最初から合併するスキームではなく、株式取得等による子会社化(買収)をした後に合併する場合も、当初から合併する場合と同様に、繰越欠損金の制限が設けられています。
以前は、[繰越欠損金を保有する会社]を買収することで、節税を行っていた会社があったので、歯止めがかかったんですね。

今回のテーマは、意外と影響が大きな論点です。
なので、例えば、「買収前」に合併等をしておくことも検討しておいてもよいかもしれません。
(「特定株主によって支配された欠損等法人の繰越等不適用措置等」といいます)

DB069


1.制限の内容

支配(※)事業年度前に「繰越青色欠損金等」を有している被買収会社(買われた会社)は、「欠損等法人」と呼ばれます。

(※)支配とは?・・発行済株式等の50%超の株式を直接or 間接に保有すること

この「欠損等法人」が、

  • 支配日から5 年内に、
  • 一定の事由」に該当した場合は、
  • 一定の事由」が生じた事業年度以降
  • 一定事由発生前の欠損金」の繰越控除ができません。

じゃー「一定の事由」って何なんでしょうか??


2.一定の事由とは?

休眠会社が、支配日以降に事業を開始すること。
買収前の事業のすべてを買収後に廃止(または廃止見込み)し、買収前の(旧)事業売上等の、おおむね5 倍超の資金の借入等を行うこと。
50%超保有している個人株主や関連会社が、欠損等法人に対する特定債権を取得してきたときに、旧事業売上等のおおむね5 倍超の資金の借入等を行うこと。
上記①~③の場合において、欠損等法人を被合併会社とする適格合併等を行うこと、または欠損等法人の残余財産が確定した場合
欠損等法人の役員のすべてが退任、かつ使用人の20%以上の者が退職等して、かつ新事業の事業規模が、旧事業のおおむね5 倍を超えることとなる場合。

簡単に言うと、
株式取得した欠損等法人の事業をやめて「新規事業」を始めたとしても、「新規事業でもうかった利益」と「従来の繰越欠損金」との通算はさせないよ!
ということです。

逆に、赤字会社の事業をやめずに、そのまま再生しようとする場合には、繰越欠損金は従来通り利用できます。
こういった場合は、
繰越欠損金という隠れた資産を使うことができますね。
ただ、買収後に、結果的に上記基準にひっかかってくるケースもあるので、慎重に検討しなければいけません。


3.買収後、合併する場合の注意点

「みなし共同事業要件」を満たしている合併など、被合併法人の「繰越欠損金の引継ぎ」が認められるケースがあります。
「合併や子会社解散時の繰越欠損金は引継ぎできるの?」参照)。

ただし、被合併法人が「欠損等法人」である場合は、今回の規定が優先されます。
なので、たとえ「みなし共同事業要件」を満たしていても、合併法人へ引継ぐことができない繰越欠損金がある点、留意しましょう。

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