年金事務所に毎年提出する「算定基礎届」?給料変更のタイミングは?

目次
- 1. 算定基礎届とは?
- 2. 「算定基礎届」に記載する賃金・対象者
- 3. 年金事務所に提出するもの(期限 7月10日まで)
- 4. 会社負担?従業員負担?
- 5. 保険料改定時期・給与明細を変更するタイミング
- 6. 原則1年間 金額変更はなし
- 7. 算定基礎届の特例
- 8. ご参考 料率変更
- 9. 参照URL
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毎年5月ごろになると、年金事務所から郵送物が届きますね。
「算定基礎届」を提出してください!というお知らせです。
今回は、この「算定基礎届」に記載する内容や、
社会保険料の算定方法・変更のタイミングについてまとめます。
1. 算定基礎届とは?
社会保険料は、会社が提出する「算定基礎届」をもとに、年金事務所が各人の「標準報酬月額」を決定し、1年間の支払金額が決まります(定時決定)。
この「標準報酬」は、4~6月に支払われた「平均賃金」より決定されます。
この「平均賃金」等の情報を記載する書類、これが「算定基礎届」です。
2. 「算定基礎届」に記載する賃金・対象者
(1) 対象となる賃金
基本給だけでなく、労働の対価として支払われたものすべてを含みます。
含まれる | 含まれない |
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(2) 記載対象者
対象 | 対象外 |
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(3) 支払基礎日数
- 4~6月の「支払給与」のうち、「支払基礎日数」が17日以上の月のみで平均します。(17日未満の月は除外して平均)
「支払基礎日数」は、出勤日数ではなく、「その月の暦日数」を指します ⇒ 例 6月であれば30日 - 3か月とも、17日未満や、病欠等で支給が全くない場合は、従前の標準報酬月額を踏襲します。
- 短時間労働者や、パートタイマーの支払基礎日数には例外があります。
3. 年金事務所に提出するもの(期限 7月10日まで)
- 「被保険者報酬月額算定基礎届」
- 「被保険者報酬月額算定基礎届 総括表」
- 「被保険者報酬月額算定基礎届 総括表附表(雇用に関する調査票)」
4. 会社負担?従業員負担?
「算定基礎届」を提出すると、8月頃に年金事務所から「標準報酬決定通知書」が郵送されてきます。
「標準報酬決定通知書」に記載された各人の「標準報酬」を、公表されている「保険料額表」にあてはめると、各人の毎月の社会保険料を把握することができます。
社会保険料は、「会社負担額」と「従業員負担額」から構成されています。
上記の「保険料額表」には、「会社負担額」、「従業員負担額」それぞれの金額が記載されています。
「従業員負担額」は従業員報酬から天引きして一旦会社が預かり、会社が毎月「全額」年金事務所に支払います。
5. 保険料改定時期・給与明細を変更するタイミング
(1) 保険料改定時期
社会保険料は、9月分社会保険料から改定され、年金事務所への支払ベースでは10月末支払分から「新保険料」の支払がスタートします。
(2) 給与明細を変更するタイミング
従業員の「給与明細」は、どのタイミングから「新保険料」を差し引くのでしょうか?
実は・・「新保険料」を差し引くタイミングは、会社によって異なります。
社会保険料を「翌月徴収」にしているのか?「当月徴収」にしているのか?で変わってきます。
原則的な「翌月徴収」の場合は、10月支払給与が「新保険料」を差し引く一番最初の月となります。
給与から社会保険を徴収する時期 | 給与明細差引時期 |
---|---|
翌月徴収(原則) | 10月支払給与より変更 |
当月徴収(例外) | 9月支払給与より変更 |
なお、社会保険徴収時期は、原則、翌月徴収(当月分を翌月支払給料より差引)です。
6. 原則1年間 金額変更はなし
社会保険料は、たとえ年途中に「報酬金額の変更」があったとしても原則として変更は行われず、1年間(9月~翌年8月)金額は固定されます。
(⇔ご参考「所得税」や「雇用保険」は毎月の報酬金額の変動に応じて毎月変動)
ただし、2階級以上の変動がある場合は、随時改定の手続が必要となり、毎年1回の「定時決定」を待たずに、社会保険料の変更が行われます。
7. 算定基礎届の特例
毎年、4月から6月が「繁忙期」や「閑散期」にあたる業種の場合は、他の会社との比較で公平性に欠けます。
そこで、例外的に、一定の要件を満たす場合には、4月~6月の3ヵ月間ではなく、過去1年間の平均報酬月額により「標準報酬月額」を算定できる特例が設けられています。
(特例の要件)
下記の条件「すべて満たす」必要があります。
- 「通常の方法(4~6月の3ヵ月)」と「年間平均(前年7月~当年6月)]それぞれで算出した「標準報酬月額」に2等級以上の差がある
- 上記の差が、業務の性質上、例年発生することが見込まれる
- 被保険者が同意して、事業主が申し立て
8. ご参考 料率変更
社会保険の金額変更には、「等級変更」と「料率変更」の2種類があります。
上記でお伝えした「算定基礎届」の論点は、「等級変更」の論点となります。
「料率変更」については、毎年更新時期が決まっています。以下の通りです。
健保・介護保険料率 | おおむね3月保険料(4月納付) |
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厚生年金保険料 | 9月保険料(10月納付) |
ただし、「厚生年金保険料」の料率変更は、既に終了済で、現在は、18.3%で固定されています。
9. 参照URL
(標準報酬月額の決め方)
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3165/1963-232
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