No57.グループ法人税制活用のポイント
グループ法人税制は、税金をかけずにグループ間での資産移動ができる制度です。ここに着目すれば、法人税節税にも活用できる可能性があります。
1.譲渡損益の繰延(個人・法人どちらが頂点でも可)
課税関係を生じさせることなく、資産の付け替えができる点が最大の特徴です。
例えば、黒字子会社が、将来値上がりしそうな資産等を、グループ内赤字子会社に譲渡することで、将来の法人税等の節税や、将来株価の上昇を抑えることが可能です。
逆に、グループ間売却で、損失等の付け替えができなくなる点は、注意が必要です。
2.寄付金課税(法人頂点の場合のみ)
例えば、赤字子会社から、グループ内の黒字子会社に無利息貸付を行えば、以下の仕訳となります。グループ全体での税金はゼロですが、個社で見た場合、所得が赤字法人から黒字法人に移動することになりますので、法人税の節税につながる可能性があります。
借方 | 貸方 | 摘要 | |||
---|---|---|---|---|---|
赤字子会社 | 寄付金 | 100 | 受取利息 | 100 | 寄付金損金不算入、 受取利息課税(所得増) |
黒字子会社 | 支払利息 | 100 | 受贈益 | 100 | 支払利息損金算入 受贈益益金不算入(所得減) |
グループ全体 | 支払利息 | 100 | 受取利息 | 100 | 税額ゼロ |
ただし、繰り返しになりますが、寄付金に関しては、「法人を頂点とした完全支配関係」の場合のみですので、注意しましょう。
個人の場合は、寄附金課税および受贈益課税が生じます(譲渡損益の繰延は可能です)。
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