GD016

 

 

減資の方法には大きく2つの方法、「有償減資」と「無償減資」の2種類があります。
有償減資は、株主への払戻を伴う「実質的な減資」、一方、無償減資は、欠損填補を穴埋めするための「形式的な減資」です。

両者に共通する点は、会計処理及び税務処理とも「資本取引」と位置付けられる点です。
ただし、有償減資の場合は、税務上「みなし配当」が生じ、「申告調整」が必要な点が大きな違いです。

今回は、1つ目、「無償減資」ををまとめます。
(次回「有償減資」をまとめます)



 

1. 無償減資の例題

簿価純資産100,000(うち、資本金130,000、利益積立金△30,000)の会社が、欠損填補を穴埋めするため無償減資を行い、資本金50,000を取崩した。
201709_2-1



 

2. 会計処理

 

借方 貸方
資本金 50,000 その他利益剰余金
その他資本剰余金
30,000
20,000

 

まず、欠損填補部分(△30,000)を「その他利益剰余金」に充当し、残額は「その他資本剰余金」(資本金及び資本準備金減少差益)で処理します。



 

3. 税務処理

 

借方 貸方
仕訳なし

 

「無償減資」は、株主への払戻がなく、単に「純資産の部」内での振替にすぎません。
したがって、法人税法上は何もなかったものとして取り扱われます(法施令8・9条)。



 

4. 申告調整(税務修正仕訳)

法人税上、所得の額(別表4)、資本金等の額及び利益積立金額(別表5)に変動はありません。
ただし、既に会計処理が行われているため、別表5内で振替調整を行います。

(税務調整仕訳)

 

借方 貸方
利益積立金
資本金等の額
30,000
20,000
資本金(等の額) 50,000

税務上の仕訳に合わせるための会計仕訳取消の振替処理です(会計上の「利益」と税務上の「所得」に差異はありません)。



 

5. 別表の記載


(1) 別表4の記載

会計上の「利益」と税務上の「所得」に差異はありませんので、記載はありません。


 

(2) 別表5の記載

①利益積立金の計算に関する明細書

 

区分 期首 当期中の増減 差引
利益準備金
無償減資 30,000 △30,000
繰越損益金 30,000

緑の数値は、会計処理を示していますので申告調整ではありません。
既に、欠損填補の会計処理として、「繰越損益金」は、30,000だけ多くなっているはずです。

この会計処理を前提に、税務上は何もなかった形に戻すため、会計処理を取り消す申告調整を行います。

② 資本金等の額の明細書

 

区分 期首 当期中の増減 差引
資本金又は出資金 130,000 50,000 80,000
資本準備金 20,000 20,000
無償減資 20,000 50,000 30,000

緑の数値は、会計処理を示していますので申告調整ではありません。
既に、減資の会計処理として、「資本金」及び「資本準備金」(その他資本剰余金)はそれぞれ+80,000、+20,000となっているはずです。

この会計処理を前提に、税務上は、何もなかった形に戻すため、会計処理を取り消す申告調整を行います。



 

6. 無償減資と住民税均等割・外形標準課税との関係

無償減資等による欠損填補額は、①「法人住民税」均等割の計算②外形標準課税の資本割の課税標準となる額の算定にあたり、減算することができます。
つまり、税額が安くなる可能性があるってことですね。

ここ非常に大事です!詳しくは、資本金等の額って?をご参照ください。

 

<< 前の記事「減資の会計処理・税務処理/申告書の記載2 有償減資」次の記事「ビットコインって何?」 >>