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親が住んでいた「古い実家」を相続したものの・・別の場所に住んでいるため、相続した「古い実家」が空き家になるケースもあると思います。
「空き家」でも、毎年固定資産税等の負担が生じますが、売却すると譲渡所得税がかかるため、放置される方も多いです。

しかしながら、「空き家」は老朽化すると危険ですので、「空き家」売却を促進する観点から、空き家売却時に、譲渡所得から、最大3,000万円を控除できる特例が認められています。

 

今回は、「空き家売却時の譲渡所得の3,000万円控除の特例」の要件や手続、実務上迷いやすい論点を中心にお伝えしていきます。

 
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1. 空き家売却特例が適用できるケース

 

(1) 空き家売却特例とは

被相続人が、「一人」で住んでいた戸建て住宅を相続し、「一定期間内」に売却した場合に、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる制度です。
特例が認められる背景として、老朽化した建物の取り壊しの促進や、土地の有効活用を促すことが挙げられます。
 

(2) 土地建物をセットで相続した場合のみ

この特例は、土地と建物を「セットで相続取得した相続人だけ」が利用できます。
例えば、土地だけ、建物だけ、あるいは、土地と建物を、それぞれ別々の相続人が取得した場合は、適用できません。
 

(特例が適用できないケース)

  • 各相続人が、土地と建物をそれぞれ別々に相続した場合
  • 家屋or敷地は元々相続人が所有、今回敷地or家屋のいずれかだけ相続した場合
  • 父死亡時に、土地は母が相続、建物は子が相続。 その後母死亡で子が土地を相続し、子が土地建物すべてを所有してから売却したケース

 

(3) 要件

相続した「土地建物」すべてが「空き家特例」の対象になるわけではありません。
空き家特例は、要件や期限、手続などが非常に複雑なため、慎重な検討が必要です。

対象となる空き家は、親などが1人で住んでいた古い「一戸建て」の土地建物となります。
マンション等の区分所有建物は対象外となります
大きな要件は、以下の通りです。細かい要件はありますので、詳細は国税庁HPをご参照ください。
 

対象となるもの
  • 相続時点で、1人で住んでいた古い「一戸建て」の家屋及び敷地(※1)
  • 昭和56年(1981年)5月31日以前に建築された戸建て住宅(マンションは対象外)
  • 相続開始から売却まで、居住用・貸付用・事業用として使っていないこと(※2)
譲渡価格・譲渡先
  • 売却代金は、1億円以下
  • 買主は配偶者や直系血族など、特別な関係の人に対する売却ではないこと
譲渡期間
  • 相続開始日から3年経過日の属する12月31日までに売却が必要
市町村の確認書
  • 市区町村から「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を受け、確定申告書に添付
    (確認書の入手には、登記簿の他、電気ガス等の閉栓証明書など、多くの書類の準備が必要です)

 

(※1)【老人ホーム入居の場合も、要件満たせばOK】

相続時に、被相続人が「老人ホームに入居」していた場合も、要介護認定や、家屋に被相続人の物品等が保管されているなど、一定の要件を満たせば、特例の適用は可能です。
本人(被相続人)が、相続直前に、実際に住んでいなくても認められますが、老人ホーム入居前に、「本人以外」が居住していた場合は適用できません。
 

(※2)【倉庫、車庫・店舗併用住宅の店舗部分は不可】

対象となる敷地は、相続開始直前に被相続人が「居住していた家屋とその敷地」となります。したがって、倉庫や車庫等で利用されていた部分などは対象外となります。
土地については、「居住用家屋」と「その他」の床面積割合等で按分し、居住用家屋の敷地部分にのみ特例の適用が可能です。

なお、売却額1億円の判定は、「居住用部分」のみで判定可能です。
例えば、店舗併用住宅を1億円超で売却した場合、「居住用部分」を合理的に算定して、「居住用部分が1億円以下」の場合は、特例の適用が可能です。
 

2. 空き家は、耐震基準を満たすor解体が必要

(1) 耐震基準を満たすor解体が必要

当該制度は、空き家となり、老朽化した家屋を減らしていくことを目的とした制度となりますので、
耐震基準を満たさない建物の場合は、①耐震基準を満たすリフォームを行う、ないし②家屋を解体して更地で譲渡する必要があります。

解体せず、リフォームの場合は、「耐震基準適合証明書」を取得する必要があります。

 

(2) 耐震改修・解体の時期の制限は?

耐震改修・解体の時期は、譲渡の年の翌年2月15日までとなっています。
2月15日までに、解体(or耐震工事)の契約締結だけでなく、解体等が完了している必要があります。
なお、売主側で改修・解体する場合だけでなく、譲渡後に、買主側での改修・解体も認められています(令和6年改正)。
これにより、現況有姿(古家付き土地)での売却も可能、ということになります。
 

3. 相続人が複数いる場合

土地建物を、相続人が「共有」で相続した場合や、「分筆」してそれぞれが取得した場合でも適用は可能です。
この場合、各相続人が、それぞれ特別控除を受けることが可能です。
 

(1) 特別控除の額

2名の場合 各人が、それぞれ3,000万円の特別控除を適用できます(トータル6,000万円の控除枠)
3名の場合 各人が、それぞれ2,000万円の特別控除を適用できます(トータル6,000万円の控除枠)
(3名以上の場合も、トータルの上限6,000万円となります)

 

(2) 売却額は、トータルで1億円以下

空き家特例の要件となる「売却額1億円以下」は、たとえ共有等の場合でも、対象となる家屋・敷地等の「トータルの売却対価」で判定します。
例えば「共有」や「分筆取得」の場合、共有・分筆ごとの売却額で判定するのではなく、物件全体の合計額で売却額が1億円以下に収まる場合のみ適用が可能です。
分筆取得の場合は、別々の方が、別の年度で売却するケースもありえますので、十分な注意が必要です
(なお、この場合、先に売却した方に特例が適用できるわけではなく、両方とも適用できません)。
 

(3) 分筆した「複数筆」を、1人が相続した場合

例えば、1人の相続人が、相続で取得した土地を2筆に分筆し、2回に分けて売却する場合はどうでしょうか?
この場合は、2回の売却のうち1回だけ、空き家特例の適用が可能です。
被相続人1人につき、相続人1人1回の制限があります)
 
なお、分筆土地を2回に分けて売却した場合でも、「同一年中に両方を売却」した場合は、要件を満たす限り、両方の譲渡に特例の適用が可能です。
(ただし、この場合でも、控除できる金額は、複数の譲渡トータルで3,000万円が上限となります)。
 

4. 他の制度との併用

例えば、同じ年に、空き家の売却と自宅の売却などがある場合、「空き家特例」と、「マイホーム売却益3000万円控除等の特例」などとの併用は可能でしょうか?
代表的な譲渡所得税の特例との併用関係をまとめます。

 

マイホーム売却時の3,000万円特別控除の特例
所有期間10年超軽減税率の特例
併用(ただし、合わせて3,000万円まで)
(租措法35条、みなす規定あり)
マイホーム売却時の買い替え特例 併用
居住用譲渡損失の損益通算・繰越控除
併用
「相続3年内取得費加算の特例」 併用不可。選択適用
住宅ローン控除 併用

なお、相続税上の「小規模宅地等の特例」との併用も可能ですので、小規模宅地等の特例を利用後、売却時に、「空き家売却3,000万円の特例」の適用も可能です。
 

5. 参照URL

(No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
 

(No.3307 被相続人が老人ホーム等に入所していた場合の被相続人居住用家屋)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3307.htm
 

(売買契約後に被相続人居住用家屋が取り壊される場合(契約日ベースで申告する場合))

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/18/25.htm
 

(被相続人居住用家屋の敷地を分筆後、同年中に全てを譲渡した場合)

https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/18/21.htm
 

6. Youtube

 
YouTubeで分かる「相続で取得した空き家売却時の3000万円の特別控除とは?」

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