HH041

 

 

前回、現物出資の税務処理と消費税の関係をお伝えしましました。
 
今回は、上記を前提に、具体例を用いて仕訳を検討します。



 
 

1. 個人→法人への現物出資

  • 個人が土地建物の現物出資を行い、100%保有の新会社を設立した。
  • 土地の簿価は1,000(時価2,000)、建物簿価は3,000(時価5,000)とする。
  • 個人・法人とも、消費税免税事業者とする。
  • 受入側の資本の部は、全額「資本金等の額」とする。

 

(仕訳)

借方 貸方
個人側
(現物出資を行う側)
子会社株式(時価) 7,000 土地(簿価)
建物(簿価)
土地売却益
建物売却益
1,000
3,000
1,000
2,000
法人側
(現物出資を受ける側)
土地(時価)
建物(時価)
2,000
5,000
資本金等の額 7,000
  • 個人の場合は、時価で譲渡したものとされるため、個人側に譲渡損益が発生
  • 今回の事例では、個人・法人とも免税事業者のため、消費税への影響はありません。



 
 

2. 法人→法人への現物出資(適格現物出資)

  • 法人が土地建物の現物出資を行い、100%保有の新会社を設立した。
    当該現物出資は「適格要件」を満たすものとする。
  • 土地の簿価は1,000(時価2,000)、建物簿価は3,000(時価5,000)とする。
  • 個人・法人とも、消費税課税事業者とする。
  • 受け入れ側の資本の部は、全額「資本金等の額」とする。
  • 消費税は「税抜処理」とする。

 

(仕訳)

借方 貸方
現物出資を行う法人側
(※1)
子会社株式(簿価)
(※3)
4,400 土地(簿価・非課税)
建物(簿価・課税)
仮受消費税(※2)
1,000
3,000
400
現物出資を受ける法人側 土地(簿価)
建物(簿価)
仮払消費税(※2)

1,000
3,000
400

資本金等の額(※4) 4,400

(※1)適格現物出資のため、現物出資を行う法人側に、譲渡損益は生じません(簿価譲渡)。
 
(※2)消費税は、建物のみ発生(土地は非課税)。
 ⇒この場合の消費税課税標準は、適格現物出資に該当する場合でも、簿価ではなく時価となります。(消施令45条第2項③)
 建物時価5,000 × 8 % = 400
 
(※3)現物出資を行った側の法人の「子会社株式取得価額」は、譲渡資産の簿価となります。
ただし、仮受消費税の金額だけ、会計と法人税の取扱いが異なる結果となります。
(=会計と法人税で、異なる帳簿価額となる)
おそらくですが・・法人税申告書上別表5での調整も必要になるのかと・・
 
(※4)現物出資を受ける側の「資本金等の額」は、移転資産の簿価純資産と規定されているため、4,000となるはずなんですが・・
そうすると、仮払消費税400だけ浮いてきてしまうので、実務上は「資本金等の額」で処理するしかなさそうです。

 



 
 

3. 法人→法人への現物出資(非適格現物出資)

  • 法人が土地建物の現物出資を行い、100%保有の新会社を設立した。
    当該現物出資は「非適格現物出資」とする。
  • 土地の簿価は1,000(時価2,000)、建物簿価は3,000(時価5,000)とする。
  • 個人・法人とも、消費税課税事業者とする。
  • 受け入れ側の資本の部は、全額「資本金等の額」とし、「資産調整勘定」は発生しないものとする。
  • 消費税は「税抜処理」とする。

 

借方 貸方
現物出資を行う法人側
(※1)
子会社株式(時価)
(※3)
7,400 土地(簿価・非課税)
建物(簿価・課税)
土地売却益
建物売却益
仮受消費税(※2)
1,000
3,000
1,000
2,000
400
現物出資を受ける法人側 土地
建物
仮払消費税(※2)
2,000
5,000
400
資本金等の額(※4) 7,400

(※1)非適格現物出資のため、現物出資を行う法人側に、譲渡損益が発生します(時価譲渡)。
 
(※2)消費税は、建物のみ発生(土地は非課税)。
⇒この場合の消費税課税標準は、適格現物出資と同様、簿価ではなく時価となります。(消施令45条第2項③)
 建物時価5,000 × 8% = 400
 
(※3)現物出資を行った側の「子会社株式取得価額」は、譲渡資産の時価となります。
ただし、仮受消費税の金額だけ、会計と法人税の取扱いが異なる結果となります。
(=会計と法人税で、異なる帳簿価額となる)
おそらくですが・・法人税申告書上、別表5での調整も必要になるのかと・・
 
(※4)現物出資を受ける側の「資本金等の額」は、移転資産の時価(ないし交付株式の現物出資時の時価)と規定されているため、7,000となるはずなんですが、そうすると、仮払消費税400だけ浮いてきてしまうので、実務上は「資本金等の額」で処理するしかなさそうです。

 

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