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前回まで「低廉譲渡」のお話をしましたが、個人が保有する「財産」を高く譲渡する場合(高額譲渡)、税金はかかるのでしょうか?
高額譲渡の場合でも、税務上の譲渡価額は「適正時価」が原則となりますので、「適正時価」との比較で判断されますので、注意しましょう。
売り先が個人か?法人か?によって取り扱いが異なります。

 


1.個人⇒個人の場合


(1)売り手側(個人)

所得税がかかります(譲渡所得・所得税法59)

(適正時価-取得価額)×所得税率
 

贈与税がかかります(時価差額につき、合理的な根拠があれば所得税)。

(実際売買価額‐適正時価)×贈与税率
 
個人が個人に売却した場合には、「実際売買価格と取得原価」との差額につき、税金が課税されます。
「適正時価までの金額」は所得税、「適正時価を超える部分」は贈与税となります。

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(2)買い手側(個人)

高額譲渡の場合は、買い手には税金はかかりません。

  • 買い手側の取得価額は、「適正時価」となります
    (取得価額の引継ぎなし。適正時価を超えた分は、売主に「贈与」したと扱われる)

 


(3)まとめ

取得価額1,000円、実際売買価額4,000円、適正時価1,500円の場合

売り手
買い手
税金の種類
税額
税金種類
税額
個人⇒個人 所得税 (1,500-1,000)×税率 課税なし
贈与税 (4,000-1,500)×税率


2.個人⇒法人の場合

法人成りの場合はこれですね。

(1)売り手側(個人)

所得税がかかります(譲渡・一時or給与所得 所得税法59)

(実際売買価額-適正時価)×所得税率(一時or給与所得

(適正時価-取得価額)×所得税率(譲渡所得

個人から法人への売却は、「適正時価」で売却したものとみなされ、
「適正時価と取得価額」の差額は「譲渡所得」、「実際売買価額と適正時価」の差額は、法人から贈与を受けたものとして、「給与・一時所得」が課税されます。

「低廉譲渡」の場合は2パターンありましたが、高額譲渡は1パターンです)
 
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適正時価―簿価 実際売買価額-適正時価
売り手が買い手法人の
役員・従業員
譲渡所得 給与所得
上記以外 譲渡所得 一時所得

(仕訳)

借方
貸方
現金 4,000(実際売買価額) 土地
売却益
売却益
1,000(簿価)
500(譲渡所得)
2,500(一時or給与所得)


(2)買い手側(法人)

法人税がかかります(法人税法22)

(実際売買価額-適正時価)×法人税率
 

法人が買い取る場合は、「適正時価」で買ったとみなされますが、「実際売買価額と適正時価」の差額は、売主への「寄付金」と判定され、法人税が課税されます。

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(仕訳)

借方
貸方
土地
寄付金
1,500(適正時価)
2,500(差額)
現金 4,000(実際売買価額)
  • 寄付金は、一定額を超えると損金不算入となりますので、法人税がかかります。
    なお、売り手が従業員等の場合は、「給料・役員報酬」になります(損金算入可)。
  • 買い手側の取得価額は、「適正時価」となります。
    (取得価額の引継ぎなし。「適正時価」を超えた部分は、売主への「寄付金」と扱われる)


3.まとめ

取得価額1,000円、実際売買価額4,000円、適正時価1,500円の場合

売り手
買い手
税金の種類
税額
税金種類
税額
個人⇒法人 所得税(譲渡) (1,500-1,000)×税率 法人税
(寄付or給与)
(4,000-1,500)×税率
所得税
(一時or給与)
(4,000-1,500)×税率

 

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