えておくのが無難だと思います。
もちろん、支払の滞納や、他の借金の返済も同時に進めておきましょう。
「将来借りたい額」をイメージして、所得を逆算しておきます。



 

(2) メインバンクに相談

全く口座のない銀行よりも、普段取引を行っているメインバンクの方が内容を把握している分、
審査が通りやすい
かもしれません。
節税のために経費は計上しているが、実質的な所得はもう少しあるなど・・
微妙なニュアンスを把握してくれているかもしれません。
まずはメインバンクに相談してみましょう。



 

(3) 修正申告は?

たまに、住宅ローンを通すために、過去の申告書を「修正申告」した方がよいか?
という質問を受けることがあります。
 
修正申告をした場合でも、改めて銀行に「修正申告書」を提出するわけですし、
「修正申告」を行った「合理的な理由」がなければ・・逆に、ちゃんとしていない!
という悪いイメージを与える可能性もあります。
 
なので、個人的にはオススメしません。
修正申告をしたとしても、住宅ローンが下りる保証をしてくれるわけではありませんので、
個人的にはリスクが高いと思っています。



 

9. 住宅ローンはぜひ活用すべき

事業借入の経験がある方はご存知だと思いますが、住宅ローンは非常に「低金利」です。
この点、サラリーマンと違って、
自営業者・フリーランスの方は、自分自身の努力で「青天井で稼げる可能性」があるわけです。
つまり・・
超低金利の「住宅ローン金利」以上に事業で儲けられる自信があれば、ぜひ住宅ローンは活用すべき!
という結論に至ります。
 
しかも、税法上は「住宅ローン控除」という制度があり、概ね借入金額の1%程度の「税額控除」が可能です。
簡単なイメージを言うと、
住宅ローン金利が1%以下であれば、住宅ローンを組む方が住宅ローン控除のプラスと相殺されて、逆に儲かる!
という場合もございます。
 
ぜひ、住宅ローンは活用をおすすめします。

 

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