JF003

 

前回、譲渡所得の算定方法をお伝えしました。
おさらいになりますが、譲渡所得は以下の式で算定されます。

譲渡所得=売却収入-(取得費+売却費用)

今回は、「譲渡所得算定」の具体例を作成してみました。
読者が理解しやすいことを重視して作っていますので、その点、ご了承ください。

1.例題

マイホームを平成29年3月に売却した。売却マイホームに関する情報は以下の通り

 

時期  金額 摘要
取得 土地取得額  平成11年1月1日  1,000万円
建物取得額  同上  2,000万円  鉄筋コンクリート造

(耐用年数47年)

諸費用

(購入手数料等)

 同上  90万円  購入時の手数料や

不動産取得税・登録免許税等

建物リフォーム 取得額  平成17年2月1日  500万円
 売却

土地建物売却額

(セット)

 平成29年3月1日  2,485万円
固定資産税精算金  15万円

諸費用

(売却手数料等)

 50万円  売却手数料のほか、交通費等も含む


2.譲渡収入の算定

2,485万円(売却額)+15万円(固定資産税精算金)=2,500万円

3.取得費の算定


(1)取得時の手数料按分

取得時手数料は、土地・建物共通の手数料のため、各取得価額で按分します。

  • 土地・・90万円 ÷ (1,000万円 + 2,000万円 )× 1,000万円 = 30万円
  • 建物・・90万円 ÷ (1,000万円 + 2,000万円) × 2,000万円 = 60万円


(2)土地の取得費

1,000万円 + 30万円(土地対応仲介手数料) = 1,030万円
土地は、減価償却を行わないため、土地の「取得費」は、この時点で確定します。


(3)当初建物の取得費

①取得価額

2,000万円 + 60万円 = 2,060万円

②償却率

鉄筋コンクリート造  47年(事業用)、償却率0.022
マイホーム(非事業用)のため、1.5倍。
⇒47年 × 1.5倍 =70年(切捨) ⇒ 償却率0.015

③経過年数

平成11年1月1日~平成29年3月1日
18年2か月・・6ヶ月未満は切り捨てのため、18年

④売却時までの減価償却費

2,060万円 × 0.9 × 0.015 × 18年(切捨て) = 500.58万円

⑤建物の取得費

建物の取得費=取得時点の取得価額―「減価償却費」

2,060万円 - 500.58万円 = 1,559.42万円


(4)建物リフォーム部分の取得費

①取得価額

500万円

②償却率

当初建物と同様 70年、償却率0.015

③経過年数

平成17年2月1日~平成29年3月1日
11年11か月・・6ヶ月超は切り上げのため12年

④売却時までの減価償却費

500万円 × 0.9 × 0.015 × 12年 = 81万円

⑤取得費の算定

500万円 - 81万円 = 419万円


(5)取得費の合計

上記、(2)~(4)合計となります。
1,030万円(土地) + 1.559.42万円(建物) + 419万円(リフォーム) = 3,008.4.2万円

(6)譲渡費用

50万円(諸費用)


4.譲渡所得の算定

譲渡所得 = 売却収入 - (取得費 + 売却費用)

 

譲渡所得= 2,500万円 - (3,008.42万円 +  50万円)  = △558.42万円

譲渡所得がマイナスのため、ゼロ円となります。
居住用不動産の場合は、利益がでるよりも損失になることが多いですね。

なお、損失の場合は、要件を満たせば損益通算や繰越控除などの特典があります。
利益の場合も、要件を満たせば、3,000万円の特別控除などの恩典があります。

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