ファクタリングの会計/税務処理
売掛金等を現金化する方法として、「ファクタリング」というものがあります。
得意先からの入金を待たずに現金化できますので、
入金条件が長い場合などは、有効な資金調達手段となりますね。
イメージは、「手形の割引」に近い感じです。
今回は、「ファクタリング」の内容と、会計/税務処理をまとめます。
(ファクタリングには、買取型、保証型の2種類、
また、契約内容によって2者間、3者間ファクタリングがありますが、
「買取型」「3者間ファクタリング」に限定してお話します)
1. ファクタリングって?
売掛金や受取手形などの債権を、ファクタリング会社に売却するしくみです。
法形式は「債権の売却」となりますので、売掛金の回収リスクは「ファクタリング会社」に移転します。
建設業界、人材派遣業、在庫を保有する業界(アパレル、家具雑貨等)や、
入金サイトが長い介護・医療業界などで多く利用されています。
(イメージ図)
一般的に、銀行融資による資金調達では、審査に時間がかかりますが、
「ファクタリング」の場合、銀行融資に比べると、そこまで審査に時間はかかりません。
つまり・・時間をかけずに債権等を現金化したい場合には、非常に有効な手段です。
2. メリット・デメリット
メリット | デメリット |
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3. 手形割引との違い
ファクタリング | 手形 |
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4. 会計処理/税務処理
ファクタリングを行った会社の仕訳は、以下の通りとなります。(手数料3%とする)
借方 | 貸方 | |||
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得意先売上時 | 売掛金 | 1,080,000 | 売上(課税) 仮受消費税 |
1,000,000 80,000 |
ファクタリング 実行時 |
未収金 債権売却損(非課税)(※) |
1,047,600 32,400 |
売掛金(非課税)(※) | 1,080,000 |
入金時 | 現金 | 1,047,600 | 未収金(非課税)(※) | 1,047,600 |
(※)
- ファクタリング実行時に「債権売却損」の額が判明しない場合は、入金時に「債権売却損」を計上。
表示区分は「営業外損失」となります。 - ファクタリング取引は、「金銭債権の譲渡」に該当しますので、消費税は「非課税取引」となります。
- ただし、ファクタリング取引は、消費税の課税売上割合の計算上、5%を考慮する必要はありません。
(課税売上割合の計算上は、「金銭債権の譲渡」から除かれています)
詳しくは、コチラをご参照ください。
実務上は、「債権売却額」を「非課税売上」認識すると、課税売上割合計算を間違える危険があるため、「対象外」で処理する方がわかりやすいかもしれません。
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