恒久的施設(PE)って何?
国際税務で重要な概念 「PE」。Permanent Establishmentの略称です。
日本語では「恒久的施設」と呼ばれます。
なぜ国際税務で「PE」が重要になるか?というと、PEがあるかないか?によって非居住者及び外国法人(以下、「非居住者等」といいます)の「課税関係」が決まるからです。
非居住者等は「国内源泉所得」のみが課税対象とされますが、「恒久的施設」を持たない非居住者等の事業所得に関しては、「課税されない」ことになっています。
1. PEって?PEがあるとどうなるの?
支店・工場・その他「事業を行う一定の場所」を指します。
この「PE」があれば、非居住者(or外国法人)でも現地で課税されます。
逆に、PEがなければ、たとえ事業を行っていても現地で課税されることはありません。
(イメージ 日本の非居住者等)
2. PEの範囲
国内法、租税条約・OECDモデル条約に規定があります。
国内法においては次の3つの形態に区分されています。
従来は、これらの区分に基づいて課税対象が決められていましたが、H26改正により、課税の論点上は、下記3区分の重要性はなくなりました。
(なお、PEの種類や定義は、H26改正によって変更はされていません)
種類 | 定義 | 含まれないもの | |
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(1) | 支店PE (※1) |
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(2) | 建設PE |
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(3) | 代理人PE (※2) |
非居住者のために、その事業に関し契約を結ぶ権限のある者で
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(※1)販売を伴う場合は、PEとみなされる場合が多いです。
(※2)国外製造子会社が親会社の名前で「販売契約」を締結した場合、代理人PEとみなされる場合もあります。
恒久的施設の有無は、形式的ではなく「機能的な側面を重視」して判定を行います。
例えば、国税庁HPでは、事業活動の拠点となっているホテルの一室は、恒久的施設に該当しますが、「単なる製品の貯蔵庫」は恒久的施設に該当しないことが例示されています。
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