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前回の「無償減資」に引き続き、今回は「有償減資」の会計処理・税務処理/申告書の記載方法をまとめます。

有償減資・無償減資どちらも、「資本取引」と位置付けられます(会計処理・税務処理共通)

ただし、有償減資の場合は、「みなし配当」が生じ、申告調整が必要な点が「無償減資」と大きく異なります。

有償減資の場合、税務上は、「資本金等の額」の減少額が決められていて、それを超える部分は「みなし配当」と取り扱われます。
自己株式の取得も、同じ論点となります)。

 



 

1. 例題

簿価純資産額100,000(うち、資本金30,000、利益積立金70,000)の会社が、有償減資を行い、株主に5,000の金銭払戻しを行い、資本金を取り崩した。

 

201709_3-1

 



 

2. 会計処理

 

借方 貸方
資本金 5,000 現金
預り金
4,285
715

 
会計上は、「資本金」を減少させる処理となります。
なお、貸方の「預り金」は、税務上、配当とみなされる部分(みなし配当)に対応する源泉所得税です。
この金額については、「3.税務処理」のところで記載します。



 

3. 税務処理


(1) 仕訳

 

借方 貸方
資本金等の額
利益積立金
1,500
3,500
現金
預り金
4,285
715

 
貸方は同じですが、借方が異なります。
税法上、有償減資として支払った金銭は「当初払い込んだ資本金等部分の払戻し」と「利益の分配部分」と2種類で構成されていると考えます。
前者は「資本金等の額の減少」、後者は「利益積立金の減少」と取り扱います。
この利益積立金の減少部分は、「みなし配当」と呼ばれます。

金額は、以下のように算定されます。
 


 

(2) みなし配当額(利益積立金の減少部分)の算定方法

株主への交付金銭等のうち、まず①資本金等の額の減少分を求め、②差引で利益積立金の減少分(みなし配当)を算定します。
(法人税法施行令8条1項19)

 

みなし配当額 = 株主等への交付金銭等 - 左記のうち「資本金等の額」対応部分(※)

 

(※)「資本金等の額」対応部分の求め方

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上記式内の、「資本金等の額」は、法人税別表5(1)Ⅱの金額です。
 


 

(3) 事例へのあてはめ

5,000(交付金銭) - 5,000 × (30,000/100,000) = 3,500(みなし配当額)

上記式の意味は・・以下となります。

  • 株主等への交付金銭(5,000)のうち、簿価純資産額100,000にしめる(減資前)資本金等の額(30,000)の割合分(30%)
    ⇒「減少資本金等の額」1,500
  • 交付金銭5,000のうち、「減少資本金等の額」1,500を超えた金額
    ⇒「みなし配当額」(留保利益の払戻)3,500

 


 

(4) 源泉徴収税額

みなし配当は、「配当所得」となりますので、支払法人側で「源泉徴収」義務が生じます。
3,500(みなし配当額) × 20.42 % (源泉所得税率) = 715
 

減資
 


 

4. 申告調整(税務修正仕訳)

会計処理と税務処理が異なるため、「申告調整」が必要となります。
税務上は「資本金等の額」と「利益積立金」の減少処理となりますので、会計と税務を一致させるため、別表5で申告調整(振替調整)を行います。

(税務調整仕訳)

 

借方 貸方
資本金等の額
利益積立金
1,500
3,500
資本金(等の額) 5,000

 
税務上の仕訳に合わせるための振替仕訳になります。
(会計上の「利益」と税務上の「所得」に差異はありません)



 

5. 別表の記載


(1) 別表4の記載

会計上の「利益」と税務上の「所得」に差異はありませんが、所得に影響させないように、別表4での調整が必要となります。
別表5を見てからの方が、イメージはしやすいかもしれません。

 

区分 総額 処分
留保 社外流出
当期利益 ・・・
加算 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
みなし配当(※2) 3,500 3,500
 減算 ・・・ ・・・ ・・・ ・・・
みなし配当(※1) 3,500 3,500

 
(※1)別表5と対応して、利益積立金の減少部分を記載します(留保)。
(※2)まず、別表5との関係で(※1)を記載しますが、このままだと所得が減少してしまうので、最終所得に影響がないように、(※1)と同額の加算を行います。この処理により、所得への影響はゼロとなります。また、当該加算は、既に配当として流出済のため、「社外流出」となります。



 

(2) 別表5の記載

① 利益積立金の計算に関する明細書

 

区分 期首 当期中の増減 差引
利益準備金
・・・
みなし配当 3,500 △3,500

 
税務上、「資本金等の額」の額を超えた部分は、利益積立金のマイナスとなります。

② 資本金等の額の明細書

 

区分 期首 当期中の増減 差引
資本金 30,000 5,000 25,000
・・・
みなし配当 1,500 5,000 3,500

 
緑の数値は会計処理を示していますので、申告調整ではありません。
既に、減資の会計処理として、「資本金」は△5,000されているはずです。

この会計処理を前提に、いったん会計処理(△5,000)を取り消したうえ、税務上の資本金等の額の減少額1,500に修正する申告調整を行います。

 

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