jd061

 

1.資本政策って何?

「株式公開準備段階」での資本政策とは・・
株式公開にむけて、成長に必要な資金を調達、安定株主を作る等を目的とした新株発行・株式移動等の計画です。

資本政策では、どのような株主構成で、いつどんな方法で資金を調達するかを決定します。
企業は、株式公開により資金調達をすることで、財務基盤を強化することができますが、
未上場会社の資本政策は、「株式資本市場」へデビューするまでの財務戦略=一番大切な計画となります。

なお、上場準備に限らず、増資・増配や自社株買等、適正な株主構成の構築を行うことも資本政策と呼ばれます。
 

2.ポイント

資本政策を立案するうえで、まず大事なのは事業計画です。

上場を想定した事業計画を策定し、資金調達額や時期や把握したうえで、「資本構成」を決定します。

「資本構成」を考えるにあたって、重要となるポイントは以下のとおりです。

(1)株主構成

株式上場時には、株式売出や公募増資が行われるため、既存株主の持ち株比率が低下します。
その中で、経営の安定化を図るためには、上場時の議決権比率を、確保できる形にする必要があります。
また、上場後の買収リスクも想定して、経営者以外の安定株主確保も重要なテーマとなります。
 

(2)資金調達

上場準備段階あるいは、上場後の資金ニーズを把握して、具体的な調達時期や方法を検討します。
(設備投資・運転資金)。もちろん、株主構成には十分留意が必要です。
 

(3)創業者利潤

株式上場時は、創業者利潤を獲得する最大のチャンスになります。
そのために必要な株数は、創業者が確保しておきます。
(上場後は、インサイダー取引規制により自由に売却することが困難になる)
 

(4)人材確保の施策

ストックオプションや従業員持株会の制度を検討します。
役員等のモチベーションを上げることができるとともに、安定株主の確保にも寄与します。
 

(5)事業承継対策

株式上場後は、株価が上昇しますので、将来相続発生の際には、多額の相続税が生じる可能性があります。
したがって、株価が上がる上場前の段階で、後継者への株式移動を検討しておくことも必要です。
また、株式保有会社等を活用して、税務対策や安定株主対策を検討すること一つです。
 

(6)上場要件の充足(株主数、流動性等)

上場する証券取引所によって、形式基準(株主数、利益、純資産額等)が異なります。
自社の上場予定市場を想定して、これらの形式要件を満たす資本政策を立案する必要があります。

また、上場後は、株価対策として株式流動性を確保することも大切です。
一般投資家が、自社の株式を売買しやすい「売買単位」を設定することも必要です。
 
<< 前の記事「種類株式とは?」次の記事「ストック・オプションと会計処理方法」 >>