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「現物分配」っていうのは、「剰余金の配当」を金銭以外の資産で行うことをいいます。
例えば、配当を、現金でなく「株式」で行う場合などですね!

現物分配を活用するケースはいろいろあります。
今回は、「子会社が解散する際の残余財産を、親会社に現物分配する場合」を例題にして、会計処理・税務処理を検討します。

 


1.例題

  • 「クレア社」の100%子会社「ビズ社」は、解散にあたり、残余財産の現物分配を行います。
  • この現物分配は、金銭ではなく「土地」で行います。
  • 「クレア社」保有の「ビズ社株式」簿価は100とします。
  • 当該現物分配は「適格要件」を満たします。

 

(イメージ図)
201704_1-1

 

(ビズ社の解散前事業年度 BS)

201704_1-2

 


2.子会社・現物分配法人側の処理(ビズ社)


(1)仕訳(会計・税務)

「適格現物分配」に該当する場合、配当による資産の移転は、「帳簿価額」よって行われ、課税関係が生じません。
また、現物配当に関する「源泉徴収」も不要となります。

 

今回の現物分配は、「資本剰余金の額の減少を伴う現物分配」であるため、みなし配当事由に該当します(法法24条1項3号)
税務上は、「出資の払戻部分」と「利益の配当部分」を算定する必要があります。(法令8条1項16号、9条1項11号)。

 

借方 貸方 摘要
会計 資本金等の額
利益積立金
600
400
土地 1,000
税務 資本金等の額(※1)
利益積立金(※2)
600
400
土地 1,000 簿価譲渡のため、譲渡損益は発生しない

 

(※1)資本金等の額から減算する額

払戻直前資本金等の額600 × 現物分配土地の交付直前帳簿価額 1,000 / 前事業年度の簿価純資産額 1,000

 

資本金等の額から払い戻す額は・・・

600 × 1,000 / 1,000 = 600

 

(※2)利益積立金から減算する額(みなし配当部分)

貸借差額 1,000 - 600 = 400

 


(2)申告調整仕訳

「会計」と「税務」で仕訳に相違はありませんので、申告調整仕訳はありません。

 


(3)別表の記載

税務修正仕訳がありませんので、別表4、5ともに税務申告上の調整はありません。

 


3.親会社・被現物分配法人側の処理(クレア社)


(1)仕訳(会計・税務)

借方 貸方
会計 土地 1,000 子会社株式
子会社清算利益(※1)
100
900
税務 土地 1,000 子会社株式
受取配当金(※2)
資本金等の額(※3)
100
400
500

 

(※1)子会社清算利益
会計上は、「土地」簿価と「子会社株式」簿価の差額が「子会社清算利益」となります。

 

(※2)受取配当金(=みなし配当)
現物分配法人(ビズ社)で算定した「利益積立金」部分が「受取配当金」となります。
なお、「適格現物分配」により資産の移転を受けたことにより生ずる収益の額は、益金の額に算入しません。(法62条の5第4項)

 

(※3)資本金等の額
解散の場合、会計仕訳では「子会社株式」が減少し、「清算損益」が計上されます。
一方、税務上は、グループ法人税制適用により、子会社株式」は帳簿価額による譲渡があったものとみなされるため、「清算損益」は計上されません。

実質的な清算損益相当額は、「資本金等の額」から加減算します。
(法61の2⑯、法令8①19,20)

 

(実質的な清算損益相当額=資本金等の額の増減額)

1,000(交付土地簿価)- 100(子会社株式簿価)- 400(みなし配当の金額)= 500

(2)申告調整仕訳

「会計処理」と「税務処理」が異なるため、税務申告上の調整が必要となります。
会計上は「清算損益」が計上されているのに対し、税務上は、「みなし配当」と「資本金の増減」の取扱いとなるため、申告調整を行います。

 

借方 貸方
申告調整 子会社清算利益 900 みなし配当
資本金等の額
400
500

 


(3)別表の記載

①別表4の記載

(所得の金額の計算に関する明細書)

区分 総額 処分
保留 社外流出
当該利益
加算 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
受取配当金計上漏れ(※2) 400 400
減算 適格現物分配に係る益金不算入額(※3) 400 400
子会社清算利益減算(※1) 900 900

(※1)会計上の「子会社清算利益」を減算 (申告調整仕訳 借方)
(※2)みなし配当部分を加算(留保) (申告調整仕訳 貸方)
(※3)(※2)の結果、認識された受取配当金は、「適格現物分配に係る益金不算入額」に該当するため、減算(社外流出)(法法62条の5第4項)

 

②別表5の記載

(利益積立金の計算に関する明細書)

区分 期首 当期中の増減 差引
利益準備金
・・・ ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
みなし配当(※4) 400 400
子会社清算利益
(永久差異)(※5)
900 △900
繰越利益金(※6) 900

(※4)別表4の(※2)に対応。
(※5)別表4の(※1)に対応。
なお、「子会社清算利益」は永久差異となるため、税効果の対象となりません。
(※6)この欄は、申告調整ではなく、元々計上済の「会計上の繰越利益」を表示しています(申告調整と区別するため斜体で表示)。
上記(※5)と同額がここに元々入っています。

 

(資本金等の額の明細書)

区分 期首 当期中の増減 差引
資本金
・・・
子会社清算利益(※6) 500 500

(※6) 税務上、「資本金等の額」が増加します。 (申告調整仕訳 貸方)

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