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おさらいになりますが、不動産の譲渡所得の算定方法は以下となります。

譲渡所得=譲渡収入-(取得費+売却費用)

この「取得費」ですが、取得の原因が、相続等で取得した場合はどうやって算定するんでしょうか?

実際・・自分で支払ったわけでもない不動産なのに、売却する際に「取得費」なんて差し引けるの?って心配される方もいるかもしれません。


1.相続で取得した場合の「取得価額・取得時期」は?

通常の不動産取得日は、土地建物を「実際購入した日」となりますが、相続で引き継いだ場合は相続日?でしょうか?

違います。被相続人等の「実際取得時期や取得価額」がそのまま引き継がれます。(所得税法60条)

(イメージ図)

まとめると以下の通り。

(相続で取得した財産の取得価額・取得時期)

取得価額 被相続人等が「実際」不動産を購入した時代金や手数料他(※)
取得時期 被相続人等が取得した時期をそのまま引き継ぎます。
つまり、被相続人等が実際取得した時から、譲渡した年の1月1日までの所有期間で「長期か短期」かを判定することになります。
譲渡所得の税率は、長期か短期で事なりますので、税率にも影響するってことですね。

 

(※)相続により取得した不動産は、被相続人の「実際取得時期」と「価額」を引き継ぎますので、相続税の「課税価格」が取得費になるわけではありません!
 ⇒ここ、よく間違えやすいところです!


2.相続や贈与の際に支払った「手数料等」は?

また、相続人などが、その資産を取得(相続)するため通常必要と認められる費用は「取得費」に含めることができます。

例えば、相続の際に支払った登記費用、名義変更料、登録免許税・不動産取得税などですね(所基通60-2)

実は、この「相続時の手数料等」に関しては、以前は「取得費」として認められていなかったのですが、最高裁の判決(最高裁平成13 年(行ヒ)第276 号同17年2月1日第三小法廷判決(裁時H17.3.1第1381号)で、「取得費」として認められるようになったんです。


3.遺産の「代償分割」で他の相続人に支払った金額は?(所基通33-1-5)

代償分割(他の相続人に債務を負担することで相続財産を取得した場合)で、他の相続人に支払った金額は、取得費に加算できません。
なぜなら、この支払は、資産取得のための費用ではなく、「各取得財産の価額を調整するために」支出したものだからです。
代償金の原資となった「借入金利息」も同様です。


4.遺産分割のための「弁護士費用」は?

相続財産分割のために支払った弁護士費用は、資産取得のための費用ではなく、「遺産分割の費用」なので、取得費に加算できません(所基通38-2)

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