譲渡所得/自己株式 - Creabiz|公認会計士が運営する経営サポートメディア https://www.creabiz.co.jp 説明 Mon, 25 Mar 2024 03:59:14 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.4.3 No236.【第三者割当増資】有利発行する場合は株主間のみなし贈与税に注意/特に有利な発行価額とは?債務超過の会社の場合は? https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/236.html/ Sun, 31 Jan 2021 15:00:02 +0000 https://www.creabiz.co.jp/?p=11698 第三者割当増資とは、特定の第三者(既存株主も含む)に新株を発行する増資です。 同族会社の場合は、同族関係者に対して「時価よりも低い有利な価額」で「第三者割当増資」を行うケースが多いです(株主総会特別決議 会199条3項) […]

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第三者割当増資とは、特定の第三者(既存株主も含む)に新株を発行する増資です。
同族会社の場合は、同族関係者に対して「時価よりも低い有利な価額」で「第三者割当増資」を行うケースが多いです(株主総会特別決議 会199条3項)。

ただし、時価よりも低い価額の「第三者割当増資」を行うと、株主間での「株式価値」の移転が生じる結果、「贈与税」が課税されるケースがあります。

そこで今回は、「第三者割当増資」で贈与税が課税されるケース(みなし贈与)につき解説します。

 

1. 第三者割当増資でなぜ「贈与税」が発生するのか?

時価よりも低い価格で「第三者割当増資」を行った場合、株主間で、「株式価値の移転」が生じる場合があります(みなし贈与)。以下、具体例で解説します。
 

  • 資本金15百万円(発行済株式 1,500株、社長兼株主 100%所有)
  • 増資前貸借対照表の純資産 150百万円(=時価とする)。増資前の1株当たり時価は10万円/株(150百万円÷1,500株)
  • 事業承継対策として、子供に50百万円(全額資本金)の増資を行う


(1) 増資50百万円を「時価10万円/株」で実行した場合(時価発行増資)

増資50百万円を、増資直前の時価10万円/株で行った場合、増資による増加株数は500株となります(50百万円 ÷ 10万円)。
この場合、増資前後の社長・子供それぞれの保有持ち分は、以下の通りとなります。

増税前 増税後
純資産 150百万円 200百万円
発行済株式数 1,500株 2,000株
1株当たり株価 100,000円/株 100,000円/株
株主内訳 1,500株 (100%) 150百万円 1,500株 (75%) 150百万円
0株 (0%) 0円 500株 (25%) 50百万円

●増資後の一株時価は、100,000円/株で変動なし(200百万円 ÷ 2,000株)。
●増資後の社長の持分割合は75%となるが、持ち分価値は150百万円(10万円 × 1,500株)。増資前後で変わらず
●増資後の子供の持分割合は25%。持分価値は、50百万円(10万円 × 500株)。

【結論】

時価発行増資の場合、「社長持ち分価値」は、増資前後で変わらない
したがって、この場合、息子への株式価値の移転は生じないため、「贈与税」は課税されません。

 

(2) 増資50百万円を「1万円/株(有利発行)」で実行した場合(有利発行増資)

会社法上、「有利発行増資」は、株主総会特別決議が必要となりますが、オーナー会社の場合は、さほどハードルは高くありません。
例えば、増資50百万円を、増資直前時価(10万円)よりも低い1万円/株で行った場合、増資による増加株数は5,000株となります(50百万円 ÷ 1万円)。
この場合、増資前後の社長・子供それぞれの保有持ち分は、以下の通りとなります。

増税前 増税後
純資産 150百万円 200百万円
発行済株式数 1,500株 6,500株
1株当たり株価 100,000円/株 30,769円/株
株主内訳 1,500株 (100%) 150百万円 1,500株 (23%) 46百万円
0株 (0%) 0円 5,000株 (77%)円 154百万円

●時価よりも低い有利発行の場合、既存株式の価値が薄まり、増資後の一株当たり株価は、30,769円に減少(200百万円 ÷6,500株)。
●増資後の「社長持ち分」は46百万円(30,769円 × 1,500株)。104百万円減少(150百万円-46百万円)。
●増資後の「子供持ち分」は、154百万円(30,769円 × 5,000株)。104百万円増加

【結論】

有利発行増資の場合、既存株主の株式価値が希薄化するため、希薄化した増資前の社長持ち分価値104百万円が子供に移転します
⇒ (100,000円(増資前の時価)-30,769円(増資後の時価)) × 5,000株
この部分は「経済的利益の移転」(みなし贈与)として、子供に「贈与税」が課税されます。
 

2. 第三者割当にかかる贈与税の規定

(1) みなし贈与の規定

贈与税は、個人間の取引で、贈与を受けた個人に課税される税金です。
「贈与」の法律行為は、基本的に「両者合意」を要件に成立しますが(民法第549条)、相続税法上は、「両者合意」がない場合でも、「贈与と同等の経済的利益が発生」した場合、「贈与とみなす」規定があります(相続税法5条~9条)。例えば、著しく低い対価での不動産の譲渡、他人の借金を代わりに返済する場合は、「みなし贈与」の規定により、贈与税が課税されます。
 

(2) 第三者割当増資にかかる「みなし贈与」

同族会社が、 同族親族等に「第三者割当増資」を行う場合、新株は「贈与で取得したもの」とみなされます。

【相続税基本通達9-4】
同族会社が新株の発行・・をする場合において、当該新株に係る引受権・・の全部又は一部が・・に掲げる者(当該同族会社の株主の親族等・・に限る。)に与えられ、・・新株を取得したときは、原則として、当該株主の親族等が、当該募集株式引受権を当該株主から贈与によって取得したものとして取り扱うものとする。ただし、当該募集株式引受権が給与所得又は退職所得として所得税の課税対象となる場合を除く・・

 
親族とは、親族(6親等内の血族及び3親等内の姻族)、その他法人税施行令31条に定める特別の関係がある者をいいます。
 

(3) 同族会社の株主の親族等への第三者割当増資のみ

上記の規定は、「同族会社の株主の親族等に対する第三者割当」で、かつ、「株主間で価値の移転がある場合」に限定されます。
したがって、結論的には、上記1(2)のような時価よりも低い価額で「第三者割当増資」が行われた場合、株主間で「株式価値」の移転がありますので、株式発行を受けた側に、贈与税が課税されることになります(みなし贈与。既存株主側には課税関係は生じない)。

なお、同族会社の従業員や役員の立場で新株を引き受ける場合は、所得課税(給与所得or退職所得課税)、それ以外の方が引き受ける場合は、所得課税(一時所得)o法人税課税(受贈益課税)となります。
 

【新株引受先ごとの税目区分】

同族株主の親族等 贈与税
同族会社の役員・従業員 給与所得・退職所得
上記以外の個人 所得税(一時所得)
法人 法人税(受贈益課税)

 

3. 債務超過の会社の場合

では、「債務超過」の会社が増資をした場合は、贈与税が発生するのでしょうか。
増資をしても、依然債務超過が解消しない場合は、増資前、増資後とも株価はゼロのため、贈与税は発生しないものと考えられます。株式会社の場合は、出資額を限度とした有限責任となりますので、株式価値以上の責任は生じません。したがって、たとえ第三者割当増資により、「債務超過の額」が減少したとしても、株式価値は依然ゼロのままと考えられ、贈与税は発生しないものと考えられます。
なお、債務超過の状況で、第三者有利発行増資の結果、「資産超過」になる場合は、「贈与税」が発生すると思われます。
 

4. 有利発行の場合に必ず贈与税が課税されるのか?

相続税上、有利な価額についての規定はありませんが、法人税上、新株引受の際「時価と払込価額との差額が時価の概ね10%以上のケース」を、「有利な金額」と判定する規定があります(法令119Ⅰ④、法基通2-3-7)。
また、時価については、財産評価基本通達(178~189-7)により算定するという判例があります(平成10年分及び平成11年 分の贈与税の各決定処分及び無申告加算税の各賦課決定処分・一部取消し・平17年1月19被裁決)【東裁(諸)平16-179】。
 
上記より、財産基本通達で算定された時価よりも、おおむね「10%程度以上有利な価額」で発行された場合は、「贈与税」が課税される可能性があります。
 

5. 参照URL

(相続税基本通達9-4)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/sisan/sozoku2/01/06.htm

(法人税基本通達2-3-7)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/02/02_03_02.htm
 

6. Youtube

 
YouTubeで分かる「第三者割当増資」

【関連記事】


 

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No188.【修正申告不可】住宅ローン控除と「マイホーム売却益の3,000万円特別控除の特例」は併用不可!どちらが得なのか?修正申告できない場合も! https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/188.html/ Thu, 18 Oct 2018 02:15:06 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=9822   マイホームを売却して、新たなマイホームに「住み替える」ケースもある思います。 この点、新マイホーム購入時、住宅ローンを組む場合は、所得税上、「住宅ローン控除」という恩典があります。 また、上記の特例とは別に […]

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マイホームを売却して、新たなマイホームに「住み替える」ケースもある思います。
この点、新マイホーム購入時、住宅ローンを組む場合は、所得税上、「住宅ローン控除」という恩典があります。
また、上記の特例とは別に、旧マイホーム売却で利益が生じる場合、売却益3,000万円まで所得税が課税されない特例もあります。
どちらも、所得税額が圧縮できる特例になりますが、所得税上、両制度の併用はできません。

そこで今回は、住宅ローン控除と、マイホーム売却益3,000万円特別控除の特例のどちらが得なのか?
また、過去に適用した特例の「撤回」を行い、有利な特例の選択が可能なのか?につき解説します。
 

1. 併用は不可

 
原則として、「住宅ローン控除」と、「マイホーム売却益3,000万円の特別控除の特例」の併用はできません
住宅ローン控除の要件として、以下の要件が定められています。
 

①(居住前 年度要件) 居住年及びその前2年の3年間に「譲渡所得の課税の特例」の適用を受けていないこと。
②(居住後 年度要件) 居住年の翌年以後3年以内に、居住した住宅以外の一定の資産を譲渡し、当該譲渡について「譲渡所得の課税の特例」を受けていないこと。

 
つまり、新マイホームに居住した年度の前後6年間、例えば、マイホーム売却益3,000万円の特別控除の特例等の適用を受けていた場合は、住宅ローン控除ができないということになります。

上記の特例が利用できない期間につき、以下、具体例で解説します。
 

2. 併用できない期間の具体例

 

(1) 具体例

例)新マイホームの居住が2023年10月の場合。

 

上記例題の場合、2021年~2026年の期間内で「マイホーム売却益3,000万円特別控除」の適用を受けている場合は、「住宅ローン控除」ができません。

(2) 制限期間以外は住宅ローン控除が適用できるわけではない

上記6年間に「特例」を受けている場合は、たとえ住宅ローンを組んだ場合でも、本来の住宅ローン控除の期間「全期間」につき、住宅ローン控除は適用できません。
つまり、当該期間中に組んだ住宅ローンについては、上記の制限期間6年間が終えた後も、控除することはできません

例えば、上記例題で、2023年10月に住宅ローンを組んだ場合、本来2023年12月期~13年間住宅ローン控除は可能ですが、制限期間を終えた2027年12月期~住宅ローン控除の残期間となる「9年間」控除ができるというわけではありませんので、十分ご留意ください。
 

3. 旧マイホームの売却をずらした場合は?

(1) 売却を早めた場合

上記例では、2020年12月以前に旧マイホームを売却した場合は、住宅ローン控除の要件①を満たし、両制度の併用が可能です。
ただし、現実的には、住み替えの場合に、先に旧マイホームを売却し、3年後に新マイホームを購入するケースは少ないかと思われます
(売却後、一旦賃貸等に引越すケースなどに限定)。
 

(2) 売却を遅らせた場合

上記例では、2027年1月以降に旧マイホームを売却した場合は、住宅ローン控除の要件②を満たし、両制度の併用が可能なようにも見えます。
しかし、3,000万円特別利益の控除の要件として、「住まなくなった日から3年を経過した年の12月31日までに売却」の要件があります。

したがって、現実的には、少なくとも新マイホームに居住した時点で、「旧マイホームに住まなくなって」となりますので、そこから3年以内は必ず住宅ローン控除の要件②に引っかかることになります。したがって、現実的には、売却を遅らせた場合でも、2つの特例の要件両方を満たすことはありません。
 
結論的には、住み替えの場合は、旧マイホームの売却時期をずらしても、両制度が併用できるケースは、ほとんどないということになります。
 

4. 併用できない「譲渡所得の課税の特例」とは?

上記要件中の「譲渡所得の課税の特例」とは、次の5つの制度をさします。
 

所有期間10年超軽減税率の特例(措法31の3①)
マイホーム売却益3,000万円特別控除の特例(措法35①)。
マイホーム買い換え特例(措法36の2)
財産を交換した場合の長期譲渡所得の課税の特例(措法36の5)
既存市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え及び交換の場合の譲渡所得の課税の特例(措法37の5)

3,000万円の特別控除だけでなく、「所有期間10年超の軽減税率」や、「買い替え特例」とも含まれますので、十分注意が必要です(空き家特例(措法35③)は除きます)。
なお、あくまで、併用不可の住宅ローンは、新マイホームの住宅ローンであり、旧マイホームの住宅ローン控除ではありません。
 

5. 修正申告で撤回し、「有利な方を選択し直せない」ケースに注意

 
例えば、一方の特例を受けた後、もう一方の特例の方がお得なので、過去の決算書を修正して、「もう一方の特例」を適用できるのか?という論点があります。
順番を間違うと、修正申告もできなくなりますので、十分留意が必要です。
 

(1) 住宅ローン控除が先、3,000万円特別控除の特例が後

新マイホーム居住が先、旧マイホームの売却が後のケースで、既に新マイホームにつき「住宅ローン控除」を受けている場合もあります。
この場合は、過去に「住宅ローン控除適用済」の確定申告書の修正申告を行い、旧マイホーム売却益3,000万円の特別控除の特例を受けることができます
 

(2) 3,000万円特別控除の特例が先、住宅ローン控除が後

旧マイホームの売却が先、新マイホームの居住が後のケースで、既に旧マイホームにつき「3,000万円の特別控除の特例」を受けている場合もあります。
こういった場合、過去に3,000万円の特別控除を受けた確定申告書の「修正申告」はできません
 
いったん「3,000万円控除」の適用を受けることを選択して提出した確定申告書につき、その適用の撤回は認められない旨、明文化されています(国税庁HP質疑応答事例「居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用の撤回の可否」)。この結果、過去に提出した確定申告書の修正申告もできません。
実務上は、上記(1)よりもこちらのケースの方が多く、適用誤りにつき「税理士賠償保険」で取り扱われる事例もありますので、十分ご留意ください。

 

6. 住宅ローン控除と3,000万控除はどちらが得なのか?

 

(1) 住宅ローン控除率(新築の場合)

2022年以降、「住宅ローン控除」ができる借入限度額や控除率は以下となります。
 

住宅環境性能等 借入限度額 控除期間 控除率
2022/2023年 2024/2025年
長期優良住宅
低炭素住宅
5,000万円 4,500万円 13年 0.7%
ZEH水準省エネ住宅 4,500万円 3,500万円
省エネ基準適合住宅 4,000万円 3,000万円
その他の住宅 3,000万円 ゼロ

2024年以降は、最大で、住宅ローン控除による税額控除額は、長期優良住宅等の4,500万円×0.7%×13年=409.5万円となります。
ただし、現実的には「住宅ローンの残高」は年々減少していきますので、あくまで上記は最大値で、実際の節税額は上記よりも少なくなるケースが多いです。
 

(2)マイホームの譲渡所得税率

以下の通りです。

所有期間5年以下 39.63% (所得税30.63%、住民税9%)
所有期間5年超 20.315% (所得税15.315%、住民税5%)
所有期間10年超(譲渡益6,000万円以下部分)(※) 14.21% (所得税10.21%、住民税4%)

(※)譲渡益6,000万円超部分は、20.315%(所得税15.315%、住民税5%)

 

(3) マイホーム売却益にかかる税額(所得税・住民税)

例えば、旧マイホームの売却益が、それぞれ3,000万円、2,000万円、1,000万円生じた場合の売却益に係る所得税額は以下の通りです(単位 千円)

所有期間5年以下
(39.63%)
所有期間5年超
(20.315%)
所有期間10年超
(14.21%)(※)
3,000万円 11,889 6,094 4,263
2,000万円 7,926 4,063 2,842
1,000万円 3,963 2,031 1,421

(※)6,000万以下部分

4,500万の最大の住宅ローン控除を取れる場合(2024年以降)を前提にすると、住宅ローン控除適用による最大節税額は409.5万円です。
したがって、上記表の赤字部分は、少なくとも、3,000万円特別控除を適用したほうが、税額節税額が多くなりますので、3000万円特別控除を利用した方がお得なラインです。

なお、先ほどお伝えした通り、現実的には住宅ローン残高は年々減少しますので、あくまで、上記前提の「住宅ローン控除の節税額」は「最大値」である、という点を考えると、3,000万円特別控除を適用したほうがお得な「売却益」のラインは、もう少し下がります
 

(4) 結論

旧マイホームの売却益の額が多い場合や、所有期間が短く、譲渡所得税率が高いケースは、3,000万円特別控除を利用した方がお得になるケースが多いです。また、早期返済や早期売却予定等により、今後の住宅ローン控除の額が下がる場合も3,000万特別控除の方がお得といえます。

 

7. ご参考~各種特例の併用関係~

マイホーム譲渡所得に関しては、さまざま特例がありますが、特例が併用できるものと併用できないものがあります。
まとめると、以下の通りです。

「住宅ローン控除」 については、空き家特例以外は、他の特例との併用ができません。
譲渡所得が少額の場合は、住宅ローン控除を適用したほうがお得なケースも多いですので、特例の適用については、慎重な判断が必要です。

 

特例 併用可 併用不可
3,000万特別控除 ●10年超軽減税率
●空き家特例(合わせて3,000万が上限)
●買い換え特例
●住宅ローン控除(一定の年数につき)
買い換え特例 ●3,000万特別控除
●10年超軽減税率
●住宅ローン控除(一定の年数につき)
●空き家特例
所有期間10年超
軽減税率の特例
3,000万特別控除 ●買い換え特例
●住宅ローン控除
●空き家特例
空き家特例 3000万特別控除(合わせて3,000万が上限)
住宅ローン控除(空き家と別に自宅がある場合)
●買い替え特例
●相続財産譲渡時の取得費加算の特例
●10年超軽減税率
住宅ローン控除 空き家特例(空き家と別に自宅がある場合) ●3,000万特別控除(一定の年数につき)
●買い換え特例(一定の年数につき)
●10年超軽減税率

 

8. 参照URL

(No.3302 マイホームを売ったときの特例)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

(No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除))

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1212.htm

(居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例の適用の撤回の可否)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/18/17.htm

(居住用財産の譲渡所得の特別控除の特例等の適用を受ける場合の修正申告)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/06/23.htm

 

9. Youtube

 
YouTubeで分かる「住み替え時どちらが得なのか」

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No183.【わかりやすく】マイホーム買い換え特例の要件は?3,000万円特別控除の特例とどちらが得?住宅ローン控除との併用は? https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/183.html/ https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/183.html/#respond Fri, 17 Aug 2018 01:40:36 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=9541   マイホームを売却する際は、所得税上、さまざまな特例が認められています。 例えば、「売却益3,000万円までは課税されない特例」や、10年超の軽減税率等が代表例です。 一方、マイホームを売却するだけでなく、新 […]

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マイホームを売却する際は、所得税上、さまざまな特例が認められています。
例えば、「売却益3,000万円までは課税されない特例」や、10年超の軽減税率等が代表例です。

一方、マイホームを売却するだけでなく、新たな物件に買い換える場合は、「買い換え特例」という所得税上の特例制度があります。
今回は、マイホーム買換え時の「買い換え特例」につき解説し、他の特例との併用関係や、3,000万円特別控除の特例とどちらが得なのか?につき検証します。

 
 

1. マイホーム買い換え特例とは?要件は?

 

(1) 買い替え特例とは?

 
マイホームを売却し、新たにマイホームを購入した場合、旧マイホーム売却益に課税される所得税を、新居の売却まで繰り延べることができる制度です(租措法36の2)。
 

    【具体例】
    ● 1,000万円で購入したマイホームを、5,000万円で売却
    ● 上記と同時に、新マイホームを7,000万円で買い換え

 

上記の場合、本来は、旧マイホームにかかる4,000万円の売却益(5,000-1,000)が「所得税課税対象」となります。
しかしながら、「買い換え特例」の適用を受ける場合は、旧マイホーム売却益4,000万円に対する課税は、新マイホームを「将来譲渡」するときまで繰り延べられます。
 

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(2) 主な要件

 
当該特例は、要件が細かく定められているため、実務上は適用できるケースが限定されます。主な要件は以下の通りです。
 

旧マイホーム 住まなくなって、3年目の年の12月31日までに譲渡(日本国内にある物件)
●直近2年間に、他の居住用財産の課税特例の適用を受けていない。
売却代金が1億円以下
居住期間及び所有期間が10年以上
●売却相手が、親子や配偶者など「特別な関係者」ではないこと
新マイホーム ●建物の登記上面積50㎡以上、敷地の面積500㎡以下の日本国内の物件(店舗兼用住宅の場合は、居住用部分のみの床面積で判定)
売却年前年から、売却翌年末まで(計3年間)に、買い換え資産を取得(※)
●一定の省エネ基準を満たすもの(令和5年12月末以前建築確認済のもの等は除く)
●中古住宅の場合は、取得日以前25年以内に建築されたもの等

 
(※)マイホーム取得時期に応じた、買い換え資産「居住時期」の要件があります。

新マイホーム取得時期 居住時期
売却年or売却年前年 売却年翌年12月31日までに居住
売却年翌年 取得した年の翌年12月31日までに居住

なお、旧マイホームの売却先は「親族等」でないことが必要とされますが、今回の特例を利用した買い換え資産の購入は、親族等からの取得でも特例の適用が可能です。

 
 

(3) 単なる課税の繰延

 
ただし、この制度は、単なる課税の繰延であるため、以下の点にも注意が必要です。

単なる課税の繰延 当該制度は、課税が繰延されるだけで、税金が減免されるものではありません。将来、買い換えたマイホームを売却した時点で、まとめて税金がかかります。
例えば、上記(1)の例で、買い替えた新マイホームを、将来8,000万円で売却した場合、8,000万円(売却価額)-7,000万円(購入価額)=1,000万円(実際の譲渡益)に課税されるだけでなく、旧マイホーム売却時に繰り延べられていた4,000万円の譲渡益を加えた5,000万円につき、所得税が課税されます。
取得日は引き継がれない 買い換え特例を適用した場合、「旧マイホームの取得日」は引き継がれません。つまり、「買い換えした日=新たな取得日」となります。
この影響は、将来、新マイホームを売却する場合に生じます。
例えば、買い換え特例適用後、10年を経過しない時点で売却する場合は、居住期間10年超の軽減税率等の適用はできません。

 
 

2. 買い換え時の譲渡所得の計算

「旧マイホームの売却価格」と「新マイホームの取得価格」の金額の大小により、繰り延べ可能な「売却益」の金額が異なります。
 
 

(1) 旧マイホーム売却価額 ≦ 新マイホーム取得価額の場合

この場合は、旧マイホーム売却益は全額繰り延べられ、旧マイホーム売却時点での所得税の課税はありません。

 
 

(2) 旧マイホーム売却価額 > 新マイホーム取得価額の場合

この場合は、旧マイホーム売却時点で一部課税され、一部売却益の繰延が可能です。
売却時の譲渡所得(=税金がかかる対象)は、以下の式で計算します。

収入金額(+) 旧マイホーム売却価額 - 新マイホーム買い換え価額
取得費(△)(※) (売却した旧マイホームの取得費 + 譲渡費用)×(① ÷ 旧マイホーム売却価額 )
差引譲渡所得 ①-②

(※)取得費とは、収入から差し引ける金額です。
計算式は難しいですが、当該式は、旧マイホームの取得費のうち、今回買い替え時に「認識する上記①の収入に対応する部分」を算定しています。

以下、具体例を用いて解説します。
 
 

3. 具体例

● 簿価1,000の旧マイホームを、5,000で売却(=売却益4,000)。譲渡費用はゼロとする。
 (1)新マイホームを、7,000で買い換え購入した場合 
(旧マイホーム売却価額 ≦ 新マイホーム取得価額) 
 (2)新マイホームを、3,000で買い換え購入した場合 
(旧マイホーム売却価額 > 新マイホーム取得価額)
● 上記で購入した新マイホームを、将来8,000で売却した場合は?
(この際、新たな買換えはないものとする)
● 簡便的に、減価償却は無視し、土地と建物の区分はしないものとする。

 
 

(1) 7,000で買い換えのケース(旧マイホーム売却価額 ≦ 新マイホーム取得価額)

 

①新マイホーム購入時の課税所得

旧マイホームの売却益4,000は全額繰り延べられ、売却時の税金はゼロ
(4,000は、将来新マイホーム売却時まで繰延OK)

 

②将来、新マイホーム売却時の課税所得

 8,000 - 7,000(新マイホームの取得価額) + 4,000(旧マイホーム売却時の繰延所得)= 5,000 

なお、新マイホーム取得価額7,000と、旧マイホーム売却価額5,000の差額2,000は、新マイホーム購入時の追加資金となりますので、当該部分に税金は課税されません。

 
 

(2) 3,000で買い換えのケース(旧マイホーム売却価額 > 新マイホーム取得価額)

 

①新マイホーム購入時の課税所得

計算式 金額 算定根拠
収入金額(+) 旧マイホーム売却価額 - 買い換え価額 2,000 5,000 – 3,000 = 2,000
取得費(△) (売却した旧マイホームの取得費 + 譲渡費用)×(① ÷ 売却価額 ) 400 1,000 × ( 2,000 ÷ 5,000 ) = 400
差引譲渡所得 ① - ② 1,600 2,000 – 400 = 1,600

旧マイホームの売却益4,000のうち、1,600だけ課税され、差額の2,400(4,000 ― 1,600)は、新マイホーム売却時に課税されます
 

②新マイホーム売却時の課税所得

8,000 - 3,000(新マイホームの取得価額) + 2,400(旧マイホーム売却時の繰延所得) = 7,400

 
 

(3) まとめ

厳密には、土地と建物を区分して計算を行いますが、買い換え特例は、買い換え時に繰り延べた利益につき、将来売却時に税金がかかり、単に課税の繰延の制度である点がわかります。

なお、将来再売却時点でも、買い替え後10年超等でマイホームを買い換えるなど、「買い換え特例の要件」を満たせば、さらに繰延は可能です。

 
 

4. 他の特例との併用は?

「買い替え特例」は、他の譲渡所得特例と併用できないものがほとんどです。マイホームに関連する「他の特例」との併用関係は、以下の通りとなります。
 

マイホーム売却益「3,000万円特別控除の特例」 併用不可
空き家売却時の3,000万特別控除 併用不可(居住の用に供していないため。租措法36条の2みなす規定なし)
所有期間10年超の売却益軽減税率の特例 併用不可
住宅ローン控除 原則、併用不可(一定の年数)

特に、住宅ローン控除との併用は、原則、併用できない点に注意が必要です(入居年前々年~入居年翌年から3年目まで(計6年間)は適用不可)。
当該規定は、上記の6年間以外は住宅ローン控除ができるという規定ではありません
当該期間内に「買い替え特例」を適用した場合は、住宅ローン控除自体が適用できません。詳しくは、No188で解説していますので、ご参照ください。

 

 

5. マイホーム売却益3,000万円特別控除と買い替え特例はどちらが得なのか?

旧マイホームを売却する際「売却益」が生じる場合、「マイホーム売却益の3,000万円特別控除」と、今回の「買い替え特例」どちらが得なのか?迷われると思われます。
 
 

(1) 課税所得が3,000万円以下の場合

「3,000万円特別控除」は、税金が免税される特例となりますので、譲渡所得(利益)が3,000万円以下の場合は、「3,000万の特別控除の特例」の方が税金が発生しない点、お得と言えます。
なお、翌年の国民健康保険料は、3,000万円と特別控除を差し引いた額で算定されますので、国民健康保険料が上がることもありません。
 
 

(2) 課税所得が3,000万円超の場合

一方、譲渡所得が3,000万超の場合は、買い換え特例を適用する方がお得なケースもあります。
例えば、買い替えるマイホームは10年以上居住保有する予定で、当面は売却予定がない場合は、買い替え特例により、実質的に課税されないケースもあります。
また、「買い換え特例」を適用した場合は、譲渡所得を繰り延べますので、「国民健康保険料等」にも影響はありません

 
 

(3) 注意事項

上記のとおり、買い換え特例は、あくまで課税を繰延するだけですので、将来買い換え資産を売却した際に多額の税金が課税される可能性があります。
買い換え特例を適用した場合、旧マイホームの「取得日」は引き継がれません。したがって、例えば、買い替え特例適用後、10年以内に再売却する場合は、10年超の軽減税率等が利用できず、多額の税金が生じる可能性があります。

つまり、「買い換え特例」を適用する場合は、新たに買い換えたマイホームを、10年超所有するという長期的視野を持っておく必要があります。

 

6. 参照URL

(No.3355 特定のマイホームを買い換えたときの特例)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3355.htm

(No.3362 居住用財産の買換えの特例を受けて買い換えた資産の取得価額とされる金額の計算)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3362.htm
 

7. Youtube

 
YouTubeで分かる「マイホーム買い換え特例」

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No182.【空き家売却特例】相続で取得した空き家売却時の3000万円の特別控除をわかりやすく解説/他の制度との関係は? https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/182.html/ https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/182.html/#respond Sat, 21 Jul 2018 01:32:59 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=9327   新聞やニュースでは、よく「空き家問題」が話題にあがっていますね。 最近は、核家族化などの影響もあり、せっかく家を相続したのに、利用することなく「空き家」になってしまうケースが・・結構あるようです。 &nbs […]

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新聞やニュースでは、よく「空き家問題」が話題にあがっていますね。
最近は、核家族化などの影響もあり、せっかく家を相続したのに、利用することなく「空き家」になってしまうケースが・・結構あるようです。
 
「空き家」は、老朽化すると危険ですし、土地の有効活用という点からも、国として放っておくわけにはいきません。そこで、空き家売却を促進するため、「空き家売却時の3,000万円の特別控除」の特例という制度が新設されました。

 
ただし、要件が非常に複雑で、適用できるケースが限定されているため、実務上はそこまで利用がすすんでいないのが現状のようです。

 
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1. 空き家売却特例とは?メリット・デメリット

 

(1) 空き家特例とは

相続で引き継いだ土地建物を、①取り壊して更地にして売却or②建物をリフォームして売却する場合、譲渡所得から3000万円控除できる制度です。
 

(2) メリット・デメリット

メリット デメリット
  • 売却所得税の負担軽減
  • 空き家売却をスムーズに進められる
    (=資金確保が容易となる)
  • 国全体としての土地の有効活用
  • 現行耐震基準に合わせる必要があり、リフォームが必要な場合や、解体費用が追加発生する場合がある。
  • 要件がかなり厳しい。

 

2. 空き家売却特例の特徴

(1) 家屋と敷地をセットで相続した場合のみ

この特例は、家屋と敷地を「セットで相続取得した相続人だけ」が利用できます。
家屋と敷地を、別々の相続人が取得した場合は、適用できません。
 

(例)

ケース 適用関係
相続人のうち土地と家屋をそれぞれ別々に相続した場合 土地家屋セットで相続した方のみ特例適用可能。
⇒それぞれ別々に相続した場合は、特例適用不可
家屋or敷地は元々相続人が所有していて、今回敷地or家屋のいずれかだけ相続した場合 特例適用不可

 

(2) マンションや区分所有2世帯住宅は対象外

区分所有建物(マンション等)は対象外となります。区分所有登記している2世帯住宅も×となります。
 

(3) 建物取り壊しor建物リフォーム必要

特例の対象となるものは、土地のみも可能ですし、土地建物両方も可能です。
ただし、当該制度は、空き家となり老朽化した家屋を減らしていくことことが制度趣旨となりますので、①家屋を取り壊して土地を売却or②取り壊さず、耐震基準を満たすリフォームをして土地建物を売却する場合のみとなります。
 

家屋を取り壊して更地を売却する場合 解体工事の時期に注意が必要です。売主は、引渡までに家屋を取り壊しておく必要があります。(=更地状態で引渡)
したがって、例えば、古家つきで、家屋価額ゼロで引き渡す場合は、特例の適用はできません。
また、土地を譲渡した後に、建物の取り壊しやリフォームをしても、特例の適用が受けられない点にも注意しましょう。
家屋を取り壊さない場合 家屋を取り壊さず、そのまま譲渡する場合は、建物につき、一定の耐震基準を満たす必要があります。
耐震リフォームを行い、「耐震基準適合証明書」を取得する必要があります。

 

3. 要件

空き家家屋の要件
  • 相続開始直前に、被相続人の居住の用に供されていた家屋(※)
  • 相続直前に、被相続人だけが居住(貸付してる場合は×)
  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された家屋
  • 相続開始後、譲渡時まで事業・貸付・居住の用に供されていない。
  • 区分所有建物(マンション等)は×。区分所有登記している2世帯住宅も×。
  • 更地にして売却する場合は、取壊費用を売主が負担し、譲渡時までに建物が取り壊されていること
  • 家屋を譲渡する場合は、一定の耐震基準に適合するものであること。
譲渡価格・譲渡先
  • 売却代金は、1億円以下
  • 買主は配偶者や直系血族など、特別な関係の人に対する売却ではないこと
譲渡期間
  • 相続開始日から3年目の日の属する12月31日までの譲渡

(※)平成31年度税制改正により、平成31年4月1日以後の譲渡から、「老人ホームに入居していた一定の場合」も、特例の適用ができるようになりました(被相続人要介護認定要件あり)。ただし、老人ホーム入居前に「本人以外」が居住していた場合は適用できないため、小規模宅地等の特例とは要件が大きく異なります。

譲渡対価が1億円を超えるかどうかの判定は、かなり複雑です。
「共有」の場合は、合計で判定するなど、さまざまな細かい規定がありますので、留意しましょう
(租措法35-20)

 

4. 他の制度との併用

居住用財産に関連する「他の特例」との併用関係をまとめておきます。

マイホーム売却時の3,000万円特別控除の特例 併用(合わせて3,000万円まで)
(租措法35条、みなす規定あり)
マイホーム売却時の買い替え特例 併用不可(居住の用に供していないので)
(租措法36条の2みなす規定なし)
所有期間10年超軽減税率の特例 併用不可(居住の用に供していないため)
(租措法31条の3みなす規定なし)
「相続3年内取得費加算の特例」 併用不可。選択適用
住宅ローン控除 併用(空き家と別に自宅がある場合)

 

マイホーム売却時の3,000万円特別控除の特例 併用(合わせて3,000万円まで)
(租措法35条、みなす規定あり)
マイホーム売却時の買い替え特例 併用不可(居住の用に供していないので)
(租措法36条の2みなす規定なし)
所有期間10年超軽減税率の特例 併用不可(居住の用に供していないため)
(租措法31条の3みなす規定なし)
「相続3年内取得費加算の特例」 併用不可。選択適用
住宅ローン控除 併用(空き家と別に自宅がある場合)

5. Youtube

 
YouTubeで分かる「相続で取得した空き家売却時の3000万円の特別控除とは?」

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個人が不動産を売却した場合、損が生じる場合は所得税は課税されませんが、利益が生じる場合は原則として所得税等が課税されます。

ただし、一定要件を満たすマイホームを売却する場合は、売却益3,000万円までは税金が課税されない特例が認められています。

また、売却益が3,000万円を超えた場合でも、所有期間10年超のマイホーム売却については軽減税率が定められています。

今回は、売却益が生じた場合の「3,000万円の特別控除の特例」や「軽減税率」についてまとめます。

 

1. 売却益3,000万円特別控除の特例とは?

個人が、居住用財産(マイホーム)を売却して利益が生じた場合、譲渡所得(売却益)の金額から、最高3,000万円まで控除できる特例です。つまり、マイホームを売却する場合は、利益が3,000万円までは、所得税・住民税とも課税されません。
この制度は、マイホームの買換えは要件として要求されていません

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(1) 主な要件

マイホーム売却の「3,000万円」の特別控除の主な要件と、留意事項を記載します。

要件 留意事項
住んでいる建物又は土地建物を、居住しなくなって、3年経過日の「属する年」の12月31日までに譲渡
  • 実際住んでいない場合や、別荘などは×。住民票だけを移しても×。
  • 土地のみの売却の場合は特例適用不可(建物取壊&売却は、一定要件満たせばOK、租措法35-2)。
  • 単身赴任等により所有者自身が居住していない場合でも、「生計を一にする親族が居住」し、単身赴任終了後、配偶者等と居住すると認められる場合は、特例適用が可能(租措法31の3-2)。
売却年の「前年及び前々年」に各種特例を受けていないこと。
家屋や敷地等につき、収用等の場合の特別控除等の特例適用を受けていない
売手と買手が、親子や夫婦など特別な関係でないこと。 生計を一にする親族、家屋売却後、その売却家屋で同居する親族、内縁関係の人、特殊関係法人も含む

 
なお、3,000万円特別控除の特例は、居住期間・所有期間の制限は特にありません
 

(2) 一定期間住宅ローン控除との併用は×

入居年前々年~入居年翌年から3年目まで(計6年間)に、3,000万円の特別控除の特例の適用を受けた場合は、その期間、住宅借入金等特別控除の適用ができません。令和2年改正により、重複適用できない期間が1年延長されていますので、十分ご留意ください(租法41㉑)
なお、当該規定は、新しく購入したマイホームつき「住宅ローン控除」を受ける場合の制限です。売却した側のマイホームの住宅ローン控除は関係ありません
前年or前々年に「住宅借入金等特別控除」を受けていた場合は、修正申告が必要となります( 租措法41の3 ①)。
 

(3) 共有や店舗併用住宅は?

 

共有の場合は
  • 共有者それぞれで要件を判断し、別々に特例の適用が可能
  • 共有者全員で合計3,000万円ではなく、共有者1人につき最高3,000万円まで特例の適用が可能(タックスアンサーNO 3308)。
店舗併用住宅は?
  • 居住用部分については、特例適用が可能。
  • 居住用面積がおおむね9割以上の場合には、全部を居住用財産として特例の適用が可能(タックスアンサーNO3452)。

 

(4) 土地建物が別々の所有の場合は?

3,000万円特別控除の特例は、原則として家屋に対する特例のため、敷地は、家屋の適用に「従属して」適用が可能という関係にあります。したがって、土地のみの譲渡は、原則的に特例の適用除外となります。
しかし、例えば、夫婦で土地建物をそれぞれ別々に所有しているなどの場合は、実態にそぐいません。
そこで、例外的に、一定要件を満たす場合、建物で適用した3,000万円特別控除の「控除不足額」の範囲内で、土地所有者についても、3000万円の特別控除の適用が認められます
(タックスアンサーNo.3311、租通35-4、所基通2-47)。

つまり、まずは建物所有者が、建物につき「3,000万円の特別控除」の適用を行い、控除できなかった「控除不足部分」につき、土地所有者が3,000万円の特例適用が可能ということになります。
 

(要件)

  • 建物とともに土地等を譲渡
  • 建物所有者と土地所有者が親族関係かつ生計一にしている
  • 建物所有者と土地所有者がともにその建物に居住

 

(5) 添付書類

  • 譲渡所得の内訳書
  • 譲渡契約締結日前日に、住民票記載住所と売却マイホームの所在地が異なる場合は、戸籍の附票の写しなど

 

2. 所有期間10年超の軽減税率とは?

所得の計算方法は、①他の所得と合算して計算する「総合課税」と、他の所得とは分離して計算する「分離課税」の2種類に区分されます。今回の土地・建物の売却に係る所得は「譲渡所得」「分離課税」となります。
分離課税については、税率があらかじめ決められています。下記の通りです。
 

(1) 税率

①原則

原則的な不動産売却(マイホームも含む)に関する所得税等の税率(分離課税)は、下記の通りです。
所有期間5年以下、5年超で区分されます。
 

所有期間5年以下(短期譲渡所得) 39.63% (所得税30.63%、住民税9%)
所有期間5年超(長期譲渡所得) 20.315% (所得税15.315%、住民税5%)

 

②所有期間10年超の軽減税率の特例

 
所有期間10年超(売却年の1月1日時点)のマイホームについては、「軽減税率の特例」が認められています。
 

譲渡益6,000万円以下の部分 軽減税率14.21% (所得税10.21%、住民税4%)
譲渡益6,000万円超の部分 軽減税率20.315% (所得税15.315%、住民税5%)

 

(2) 主な要件

 

要件 摘要
住んでいる建物又は土地建物を、
居住しなくなって、3年経過日の「属する年」の12月31日までに譲渡
上記1.(1)「3,000万円」の特別控除と全く同じ

  • 実際住んでいない場合や、別荘などは×。住民票だけを移しても×。
  • 土地のみの売却の場合は特例適用不可(建物取壊&売却は、一定要件満たせばOK、租措法35-2)。
  • 単身赴任等により所有者自身が居住していない場合でも、「生計を一にする親族が居住」し、単身赴任終了後、配偶者等と居住すると認められる場合は、特例適用が可能(租措法31の3-2)。
売却年の1月1日時点で、家屋や敷地所有期間がともに10年を超えている
売却年の前年及び前々年に、この特例を受けていない
売却した建物や土地につき、マイホーム買い換えや交換特例など他の特例を受けていない マイホーム売却時の「3,000万円」の特別控除の併用は可能
親子や夫婦など「特別の関係がある人」に対して売ったものでない 上記1.(1)「3,000万円」の特別控除と全く同じ
生計を一にする親族、家屋売却後、その売却家屋で同居する親族、内縁関係の人、特殊関係法人も含む

 

(2) 一定期間住宅ローン控除との併用は×

10年超の軽減税率の適用についても、3,000万円の特別控除と同様の制限があります。
入居年前々年~入居年翌年から3年目まで(計6年間)に、所有期間10年超の軽減税率の特例適用を受けた場合は、その期間、住宅借入金等特別控除の適用ができません。令和2年改正により、重複適用できない期間が1年延長されていますので、十分ご留意ください。
なお、当該規定は、新しく購入したマイホームつき「住宅ローン控除」を受ける場合の制限です。売却した側のマイホームの住宅ローン控除は関係ありません
前年or前々年に「住宅借入金等特別控除」を受けていた場合は、修正申告が必要となります( 租措法41の3 ①)。

また、当該規定は、「入居年前々年~入居年翌年から3年目まで(計6年間)」以外は、住宅ローン控除ができるという規定ではありません。
当該期間内に「3,000万円特別控除」を適用した場合は、住宅ローン控除自体が適用できないとする規定となりますのでご留意ください。

 

(3) 添付書類

  • 譲渡所得の内訳書
  • 譲渡契約締結日前日に、住民票記載住所と売却マイホームの所在地が異なる場合は、戸籍の附票の写しなど
  • 売却した居住用財産の登記事項証明書

 

3. 3,000万円特別控除と軽減税率の併用はOK

3,000万円特別控除と、10年超軽減税率の併用は可能です。
併用する場合は、まず、3,000万円の特別控除額を譲渡所得の金額から控除し、控除してもなお残った所得につき「軽減税率」を適用します。
 

(例)
●マイホームを1億円で売却した。取得費(=売却原価)は2,000万円とする
 ⇒譲渡所得8,000万円
●上記マイホームは、10年超居住しているものとし、その他特例の要件は満たすものとする。

 
(1億円 - 2,000万円)‐ 特別控除3,000万円 = 5,000万円(課税対象)
5,000万円 × 14.21%(10年超の軽減税率)= 710.5万円(所得税+住民税合計)

 

4. ( ご参考)平成21年・平成22年取得土地を譲渡した場合の1,000万円特別控除の特例

別途の制度で、土地につき、平成27年以降に売却することで、1,000万円の特別控除を受けられる特例があります。平成20年のリーマンショックによる緩和措置的な特例です。
(租特法35条の2)
マイホームに関わらず土地全般に認められる特例である点が特徴です。
ただし、居住用の3,000万円特別控除、特定居住用財産の買換え特例等との併用はできません(住宅ローン控除との併用は可能)。

この特例は・・税理士でも忘れやすい特例ですので、特に注意です。
 

5. 相続と3,000万円特別控除の関係

相続税上、宅地等の相続税評価額につき、最大80%の減額ができる「小規模宅地等の特例」の制度があります。
当該制度は「自宅として利用していた土地」に適用される制度のため、相続前に売却してしまうと、「特例の利用ができない」ということになります。
例えば、親子で一緒に住んでいる自宅などの場合、相続前に、自宅を売却して今回の「3,000万円売却益特別控除の特例」を使うのか、売却せず相続したうえで「小規模宅地等の特例」を使うのか、どちらが得なのか?考慮しておく必要があります。
 

6. 参照URL

(No.3302 マイホームを売ったときの特例 3000万円特別控除)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3302.htm

(No.3305 マイホームを売ったときの軽減税率の特例)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3305.htm

(特例の適用を受ける場合に申告書に添付する書類)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/kisairei/joto/pdf/014.pdf

(No.3308 共有のマイホームを売ったとき)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3308.htm

(No.3452 店舗併用住宅を売ったときの特例)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3452.htm

(No.3311 家屋と敷地の所有者が異なるとき)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3311.htm

(No.3225 平成21年及び平成22年に取得した土地等を譲渡したときの1,000万円の特別控除)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3225.htm

7. Youtube

 

YouTubeで分かるマイホーム売却益3,000万円特別控除の特例

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No123.【どちらが得?】不動産譲渡所得の申告時期は契約時?引渡日?年をまたぐ場合の譲渡所得の計上時期/申告不要なケースは? https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/123.html/ https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/123.html/#respond Tue, 14 Mar 2017 07:06:28 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=5869   個人の方が不動産(土地・建物)を売却した場合、「資産を譲渡した日」に譲渡所得の確定申告を行います。 この「譲渡した日」は、契約日?あるいは実際引渡日?どちらを指すのか疑問が生じます。 また、実際譲渡した場合 […]

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個人の方が不動産(土地・建物)を売却した場合、「資産を譲渡した日」に譲渡所得の確定申告を行います。
この「譲渡した日」は、契約日?あるいは実際引渡日?どちらを指すのか疑問が生じます。
また、実際譲渡した場合でも、赤字の場合など、「申告義務」が生じないケースもあります。

そこで今回は、不動産「譲渡所得」計上時期に関する所得税上の規定や、譲渡所得はいくらから申告が必要か?申告不要なケースにつき解説します。

 

1.譲渡所得の算定式

譲渡所得の算定式は、以下となります。
 
譲渡所得 = 譲渡収入 -(取得費 + 譲渡費用)- 特別控除額
 
マイホーム売却の3,000万円の特別控除がある場合は、特別控除額を差し引きます。
 

2.譲渡所得を認識する日は?

譲渡所得は、「資産を譲渡した日」に認識し、確定申告を行います。また、「資産を譲渡した日」とは、原則として、「資産を引き渡した日」となりますが、売買契約の効力発生日(契約日)も認められます(所基通36-12)。
 

3.どちらが得なのか?

一般的には、「契約日」よりも「引渡日」の方が遅いため、引渡し日が年をまたぐ場合は、「引渡日」で計上する方が、所得税を支払うタイミングを遅らせることが可能です。
しかし、場合によっては、「売買契約日」に計上した方がお得なケースもあります。

「契約日」「引渡日」それぞれがお得なケースは以下の通りとなります。

 

「引渡日」がお得なケース ●譲渡所得の税率は、所有期間が5年超(長期)か5年内(短期)かで税率が異なります。当該5年の判定は、譲渡した年の1月1日時点の「所有期間」で判定しますので、例えば、「契約日」で譲渡所得を認識すると5年内となるが、「引渡日」で判定すると5年超になるケースがあります。こういった場合は、「引渡日」で認識する方がお得です。
「契約日」がお得なケース ●譲渡益や譲渡損の「各種特例」との関係で、「契約日」で申告する方がお得なケースがあります。例えば、「マイホーム売却益の3,000万円控除や、所有期間10年超の軽減税率、や、マイホーム譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例は、「居住しなくなって3年経過日の属する年の12月31日までに譲渡」という要件があります。したがって、当該特例との関係で、早めの「契約日」をベースに譲渡所得を計上するケースも考えられます。

 

4.申告不要なケースは?

不動産を譲渡した場合でも、必ず確定申告が必要なわけではありません。
「譲渡収入-譲渡費用-取得費=ゼロ以下」、つまり譲渡所得がマイナスの場合は、確定申告の必要はありません。また、基礎控除等の各種控除を差し引いた結果、所得が生じない場合は、確定申告は不要となります。

ただし、不動産譲渡に関する、下記のような「各種特例」を利用する場合は、確定申告が必要となります。
マイホーム売却益の3,000万円の特別控除の特例
マイホーム譲渡損失の損益通算・繰越控除の特例

なお、総合課税の譲渡所得(動産等の譲渡)の場合、50万円の特別控除が認められていますが、不動産の場合は50万円の特別控除はありませんので、ご留意ください。

 

5.資産の取得日は?

なお、譲渡対象の不動産を購入した時期については、上記の譲渡日の規定に準じて判定することとされています(所基通33-9)。したがって、原則的には引渡日が取得日となり、納税者の選択により売買契約締結日を取得日と判定することも可能です。
 

6.参照URL

(所基通36-12  山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/01.htm

(所基通33-9 資産の取得の日

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/04/07.htm

7.Youtube

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YouTubeで分かる「不動産譲渡所得の申告時期」





 

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No122.【計算例付】不動産譲渡所得の算定方法/譲渡収入・譲渡費用・取得費の内容は?減価償却費・リフォーム費用・登記費用等の取扱い https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/122.html/ Tue, 14 Mar 2017 07:06:18 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=5871 個人が不動産を譲渡した場合は、所得税が課税されます。 ただし、所得税は、譲渡した収入額全額に課税されるわけではなく、譲渡する際の費用や、取得費(取得に要した費用)を差し引いた「譲渡所得」に対して課税されます。 そこで今回 […]

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個人が不動産を譲渡した場合は、所得税が課税されます。
ただし、所得税は、譲渡した収入額全額に課税されるわけではなく、譲渡する際の費用や、取得費(取得に要した費用)を差し引いた「譲渡所得」に対して課税されます。

そこで今回は、譲渡所得算定時の「譲渡収入」「譲渡費用」「取得費」に該当する具体例をご紹介し、例題を用いて、譲渡所得の算定方法につき解説します。
 

1.不動産譲渡所得の算定方法

不動産譲渡所得は、以下の式で算定されます。
 
譲渡所得 = 譲渡収入 -(取得費 + 譲渡費用)
 
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また、マイホーム売却の3000万円の特別控除等がある場合は、上記の譲渡所得から「特別控除額」を差し引きます。
 

2.不動産譲渡収入とは?

不動産譲渡収入とは、不動産の「売却価格」のことです。
譲渡収入については、基本的には売買契約書に記載されている金額となるため、あまり迷う論点はありませんが、「固定資産税精算金」の取扱いには注意が必要です。
 

(1) 固定資産税精算金とは?

固定資産税は、1月1日(賦課期日)現在、所有権登記されている方に、全額納付義務があります。したがって、期の途中で取得した方は、原則として、翌年1月1日まで固定資産税の負担は生じません
しかし、例えば極端な例ですが、不動産を1月2日に売買した場合、買主は、翌年1月1日までほぼ1年間所有するにもかかわらず、固定資産税を負担しないのでは・・売主買主間で「不公平感」が生じます。

そこで、不動産取引の慣行上、売買契約時に、当事者間で「所有期間に応じた固定資産精算金」の授受を行います。買主が、売主に、購入日~12月末までの未経過固定資産税等に相当する額を支払います(例 1月2日に売却。2022年1月1日売主固定資産税365,000円負担 ⇒365,000円×364/365=364,000円 買主は売主に支払)。

当該「固定資産税精算金」は、あくまで当事者間の売却価格の調整対価と位置付けられ、売買代金の一部とされます。したがって、譲渡所得算定時の「譲渡収入」に含まれます。
 
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(2) 建物対応「固定資産税精算金」は消費税課税取引

上記の通り、固定資産税精算金は売買代金の一部と取り扱われるため、「建物部分」の固定資産税精算金は「消費税課税取引」となります(土地部分は非課税)。
 

(3) その他~譲渡収入に含まれるもの

  • 売却代金以外の「実測精算金」や、「持ち回り保証金」
  • 代償分割の際に、代償財産として他の相続人に不動産を引き渡した額(所基通 33-1の5)
  • 離婚の際の慰謝料として財産分与した不動産(所基通 33-1の4)

3.譲渡費用って?

譲渡費用とは、売却する際にかかった費用です。売却価値を高めるための「リフォーム代」や「交通費」なども含まれます。譲渡費用として認められるものと、認められないものを例示すると、以下の通りとなります。
 

譲渡費用○ 譲渡費用×
売買仲介手数料・測量費・鑑定料、広告料等
●登記費用や登録免許税・印紙税(売主負担の場合)
●(売却するための)借家人等への立退料、違約金
●売却のための建物取壊費用と建物損失額(※)
譲渡価額を増加させるためのリフォーム代
●売却交渉のための交通費・通信費
●売却するにあたっての税理士・弁護士等相談料
●資産の維持管理費用(修繕費や固定資産税など)
抵当権抹消費用
 (売買しなくても発生するため譲渡費用ではない)
●引っ越し費用など
税理士報酬

(※)土地売却のために建物を取り壊す場合、「建物の未償却残高」も売却費用に含まれます。

 

4.取得費とは?

取得費とは、売却した不動産を、過去に「取得」した際に支払った額です。
取得費の範囲は、購入した不動産の本体価格だけではなく、購入時の手数料・税金、あるいは、購入後に施したリフォーム代等(資産価値を増加させるもの)も「取得費」に含まれます

 

(1)取得費の範囲

取得費として認められるものと、認められないものを例示すると、以下の通りとなります。

取得費○ 取得費×
購入代金・設計料・設備費・測量費・改良費(通常修繕以外)
購入時の仲介手数料・司法書士手数料等
購入時の税金(不動産取得税・登録免許税・印紙税等)
●購入時の固定資産税精算金・造成費(整地・埋立て等)
オプション工事(建物付着の造作棚・ビルトインエアコン等)
相続登記費用(登録免許税、司法書士報酬等)
増改築費用・庭木・造園費用など(資産価値増加させるもの)
●建物付土地の建物購入代金・取壊費用(土地利用目的購入)
●契約キャンセルした違約金
●土地建物を購入するための「立退料」
●借入利息・保証料・団体生命保険料等(実際使用開始日までの部分)(所基通38-8)
火災保険料、家具、カーテンなど
通常の修繕料金
借入利息・保証料・団信保険料等
(使用開始後の期間分)
●引越費用・管理費・修繕積立金、ネット加入料等
●相続土地を遺産分割するための訴訟費用
●遺産分割代償金支払額

なお、相続で取得した不動産についての取得費は、相続時点の相続税評価額ではなく、原始取得価額となります。こちらについては、No120をご参照ください。
 

(2)売却時点の取得費を算定

建物については、取得の際に支出した金額を、全額「譲渡収入」から差し引けるわけではありません。建物は、取得後、時の経過とともに経年劣化していくため、取得時点の「取得費」を、「譲渡時点の価値」に修正する必要があります。
建物譲渡時点の取得費は、以下の式で算定します。

 
建物の取得費 = 取得時点の取得価額 - 譲渡時までの「旧定額法減価償却費」
 


 

(3)減価償却費の計算方法

譲渡所得算定時の「減価償却費」は、「旧定額法」で算定します。

 
減価償却費(定額法) = 建物取得価額 × 0.9 × 償却率 × 経過年数

 
●経過年数の6か月以上の端数は1年とし、6か月未満の端数は切り捨てます。
非業務用(マイホームなど)の建物の耐用年数は、通常の事業用建物耐用年数の1.5倍の年数(1年未満切捨)で計算(所施令85)。
●減価償却費の金額は、建物取得価額の95パーセントまでです。90%ではない点に注意(所施令85・134①-イ)。
 

【非業務用建物の償却率】

区分 木造 木骨モルタル 鉄骨・鉄筋コンクリート 金属造① 金属造②
償却率 0.031 0.034 0.015(70年) 0.036 0.025

「金属造①」・・・軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル以下の建物
「金属造②」・・・軽量鉄骨造のうち骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下の建物

 

(4)取得費がわからない場合

譲渡不動産が、例えば、先祖代々の相続で取得した物件などの場合・・取得費がわからないケースもあります。
こういった場合、所得税上、「売却額の5%」が「取得費」と認められます。また、取得当時の購入価額を推定で算定する方法も認められます。詳しくは、No121をご参照ください。

 

5.譲渡所得算定の計算例

    マイホームを2025年3月に売却した。売却マイホームに関する情報は以下の通り
    ①売却時期・売却価額
     ●売却日 2025年3月 
     ●売却価額2,497万円 別途、固定資産税精算金3万円、売却手数料50万円
    ②取得時期・取得価額
     ●取得日 2007年1月
     ●土地1,000万円、建物2,000万円(事業用耐用年数47年、鉄骨鉄筋コンクリート造)
     別途不動産取得税、登録免許税等90万円支払
    ③建物リフォーム(すべて資本的支出とする)
     ●リフォーム日 2013年5月
     ●リフォーム費用 500万円
    簡便的に、消費税は無視するものとする。

 

(1)譲渡収入の算定

2,497万円(売却額) + 3万円(固定資産税精算金) = 2,500万円
 

(2)取得費の算定(当初購入分)

①取得時の諸費用按分

取得時の不動産取得税等の諸費用90万円は、土地・建物共通の諸費用のため、各取得価額で按分します。

土地 30万円 90万円 ÷ (1,000万円 + 2,000万円)× 1,000万円 = 30万円
建物 60万円 90万円 ÷ (1,000万円 + 2,000万円) × 2,000万円 = 60万円
合計 90万円

②土地の取得費

1,000万円 + 30万円(土地対応諸費用) = 1,030万円
土地は、減価償却を行わないため、土地の「取得費」は、この時点で確定します。
 

②建物の取得費

取得価額 2,060万円 2,000万円 + 60万円(建物対応諸費用) = 2,060万円
償却率 0.015 47年(事業用)⇒非事業用のため、47年 × 1.5倍 =70年(1年未満切捨)
 ⇒ 償却率0.015
経過年数 18年 2007年1月 ~ 2025年3月(18年2か月) ⇒ 18年(6ヶ月未満切捨)
減価償却費 500.58万円 2,060万円 × 0.9 × 0.015 × 18年 = 500.58万円
建物取得費 1,559.42万円 2,060万円 - 500.58万円 = 1,559.42万円

 

(3)取得費の算定(建物リフォーム部分)

取得価額 500万円
償却率 0.015 リフォームは資本的支出のため、当初購入建物と同じ耐用年数(70年)を採用
経過年数 12年 2013年5月 ~ 2025年3月(11年11か月) ⇒ 12年(6ヶ月以上切上)
減価償却費 81万円 500万円 × 0.9 × 0.015 × 12年 = 81万円
建物取得費 419万円 500万円 - 81万円 = 419万円

 
リフォームにかかる耐用年数は、「資本的支出」の場合は、既存建物の耐用年数と同じ耐用年数となります。詳しくは、資本的支出のブログをご参照ください。
 

(4)譲渡所得の算定

 

譲渡所得 = 譲渡収入 - (取得費 + 譲渡費用)
 

譲渡所得= 2,500万円 - (1,030万円(土地)+1.559.42万円(建物)+ 419万円(リフォーム) +  50万円(譲渡費用))  = △558.42万円

譲渡所得がマイナスのため、所得税はゼロとなります。
譲渡損失の場合は、要件を満たせば損益通算や繰越控除などの特典があります。
なお、譲渡利益の場合も、要件を満たせば、3,000万円の特別控除などの恩典があります。

 

6.参照URL

(未経過固定資産税等に相当する額の支払を受けた場合)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/03/10.htm

(譲渡費用関係・所基通33)

https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat320/sb3160/sbb3165/1963-232

(取得費関係・所基通38)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/05/18.htm

(No.3261 建物の取得費の計算)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3261.htm
 

7.Youtube

 
YouTubeで分かる「不動産譲渡所得の算定方法」






 

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No121.【譲渡所得】領収書等がなく「取得費」がわからない場合の譲渡所得算定方法・路線価や公示価格等での推定計算は? https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/121.html/ https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/121.html/#respond Tue, 14 Mar 2017 07:06:02 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=5874   個人が不動産を譲渡した場合は、所得税が課税されます。 この点、所得税は、譲渡した収入額全額に課税されるわけではなく、譲渡する際に要した費用や、取得費(取得に要した費用)を差し引くことができ、差し引いた後の「 […]

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個人が不動産を譲渡した場合は、所得税が課税されます。
この点、所得税は、譲渡した収入額全額に課税されるわけではなく、譲渡する際に要した費用や、取得費(取得に要した費用)を差し引くことができ、差し引いた後の「譲渡所得」に対して課税されます。

しかし・・「取得費」については、購入して何十年も経過している場合、過去に取得した時の「支出額」がわからないケースもあります。

そこで今回は、「取得費」が不明の場合の取扱いや、合理的な根拠に基づく「取得費の推定計算」につき解説します。

 

1.譲渡所得の算定方法

譲渡所得は、以下の式で算定されます。
 
譲渡所得 = 売却収入 -(取得費 + 売却費用)
 

201703_1-1
 
なお、マイホーム売却の3000万円の特別控除などがある場合は、上記より、特別控除額を差し引きます。
 

2.取得費がわからない場合の概算取得費5%

(1) 概算取得費5%

取得費とは、売却した不動産につき、過去に「取得」した際に支払った額です。
相続で取得した不動産の取得費も、原始取得価額(過去に取得した際に支払った額)となります(相続時点の相続税評価額ではない)。

しかし、譲渡不動産が「先祖代々の相続で取得した物件」などの場合・・取得費が判明しないケースもあります。こういった場合も、最低限、所得税上「売却額の5%」が「取得費」として認められます(概算取得費)。


 

(2)実際費用と合算は不可

ただし、「5%概算取得費」の方法を採用した場合は、一部領収書等の「実際費用」が判明するからといって・・概算取得費に上乗せすることはできません。例えば、リフォームした際の領収書だけは見つかったからといって、概算取得費5%に「リフォームの実費」を上乗せすることはできません。
概算取得費で算定するか、実際取得費で算定するかどちらかの選択適用となります。(相続税取得費加算の特例金額は、計上OK)

 
なお、例えば、土地建物一括購入した場合でも、建物の取得価額が判明している場合は、土地のみ概算取得費を適用し、建物は実額の取得費を適用することも可能です。
 

3.推定計算

上記の「概算取得費」は、売却額の5%しか認められないため、逆にいうと「売却価額」の95%には課税されてしまうという結論となります。
この点、取得費の請求書や領収書がない場合でも、取得当時の価額を推定できる他の資料や統計資料等、合理的に取得費を推計できる根拠があれば、一般的には推定額での取得費計算も認められます。
 
ただし、現実的には、「昭和30年代以前」に取得した土地の場合は、概算取得費での計算が実際取得価額よりも高くなるケースもありますので、推定計算のメリットはあまり多くありません。
 

(1) 他の関連資料での推定計算

例えば、下記のような資料があれば、「取得費」の推定計算が認めてもらえるケースが多いです。

  • 通帳等での購入履歴、住宅ローンの返済履歴
  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約書のコピー、返済予定表
  • 購入当時の不動産業者の価格が記載されているパンフレット等
  • 同じマンションの他の契約書事例
  • 住宅ローンの場合は、登記簿「乙欄」の抵当権の設定額

 

(2) 統計資料での推定計算

関連資料が全くない場合、過去の判例では、「公表されている統計資料等」からの推定計算で「取得費」の算定が認められたケースがあります。
「公表されている統計資料」は、以下の通りです。

 

①土地

種類 注意事項
路線価(国税庁)での推定計算 国税庁HPに掲載されているのは直近の7年分のみ。それ以前のものは、国立国会図書館オンラインで、複写サービス利用が可能(ただし、令和5年5月31日までは、デジタル化作業のため、一部利用不可。公立図書館で保管ある場合あり)。
国土交通省の公示地価検索システムでの推定計算 昭和45年以降、公示価格が公表。ただし、選定標準地の数が少ないため、比準できる近傍類地が見つからないケースも多い。
「市街地価格指数」(財団法人日本不動産研究所)での推定計算 「2010年3月末を100」として、他の年度の割合がいくらか?を示した指標。ただし、実態と乖離するケースも多く、過去の裁判例で否認されているケースもあり。

 
公示価格とは、国土交通省が「取引価格の目安」として発表している価格です。路線価は公示価格の8割程度(平成4年以降)、固定資産税評価額は公示価格の7割程度(平成6年以降)、実勢価格は公示価格の1.1倍程度が目安となります。
 

②建物

国税庁より開示されている「建物の標準的な建築価額表」を基にして、購入当時の価額を推定します。
建築年と構造で、1㎡あたりの建築単価が求められるようになっています。
 
建物取得価額 = 建築年と構造をあてはめて一致する建築単価 × 延べ床面積
 
その他、着工建築物構造別単価(財団法人建設物価調査会)という統計資料もあります。
 

③ 注意事項

上記の推計は、法令で定められたものではなく、過去の判例(「平成12年11月16日裁決」)により、認められるであろう、という程度しか言えません。
したがって、あくまで、当時の他の資料で取得価額が把握できる資料が全くない場合など、限定的な場面で認められるという理解でよいかと思います。

 

4.参照URL

(No.3258 取得費が分からないとき)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3258.htm

5.Youtube

 
YouTubeで分かる「譲渡所得」
 




 

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No120.【譲渡税率】相続不動産売却時の税率は?「所有期間」起算点は相続日?実際購入日?/「取得費」が不明の場合は? https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/120.html/ https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/120.html/#respond Tue, 14 Mar 2017 07:05:45 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=5876   不動産を譲渡した場合、「所有期間」によって「譲渡所得税率」が異なります(5年以下、5年超) この点、相続で取得した場合の「所有期間」算定の起算点(取得日)は、相続日か?当初取得日か?疑問が生じます。 また、 […]

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不動産を譲渡した場合、「所有期間」によって「譲渡所得税率」が異なります(5年以下、5年超)
この点、相続で取得した場合の「所有期間」算定の起算点(取得日)は、相続日か?当初取得日か?疑問が生じます。

また、譲渡所得算定時は、譲渡不動産を「取得するための費用(取得費)」や、「売却費用」を差し引くことができます。
この点、相続で取得した不動産は、ご自身が購入したわけではないため、「取得費」が差し引けるのか?差し引ける場合、「取得費」は、相続時の課税価格か?当初取得価額か?も、実務上迷いやすい論点です。

今回は、相続で取得した不動産の「取得時期」や「取得費」につき解説します。

 

1.相続や贈与によって取得した資産の取得時期

 

(1) 不動産の譲渡所得税率

土地・建物売却に係る譲渡所得については、所有期間5年以下、5年超で税率が異なります
 

所有期間5年以下(短期譲渡所得) 39.63% (所得税30.63%、住民税9%)
所有期間5年超(長期譲渡所得) 20.315% (所得税15.315%、住民税5%)

なお、マイホームについては、所有期間10年超(売却年の1月1日時点)については、「軽減税率の特例」が認められています。
 

(2) 相続や贈与によって取得した資産の取得時期

上記の通り、不動産の譲渡所得は、所有期間に応じて「譲渡所得税率」が大きく異なります。
この点、相続や贈与によって取得した資産の所有期間の起点となる「取得日」はいつになるのでしょうか?

譲渡所得算定における、不動産取得日は、原則として「実際購入した日」となります。
したがって、相続や贈与によって取得した場合も、相続日ではなく、被相続人や贈与者が「実際取得した日」となり、相続人や受贈者に引き継がれます(所得税法60条)。

つまり、譲渡所得税率算定時の「所有期間」も、被相続人や贈与者が実際取得時からの所有期間で短期・長期を判定することになります。

なお、例外的に、相続財産を限定承認した場合は、相続発生日を取得費とする例外規定があります。詳しくは、「限定承認」をご参照ください。

 

2.相続や贈与によって取得した資産の取得費

 

(1) 譲渡所得の計算

不動産の「譲渡所得の算定方法」は以下となります。
 
譲渡所得=譲渡収入-(取得費+売却費用)
 

(2) 相続や贈与によって取得した資産の取得費

相続で取得した不動産も、譲渡収入から「取得費や売却費用」を差し引いて譲渡所得を算定します。

取得費とは、不動産等購入時の実際「購入代金」や「購入手数料」などのことです。

この点、相続や贈与により取得したものは、被相続人等の取得時期がそのまま相続人に引継がれますので、「取得費」についても、被相続人等がその土地建物を買い入れたときの購入代金等となります。

相続税の「課税価格」が「取得費」になるわけではありませんので、十分ご留意ください。

なお、建物の場合は、購入代金等から所有期間中の「減価償却費相当額」を差し引いた額を算定します。その他、相続後のリフォーム代、改良費等も認められます。詳しくはNo121をご参照ください。
 

3.相続不動産売却時の「取得費」で迷いやすい事例

相続不動産を売却する際に、控除できる「取得費」につき、実務上判断に迷いやすいものを記載します。
 

(1) 相続や贈与の際に支払った「手数料等」は?

相続人などが、その資産を取得(相続)するために通常必要と認められる費用は「取得費」に含めることができます。例えば、相続や贈与により取得した際に、相続人や受贈者が支払った登記費用、名義変更料、登録免許税・不動産取得税などです(所基通60-2)

実は、この「相続時の手数料等」に関しては、以前は「取得費」として認められていなかったのですが、最高裁の判決(最高裁平成13 年(行ヒ)第276 号同17年2月1日第三小法廷判決(裁時H17.3.1第1381号)で、「取得費」として認められるようになりました。

なお、登記費用等は「被相続人の債務」ではありませんので、相続税計算上「債務控除」はできません。相続税上の「債務控除の範囲」と、譲渡所得算定時の「取得費」の範囲は微妙に異なりますのでご留意ください。
 

(2) 遺産の「代償分割」で他の相続人に支払った金額は?(所基通33-1-5)

代償分割とは、いったん特定の相続人が相続分を超える「遺産現物」を相続し、その代わりに、相続超過分(もらいすぎた分)を、他の相続人に金銭で支払う方法です。
代償分割で、他の相続人に支払った金額は、取得費に加算できません。当該支払は、資産取得のための費用ではなく、「各取得財産の価額を調整するために」支出したものだからです。
代償金の原資となった「借入金利息」も同様です。

 

(3) 遺産分割のための「弁護士費用」は?

相続財産分割のために支払った「弁護士費用」は、資産取得のための費用ではなく、「遺産分割の費用」ですので、取得費に加算できません(所基通38-2)
 

4.相続税の取得費加算の特例

相続で取得した不動産を、相続税申告期限から3年以内に売却した場合、相続税の一部を取得費に加算できる特例があります。「相続税の取得費加算の特例」と呼ばれます。
詳しくは「相続税取得費加算の特例」をご参照ください。

 

5.取得費が不明な場合

相続等で取得した場合、不動産の取得時期が古すぎて、取得時期や取得費が判明しないケースが多いです。こういった場合は、概算取得費(売却金額の5%)や推計取得費の計算が可能です。

詳しくは「取得費がわからない場合の算定方法」をご参照ください。

 

6.参照URL

(No.3270 相続や贈与によって取得した土地・建物の取得費と取得の時期)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3270.htm
 

7.Youtube

 
YouTubeで分かる「譲渡税率」
 






 

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No119.【相続税取得費加算の特例は3年】計算例や他の制度との併用は? https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/119.html/ https://www.creabiz.co.jp/shisanzei/119.html/#respond Tue, 14 Mar 2017 07:05:21 +0000 http://www.creabiz.co.jp/?p=5877 土地や建物等を売却して利益が生じる場合、原則として、譲渡所得税が発生します。 これは、相続や遺贈により取得した土地、建物等も同様です。 しかし、相続で取得した財産につき、相続時点で相続税を支払っている場合、売却時にさらに […]

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土地や建物等を売却して利益が生じる場合、原則として、譲渡所得税が発生します。
これは、相続や遺贈により取得した土地、建物等も同様です。

しかし、相続で取得した財産につき、相続時点で相続税を支払っている場合、売却時にさらに「所得税」が課税されると・・納税者の負担が増えることになります。

そこで、相続で取得した不動産を売却する場合には、一定額所得税が安くなる「相続税の取得費加算の特例」という制度が認められています。
 
相続した土地は取得価額が低い場合が多く、「売却益」が発生するケースが多いですので、今回の特例の活用により、所得税の軽減が見込まれます。
 

1.相続税の取得費加算とは?

(1)相続税の取得費加算の制度

相続した土地・建物や株式などを、相続税申告期限から3年経過するまでに売却した場合、支払相続税額のうち、一定金額を「売却資産の取得費」に加算することができる制度です。

今回の制度は、相続税を支払っている方が対象となりますので、相続税の支払がない方は対象になりません

 

(2)取得費に加算するとなぜ安くなる?

取得費とは、売却した財産を取得する際に要した費用です(=購入価額)。
譲渡所得の計算式は、売却収入から取得費(購入価額)等を差し引いて算定しますので、取得費が多ければ多いほど、「譲渡所得」は少なくなります。
 
譲渡所得 = 譲渡収入 -(取得費 + 売却費用)
 

したがって、今回の「取得費加算」の制度により、結果的に所得税は安くなるということになります。
 

2.取得費加算金額の計算方法

(1)計算式

次の計算式で算定できます。

キャプチャ6-2

(イメージ図)

簡単にいうと、「支払った相続税のうち、「譲渡財産」に対応する金額を算定する式となります。

 

(注意事項)

  • 分子の額は「譲渡した財産」のみです(H26年改正前は、譲渡しない財産も取得費加算ができました)
  • 今回の特例は、譲渡財産に対して支払った相続税を軽減するものですので、分子分母の「相続税課税価格」は、例えば、小規模宅地等の特例の適用を受けている場合、特例適用後の金額となります。

 

(2)譲渡資産ごとに計算

取得費加算の特例は、「譲渡した資産」ごとに計算し、上限は「譲渡益金額」となります。
例えば、土地は譲渡益、建物は譲渡損が生じている場合は、建物に係る取得費加算金額は控除できません。
(土地は、複数筆であっても、「利用単位を一単位」として計算が可能と解釈されています)
株式等の場合は、銘柄ごとに計算します。

 

3.具体例

 

●相続人Aは、相続で取得した不動産を売却。
●Aが相続時に支払った相続税の状況は、以下のとおり

  • 支払相続税額は9,000万円
  • 上記相続税額算定の元となる「相続税課税価額」は3億円とする(債務控除なし)。
  • 「相続税課税価額3億円」のうち、今回売却する不動産の課税価格は1億円とする。

 

(イメージ図)

(不動産売却時に「取得費」としてに加算できる金額の計算)

9,000万円 × 1億円/3億円 = 3,000万円

 

4.取得費加算が認められる要件

(1)要件

以下のすべての要件を満たす必要があります。相続人に限らず、遺贈で取得した方も適用可能です。

  • 相続または遺贈によって財産を取得
  • 相続税が課税されている
  • 相続開始日翌日から、「相続税申告期限翌日」以後3年を経過する日までに譲渡
    =(相続発生日から起算すると3年10カ月となります)。

 

(2)売却先の制限は?

譲渡所得の特例は、「売却先が親族等でないこと」が要件となるケースが多いですが、「取得費加算」の特例については特に制限はありません。つまり・・売却先が親族等の場合でも特例の適用は可能です。
 

(3)相続税申告期限前の場合は?

相続税申告期限前に「所得税申告期限」が到来する場合は、一旦、「取得費加算の特例」を適用せずに所得税申告を行い、その後、相続税申告書提出日の翌日から2 か月以内に所得税の更正の請求を行うことができます(租税特別措置法39条4項)。
ただし、この場合、相続税申告書は期限内に提出する必要があります(租措法施行令 第25条の16②)
 

(4)期限後申告は?

期限後申告は可能です。
 

5.他の制度との併用

「他の特例」との併用関係をまとめておきます。

空き家特例 併用不可。選択適用
概算取得費(譲渡収入金額の5%) 併用OK
マイホーム売却時の3,000万特別控除 併用OK
マイホーム売却時の買い替え特例 併用OK

 

6.添付書類

  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
  • 譲渡所得の内訳・計算明細書

平成30年度より、「相続税申告書の写し」の添付は不要となりました。
 

7.参照URL

No.3267 (相続財産を譲渡した場合の取得費の特例)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3267.htm

(措置法第39条《相続財産に係る譲渡所得の課税の特例》関係)

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/sochiho/710826/sanrin/sanjyou/soti39/01.htm

(措置法第39条)

https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHSOZ000000/39.html

(租措法施行令 第25条の16②)

https://www.zeiken.co.jp/hourei/HHSOZ000010/25-16.html

 

8.Youtube

 
YouTubeで分かる「相続税取得費加算の特例は3年」

 

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