No124.譲渡所得の算定方法1 譲渡収入・売却費用って?
個人が、不動産を売却した時の税金ってどのように決まるんでしょうか?
売却額は?諸費用は差し引けるの?など・・悩ましい論点盛りだくさんです。
不動産を売却した場合は、「譲渡所得」と呼ばれるものを算定します。この「譲渡所得」に対して「所得税」がかかります。
なので、まずは譲渡所得の算定方法を押さえなければいけません。
1.譲渡所得の算定方法
簡単にいうと、「売却代金」から「今までに支払った費用」を差し引いた額ですね。
譲渡所得=売却収入-(取得費+売却費用)
(特別控除等は、上記の「譲渡所得」を算定後、その後差し引きます)
今回は、このうち、売却収入と、売却費用についてまとめますね。次回は、取得費についてまとめます。
2.売却収入って何?
不動産の売却代金のことです。
一点、注意があります。
売却の際に「固定資産税の精算金」(※)が入金されるケースがあります。
この固定資産税精算金も、譲渡収入に含まれますので注意しましょう。
また、売買契約以外に、別途実測精算金や、持ち回り保証金などがある場合も含めます。
(イメージ)
(※)固定資産税の精算金って?
固定資産税は、毎年1月1日(賦課期日といいます)現在、所有者として登記されている方が、その年1年分を支払います。
つまり、固定資産税は、1月1日以降に売却した場合でも、あくまで1月1日に登記されている方に「全額納税義務」があります。
しかし、例えば不動産を1月末に売却した場合には、新しい所有者が翌年1月1日まで11か月間所有するにもかかわらず、固定資産税は負担しない不公平感が生じます。
そこで、不動産取引の慣行上、売却時に、「所有期間に応じて」固定資産税負担額を「当事者間」で精算することが多いです。
これが「固定資産税精算金」と呼ばれるものです。買主から売主に、12月末までの分を支払います。
ただし、この「精算」は、あくまで当事者間での取引にすぎず、不動産売買に関する売買代金の一部とされますので、以下の点に注意が必要です。
- 建物に関する固定資産精算金には「消費税」が課せられる。(土地は非課税)
- 固定資産税精算金も「売却収入」に含まれる ⇒ 「譲渡所得」の課税対象
(その他~譲渡収入に含まれるもの)
- 遺産分割の際に、「代償財産」として他の相続人に不動産を引き渡した額
(所基通 33-1の5) - 離婚の際に慰謝料として不動産を財産分与(所基通 33-1の4)
3.売却費用って?
名前のとおり、売却する際にかかった費用です。売却費用には、「売却するために支出した交通費」なども含まれますので、もれなく集計しましょうね!
(イメージ)
売却費用○ | 売却費用× |
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(※)たとえ、売買が土地だけでも、土地を売却するために「建物」を取り壊す場合は、取り壊し費用だけでなく、「建物の未償却残高」も含まれます。
次回は、譲渡所得のもう一つの構成要素「取得費」のお話をします。
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