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購入して何十年も経過している場合、過去に取得した時の「支出額」がわからないケースがあります。

この場合って、泣き寝入りするしかないんでしょうか?

そうではありませんよー!

今回は「取得費がわからない場合」の「取得費」の算定方法の方法をお伝えします。


1.原則

取得費がわからない場合、所得税上は「売却額の5%」を「取得費」と認めてくれます。これは「概算取得費」と呼ばれています。

 

 

でも・・逆にいうと「売却価額」の約95%に税金がかかってしまうことになりますよね。これではすごい税金になってしまいます。
やはり・・「実際の取得額」がわかる方が、税金は安くなることが多いですので、購入時の書類は、必ず残しておくようにしましょう。

なお、上記の「5%概算取得費」の方法を採用した場合は、他に判明している「実際費用」があったとしても・・上乗せできません(相続税加算特例除く)。
例えば、リフォームした際の領収書だけは見つかったからといって、概算取得費5%に「リフォームの実費」を上乗せすることはできないんですね。


2.契約書や領収書がない場合は?

契約書や領収書等が手元になく、「実際購入価額」を証明できるものがない場合、本当に概算取得費(売却額の5%)しか認めてもらえないでしょうか?

そうとも限りません。他に確認できる資料があれば、推定額を計算のうえ、税務署に説明することで、認めてもらえるケースもありますので。

もちろん紛失した理由などはちゃんと書きましょうね!

 

他に確認できる資料は・・例えば、以下のような書類です。

  • 通帳等での購入履歴、住宅ローンの返済履歴
  • 住宅ローンの金銭消費貸借契約書のコピー、返済予定表
  • 購入当時の不動産業者の価格が記載されているパンフレット等
  • 同じマンションの他の契約書事例
  • 住宅ローンの場合は、登記簿乙欄の抵当権の設定額


3.本当に何もない場合は?

他に確認できる資料が全くない場合は・・?まだあきらめてはいけません!
当時の購入価額を推定することで、税務署が認めてくれる場合があります。


(1) 土地

「市街地価格指数」(財団法人日本不動産研究所が公表)を用いて、

売却価額×指数割合で、購入価額を推定します。

この指数は、「平成12年3月末を100」として、他の年度の割合がいくらか?を示した指標となります。

例えば、全国の住宅地の平成28年9月の係数は59.5です。つまり、平成12年3月末100に対して、平成28年9月の住宅価値は59.5%ということを示します。

これを用いると・・何となく今の価格が推定できそうですね?

例えば、平成12年3月末に購入した土地を、平成28年9月に3,000万で売却した場合は?

 

   (イメージ図)

 

⇒平成28年9月末に3,000万の評価 ⇒ 12年3月末の評価は??

3,000万円 ÷ 59.5% = 5,042万円

という感じです。

この指標は、平成12年3月末だけでなく、「年度ごと」に数値がありますので、各年度の「係数関係」で、土地の価格は推定できます。
なお、この方法は、国税不服審判所でも「合理性がある」と判定されていますので、ぜひご利用されてはいかがでしょうか?


(2) 建物

「建物の標準的な建築価額表」を基にして、購入当時の価額を推定します。
「税務署HP」でも公表されています。建築年と構造で、1㎡あたりの建築単価が求められるようになっています。

建物取得価額 = 建築年と構造をあてはめて一致する建築単価 × 延べ床面積

その他、着工建築物構造別単価(財団法人建設物価調査会)というのもあります。


(3) 注意事項

上記の方法は、あくまで推定ですので、「購入時の契約書類等」がある方がもちろん安全です。
不動産購入時の資料は、売却の確定申告をするまでは、なくさないようにすることが一番である点、いうまでもありませんので!

 

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