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同族会社では、株主への「配当に係る所得税」を回避するため、利益が生じても配当を行わずに「内部留保」する場合があります。
しかし、行き過ぎた内部留保は、租税回避につながることから、法人の「内部留保金」に対して課税する制度があります。
これが「留保金課税」と呼ばれる制度です。

留保金課税の適用を受ける会社は、同族会社すべてではありません
同族会社のうち、「特定同族会社」に該当する場合のみ、留保金課税の適用があります。
資本金1億円超のみ

今回は、この「特定同族会社」を解説します。
(以下、種類株式(議決権制限株式)を発行していない場合を前提にします)
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1. 同族会社とは?

上位3株主グループで、持株割合が50%超となる会社です。
「株主グループ」には、株主の「特殊の関係のある個人及び法人」が含まれます


2. 特殊の関係のある個人及び法人とは?(法令4条)

 

特殊の関係のある個人
  • 株主等の親族(配偶者・六親等内の親族、三親等内の姻族)
  • 株主等と内縁関係の者
  • 個人株主の使用人
  • 株主等からの金銭その他の資産によって生計を維持している者
  • 上記の者と生計を一にする親族(同居は関係なし)
特殊の関係のある法人
  • 株主等(特殊の関係のある個人、法人含む)の持株割合が50%超の他の会社(※)

(※)直接資本関係のない会社も、「特殊な関係にある法人」になる場合があります(4条Ⅲ)


3. 特定同族会社とは?

特定同族会社とは、同族会社のうち、「被支配会社」かつ「一定の会社」です


(1) 「被支配会社」とは?

上位1株主グループで、持株割合が50%超となる会社です。


(2) 一定の会社とは?

「被支配会社」がすべて「特定同族会社」になるわけではありません。
「特定同族会社」に該当するのは、「被支配会社」のうち、「一定の会社」となります。
では・・この「一定の会社」とは何を指すのでしょうか?
法人税法67条に記載があります。

法人税法67条 抜粋
被支配会社のうち、①被支配会社であることについての判定の基礎となった株主等のうち被支配会社でない法人がある場合には、②当該法人をその判定の基礎となる株主等から除外して判定した場合でも、「被支配会社」となるもの

 

何言ってるか?わかりませんね(笑)
簡単に言うと・・判定会社自身が「被支配会社」である要件に加えて、判定会社に出資する「株主側」に対する要件が追加されています。
判定会社の上位1株主グループに、「被支配会社でない法人株主」が含まれる場合には、この法人株主を「除外して」判定してね?という意味です。

つまり、判定会社の上位1株主グループが「法人」である場合には、この法人自体が他から支配されている会社か(被支配会社か?)を検討する必要があります。
結局、この法人株主自身に出資している株主まで把握しないと判断できないということなので・・結構めんどうですね。

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4. 「一定の会社」の実務上の判断

結果的に、「被支配会社」と判断された会社の「第1順位グループの株主」は、以下のどちらかになります。


(1) 「個人株主」or「被支配会社である法人株主」

第1順位グループの株主が、「個人株主」や「被支配会社である法人株主」の場合は・・
ややこしい要件を検討することなく、対象法人は、「特定同族会社」になります。


(2) 「被支配会社でない法人株主」

第1順位の株主に「被支配会社でない法人」が含まれる場合は・・
当該法人を除いて、もう一度株主グループを選びなおし、再選定後の第1順位株主グループをもとに対象法人が「被支配会社」に該当するか?を再検証します。

なお、第1順位の法人株主が50%超を保有している場合は、逆に言うと、第2順位の株主が50%を超える株式は保有していないはずですので、再選定後も、結果的に対象法人は「特定同族会社」ではない、という結論になります。


5. 留保金課税が適用される「特定同族会社」

「特定同族会社」に該当した場合も、現在は、「資本金の額が1億円以下の法人」には、留保金課税が適用されないこととなっています
(ただし、資本金の額が5億円以上の法人等の100%子法人は除きます)。

(参照URL)
特定同族会社の特別税率
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/070313/15.htm
特別税率を適用されない特定同族会社の範囲
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/hojin/16/16_01_01.htm
資本金等が5億円以上の法人等の100%子法人等における中小企業向け特例措置の不適用について
http://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5800.htm

 

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