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相続した土地を「売却する」場合・・って結構あると思います。

相続税を支払するために換金する場合や、空き家になって・・誰も住む予定がなくなる場合などは、売却した方がいいですよね?

ただし、売却するということは、たとえ遺産相続で取得した不動産であっても、「譲渡所得」が発生し、所得税が課税される可能性があります。
相続税を支払ったのに、また支払うの?という声も聞こえてきそうですね。

現実的な話としても、相続税課税直後に、さらに「譲渡所得」に「所得税」が課税されるとなると・・かなりの負担になることが想定されます。

そこで、税法上、ちょっとした特例が認められています。
「相続税の取得費加算の特例」という制度です。

特例なので、いつなくなるかわかりませんが、税額にかなり影響ある制度なので!今のうちに活用しておきましょう。


1.相続税の取得費加算の制度

相続した不動産や株式などを、相続税申告期限から3年経過するまでに売却した場合、支払相続税額のうち、一定金額を「売却資産の取得費」に加算することができる制度です。

土地に限らず、相続取得財産を売却した場合には、この特例の利用が可能です。


2.取得費に加算するとなぜ安くなる?

譲渡所得の計算式を思い出して下さい。

譲渡所得=譲渡収入-(取得費+売却費用)

つまり、取得費が多ければ多いほど、「譲渡所得」は少なくなります。


3.具体的な計算は?

取得費に加算する相続税額は、次の計算式で算定できます。(上限は譲渡益まで)

キャプチャ6-2

(イメージ図)

ちょっと分かりにくいですね。

簡単にいうと、「支払った相続税のうち、「譲渡財産」に対応する分は控除できる」ってことなんですが・・以下に具体例を記載します。


4.具体例

 


Aさんは、今回。相続で取得した不動産を売却しようとしています。
Aさんが当該不動産等を相続した時に支払った相続税等の状況は、以下のとおりです。

  • Aさんの支払った相続税額・・・9,000万円
  • Aさんが支払った相続税9,000万円の元になる「相続税課税価額」・・・3億円(債務控除なし)
  • 上記「相続税課税価額3億円」のうち、今回売却しようとしている不動産の課税価格・・・1億円

今回、不動産を売却する際に「取得費」としてに加算できる相続税額は?

 

(イメージ図)

9,000万円 × 1億円/3億円 = 3,000万円

となります。


5.取得費加算が認められる要件は?

以下のすべての要件を満たす必要があります。

①相続または遺贈によって財産を取得

②相続税が課税されている

③相続開始日翌日から、「相続税申告期限翌日」以後3年を経過する日までに譲渡


6.添付書類

  • 相続税申告書の写し
  • 相続財産の取得費に加算される相続税の計算明細書
  • 譲渡所得の内訳・計算明細書


7.その他


(1)平成26年改正

現在は、取得費加算額を算定する際の分子の額は「譲渡財産」だけです
H26年改正前は、譲渡財産に限らず、譲渡しない財産についても取得費加算ができましたが、平成26年改正により、「譲渡財産に対応する分だけ」になりました。


(2)売却先の制限は?

特に制限はありません。裏をかえすと・・売却先は同族でも認めてくれます。
売り先が見つからないときは、とりあえず同族に売却しておくのもありですね。


(3)「空き家の譲渡所得3000万円控除」との関係

選択適用となります。またこの論点は、改めて、別の機会にまとめますね。

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