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一般的に、「純資産価額方式」と「類似業種比準価額方式」を比較した場合、「類似業種比準価額方式」の方が、相続税上の「株価は安く収まる」ケースが多いです。

例えば、「類似業種比準価額方式」での株価が低い会社の場合、合併を行うことにより、
結果的に、相続税上の株価が引き下がる場合があります。



 

1. どういった場合に株価が下がる?

 
例えば、100%子会社間で、黒字会社(存続会社)と、赤字会社(消滅会社)が「適格合併」すると、存続会社である黒字会社の株価が引き下がり、合併前の株価合計(存続+消滅会社)と比較して、「グループ全体の株式価値」が引き下がる場合があります。
(赤字会社の繰越欠損金を引き継げるか?の論点は、別途検討が必要)
 
なぜでしょうか?これは、合併により、以下の影響があるからです。


 

(1) 会社規模拡大による「類似業種比準価額」適用割合が上がる

 
例えば、合併までの会社規模が「中会社以下」だった会社が、合併により「大会社」になれば、
「類似業種比準価額100%」で相続税評価を行うことができますので、
相続税評価額が、結果的に引き下がる場合があります(財基通179)。


 

(2) 「一株あたり利益金額」「一株当たり純資産価額」が下がる

 
赤字会社を吸収合併すると、合併後の存続会社(黒字会社)は類似業種比準価額方式の要素である
「1株あたり利益金額」、「1株当たり純資産金額」が下がる結果、
「類似業種比準価額方式」で算定した株価が、結果的に引き下がる場合があります。


 

2. 注意事項 ~類似業種比準価額方式の前提~

 
法令上の規定はないですが、「類似業種比準方式」を適用する場合には、「各要素(利益・純資産・配当)が適切に把握されることが前提条件」という見解があるようです。
つまり、合併等により「会社の実態が大きく変化」するにもかかわらず、直前期末の「利益」や「純資産」等を利用した「類似業種比準方式」で算定した株価が、果たしてその会社の実態を表しているのか?ということですね。
 
確かにその通りだと思います。
例えば、「黒字会社同士」の合併を考えます。
合併直後で、存続会社の決算が「未到来」の時期に、株式を贈与すればどうでしょう?
「類似業種比準方式」では、合併前の決算に基づく3要素(利益・純資産・配当)で、株価算定するので、場合によっては、安い株価で譲渡できる可能性もありますよね?
 
したがって、合併により、実態とかけ離れた株価になる場合は、「純資産価額方式」で評価し、「合併前後」で会社実態に変化がない場合は、「類似業種比準方式」が認められる、という見解もあるようです。
 
「合併前後で会社実態に変化がない」場合として、次の4つが挙げられています。
 

(「新版 詳説/自社株評価Q&A」より)

 

 
①.合併比率が対等(1:1)な適格合併である場合
 
②.合併前後で「会社規模や主たる業種」に変化がない場合
(合併で、主たる業種が変わる場合は、適用される業種目が変わってしまう点が問題)
 
③.合併当時、会社双方の利益、配当が黒字であり、純資産が欠損でない。
 
④.合併前後の1株当たりの配当、利益、純資産価額に大きな変動がない。
 



 

3. 結論

 
法令の規定がないので、明確な答えはありませんが・・
合併によって、実態がそぐわない結果になるのであれば、事前に税務署に個別相談に行くべきでしょうね!
 
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