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前回の「長期平準定期保険」と似た保険で、「逓増定期保険」という商品があります。
逓増定期保険も定期保険の一種ですが、死亡保険金が定額ではなく、契約当初⇒保険期間満了時まで徐々に増加していく保険です。

長期平準定期保険と比べると、比較的短期間で解約返戻金のピークが来ますので、「短期的な資金化ニーズの観点」で、法人でよく利用されている商品です。



 

1. 逓増定期保険と長期平準定期保険の比較

 

(イメージ)

 
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長期平準定期保険と比較すると、以下の通りとなります。

 

逓増定期保険 長期平準定期保険
共通点 掛け捨て 「満期保険金」がなく、掛け捨て
相違点 支払保険料定額 支払保険料はどちらも定額
返戻率のピーク時期 早いタイミングで高い返戻率になる
(5年10年など)
解約返戻率は、逓増定期保険よりもゆるやかなカーブを描いて高返戻率になる
返戻率のピーク期間 比較的短い 比較的長い
死亡保険金 契約時少
⇒5倍まで増加
当初から定額

 

どちらの保険も、「解約返戻金」には、税金がかかります。
したがって、比較的短期間に解約返戻率が高くなる「逓増定期保険」の場合は、早いタイミングで出口(損金性の高いイベント、役員退職金など)を準備しておくことが必要になります。



 

2. 税務上の要件を満たす「逓増定期保険」は?

  • 契約から保険期間満了までの「保険金額」が契約当初と比較して5倍以内
  • 保険期間満了時にいて「被保険者」の年齢が45歳を超えるもの



 

3. 税務処理

逓増定期保険も、長期平準定期保険と同様、毎回支払う保険料は「平準化」されているため(=定額)、保険期間前半に支払う保険料には、将来期間に対応する「前払保険料」が含まれています。

そこで、税務上は、損金算入時期につき、以下の制約が設けられています
考え方は長期平準定期保険と同じですね。

 

保険期間最初の6/10の期間 満了期間の年齢により、1/2損金算入、1/3,1/4損金算入。残りが資産計上(※)
保険期間残りの4/10の期間 支払額と、①の期間の前払保険料を取り崩し、どちらも損金に計上

 

(※)当初6/10の期間の「損金算入制限」が、保険期間満了時の年齢により4種類に分かれている点が、長期平準定期保険と異なります

 

保険期間満了年齢 要件 税務損金
45歳以下 なし 全額損金
45歳超 下記式に該当しないもの 1/2損金
75歳超 契約時年齢 + ( 保険期間 × 2 ) > 95 1/3損金
80歳超 契約時年齢 + ( 保険期間 × 2 ) > 120 1/4損金

 

税務仕訳については、長期平準定期保険と基本的に同じになります。
長期平準定期保険」のブログをご参照ください。

損金算入限度額に相違はありますが、仕訳の考え方は同じとなります。

 

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