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例えば、親子間の合併などでは、合併会社が「被合併会社」の株式を保有しているケースがあります。
こういった株式は「抱合せ株式」と呼ばれ、合併の際に消滅させる会計処理を行う必要があります。

今回は、抱合せ株式とはどういったものなのか?抱合せ株式消滅差損益の会計処理・税務処理を中心にお伝えします。
 

1. 抱合せ株式とは?

抱合せ株式とは、合併法人等が保有する「被合併法人等(消滅会社)の株式」のことをいいます。

具体的に、抱合せ株式が生じるケースは以下となります。

● 合併法人が保有する被合併法人の株式(法24②)
● 分割承継法人が保有する分割法人の株式
 
①親会社が子会社を吸収合併する場合や、②子会社同士の合併で、合併子会社が「被合併子会社」の株式を保有している場合が代表例です。

以下、適格合併を前提に、会計処理・税務処理をまとめます。
 

2. 会計処理

(1)会計上の考え方(結合会計基準適用指針」206項)

合併の場合、合併により被合併会社は消滅します。
したがって、合併会社が保有する「被合併会社」の株式は消滅するため、①会計上、株式簿価を「減少させる」処理を行います。一方で、合併により、被合併法人の資産負債は引き継ぐため、②会計上、被合併会社の純資産を「増加させる」処理を行います。

この①減少させる株式簿価と②増加させる「純資産」の金額は、通常一致しませんので、合併仕訳の際に、「借方貸方」に差が生じます。当該部分は「抱合せ株式消滅差損益」として計上します。

つまり、「抱合せ株式消滅差損益」とは、被合併会社の「株主資本のうちの親会社持分相当額」と「抱合せ株式帳簿価額」の差額を示しています。100%子会社等の適格合併で、多くの場合は、被合併会社の過去の留保利益(利益積立金)=「抱合せ株式消滅差損益」となります(出資額=被合併会社の資本金のケース)。
 

(2) 会計仕訳

借方 貸方
資産(簿価)
抱合せ株式消滅損益
××
××
負債(簿価)
子会社株式
(抱合せ株式・子会社株式簿価)
××
××
  • 合併直前の「簿価」で資産負債を引継ぎます。
  • 「抱合せ株式簿価」を減少させます。
  • 差額を「抱合せ株式消滅損益」として特別損益に計上します。(※)

 
(※)被合併会社の「株主資本のうちの親会社持分相当額」と「抱合せ株式帳簿価額」との差額

 

3. 税務処理

(1) 「税務上」の考え方

「抱合せ株式」は、合併等に伴い消滅させ、被合併会社の「資産負債」を引き継ぐ点は、会計と同様です。
ただし、税務上は、純資産の部を一旦引き継いだうえで、抱合せ株式の消滅(株式簿価)については、「資本取引」として認識し、抱合せ株式の帳簿価額を「資本金等の額」から減少させる点が、会計処理と異なります。

つまり、税務上は、被合併会社の利益積立金はそのまま引き継ぐ一方、抱合せ株式の減少は資本取引と取り扱われ、「抱合せ株式消滅損益」は、税務上は、損金益金不算入となります(減算・加算留保)

 

(2) 税務仕訳

借方 貸方
資産(税務簿価)
資本金等(子会社株式税務簿価)
××
××
負債(税務簿価)
資本金等(簿価)
利益積立金(簿価)
子会社株式(子会社株式税務簿価)
××
××
××
××
  • 合併直前の「簿価」(税務簿価)」で資産負債を引継ぎます。
  • 「資本金等の額」と「利益積立金」をそのまま引継ぎます。
    (法62条の2①④、法令9①二、8①五)(※)
  • 「抱合せ株式」を減少させ、同額「資本金等の額」を減算します(法令8①二十一イ)。

(※)マイナスの利益積立金も引継可(繰越欠損金の引継)
 

(3) 適格合併の場合の増加資本金等の額と利益積立金額

【法令8条1項⑤、9条1項②】
●増加資本金等の額 = 被合併法人の資本金等の額 ー 抱合株式の合併直前の帳簿価額
●増加利益積立金額 = 被合併法人の①移転資産簿価 ー ②移転負債簿価 ー ③資本金等の額

 

(4) みなし配当・譲渡損益の取扱い(法24①一)

  • 適格合併の場合、「みなし配当」は生じません。非適格合併の場合は、「抱合せ株式」に対しても、対価の交付をしたものとみなされるため、「自己株式の取得」となり、「みなし配当」が生じます
  • 、みなし割当によって生ずる株式の「譲渡損益」は、適格・非適格どちらも生じません。

 

4. 抱合せ株式(適格合併 親子合併)の仕訳例

  • クレア社は、100%子会社ビズ社を「適格合併」する。
  • 合併による「増加資本金」はなし
  • 合併に際して、抱合せ株式(クレア社保有のビズ社株式)には株式を割り当てない
  • クレア社の「ビズ社」株式簿価は500(税務簿価も一致)

 

 

(1) 合併会社(クレア社)の仕訳

借方 貸方
会計 資産 1,000 負債
子会社株式
抱合せ株式消滅益(※1)
200
500
300
税務
  • 資産
  •  
  •  
  • 資本金等の額(※3)
  • 1,000
  •  
  •  
  • 500
負債
資本金等の額(※2)
利益積立金(※2)
子会社株式
200
500
300
500
申告調整

抱合せ株式消滅益

資本金等の額

300

500

資本金等の額
利益積立金
子会社株式
300
300
500

(※1)「会計上」は、受入資産負債と、子会社株式の差額を「抱合せ株式消滅損益」で計上します。

(※2)「税務上」は、資産負債を簿価で引き継ぐとともに、被合併会社の「資本金等の額」「利益積立金」を引き継ぎます。

(※3)「税務上」は、抱合せ株式(子会社株式)と同額の「資本金等の額」を減少させます(法令8①二十一イ)。

 

(2) 別表の記載

 

① 別表4の記載

【所得の金額の計算に関する明細書】

区分 総額 処分
留保 社外流出
当期利益
加算 ・・・ ・・・ ・・・
減算 抱合せ株式消滅益(※1) 300 300

(※1)会計上の「抱合せ株式消滅益」は、損金不算入のため減算(留保)

 

② 別表5の記載

【利益積立金の計算に関する明細書】

区分 期首 当期中の増減 差引
利益準備金
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
抱合せ株式消滅益 (※2)300 (※3)300 0
繰越損益金(※4) 300 300

(※2)別表4(※1)に対応
(※3)利益積立金の増加(別表5で直接入力)。
(※4)これは、申告調整ではなく、元々計上済の「会計上の抱合せ株式消滅益」を表示しています。(申告調整と区別するため緑字斜体で表示)。

 

【資本金等の額の明細書】

区分 期首 当期中の増減 差引
資本金
資本準備金
資本金等の額(※5) 500 500 0

(※5)税務上の資本金等の増減(合併による引継&抱合せ株式減算)を示しています。

 

5. 子会社同士の合併の場合

子会社同士の合併の場合、原則として会計上、「抱合せ株式消滅損益」は生じません
(例外的に「合併子会社」が「被合併子会社の株式」を保有している場合は抱合せ株式が生じます)
 
また、簿価=税務簿価を前提にすると、「会計」と「税務」上の処理で相違は生じませんので、申告調整はありません
 

【例題】

  • 共通の親会社を持つ、クレア社とビズ社が適格合併する(クレア社が存続会社)
  • クレア社・ビズ社とも双方の株式は保有していない
  • 純資産は、ビズ社の資本金・利益積立金を引き継ぐ

 

合併会社(クレア社)の処理は以下となります。

借方 貸方
会計 資産 1,000 負債
資本金等の額
利益積立金
200
500
300
税務 資産 1,000 負債
資本金等の額
利益積立金
200
500
300
申告調整 なし

 
なお、この場合、「親会社」では、クレア社とビズ社の「株式付け替え仕訳」が行われます
 

6. 合併の場合は対価の交付が認められない

合併で生じる「抱合せ株式」については、対価の交付が認められません(会749①三)。
原則として、合併(or分割型分割)の場合には、「合併法人等」から「被合併法人」の株主に、対価が交付されますが、合併法人等が被合併法人等の株式(=抱合せ株式)を保有している状態は、自ら「被合併法人の株主」でもあるということになります。

この状態で、被合併会社等との合併に伴い、当該抱合せ株式部分まで対価が交付されるとなると・・合併法人等自らが、自らに対価を交付するということになります。そこで、合併で生じる「抱合せ株式」については、「対価を交付」することが認められていません。