No74.ホールディングスとは?
1.ホールディングスとは?
ホールディングスというのは、基本的に事業を行わず、傘下の企業の株式だけを保有する「持ち株会社」のことをいいます。
グループ企業が複数ある場合、株だけを保有する「ホールディングス」を親会社として、事業会社を子会社として傘下におき、グループ全体の経営を行います。
最近は、よく新聞でも、「ホールディングス経営」というのが話題になりますね。
例えば、キリンホールディングス㈱を例にすると、
トップはキリンホールディングス㈱で、その傘下に㈱キリン、協和発酵キリン㈱、小岩井乳業㈱などの事業会社が傘下に並んでしますね。
2.ホールディングスの種類
(1)純粋持株会社
事業を行わず、傘下の企業の株式だけを保有する持ち株会社です。
ホールディングスは、傘下の企業を支配し、指導することが主な役割となります。
「ホールディングス」というと、この「純粋持株会社」を指すことが多いですね。
なお、「純粋持株会社」は、傘下の企業からの「配当収入」のみが資金源となります。
(2)事業持株会社
傘下の企業の株式を保有しつつ、自身の会社も事業も行っている持株会社です。
3.ホールディングス化のメリット・デメリットは?
実は・・その会社によって状況が全然異なりますので、一概には言えません。
まずは、一般的なメリットとデメリットをまとめますね。
メリット | デメリット |
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メリットデメリットを並べると、なんか「表裏一体」な感じしますね。なぜでしょうか?
実は、ホールディングスをつくるケースは、何も、複数の会社を集約する場合だけではないためです。
一つの会社を分割して、ホールディングスをつくる場合もあります。
この場合は、逆に、今までの業務が重複する可能性もあったりするわけです。
一般的に、ホールディングスをつくるケースは、以下の場合となります。
4.どんな場合にホールディングスをつくるの?
- 複数の会社を集約して、グループ一体経営を行いたい。
- 1つの会社を複数の会社に分割して、グループ一体経営を行いたい。
5.中小企業のホールディングス化
中小企業でも、「ホールディングス」経営に移行する会社は最近増えてきています。
これは、特に、M&Aや、事業承継の観点で、以下のメリットがあるからです。
(中小企業がホールディングス化するメリット)
メリット |
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ただし、ホールディングス設立により、情報の拡散や、間接作業が重複化してしまっては意味がありません。
中小企業がホールディングス化するにあたっては、以下の点にも注意しなければいけません。
(中小企業がホールディングス化する場合の留意事項)
留意事項 |
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例えば、既存会社を利用して、株式交換等でホールディング会社を親会社にするのであれば、会社数は増加しないため、法人維持コストは増えません。
あるいは、ホールディングスを新設する代わりに、全体の会社数を1社減らしても法人維持コストは増えません。
中小企業がホールディングス化する際は、事業承継のメリットだけでなく、グループ全体のコントロールや維持コストも検討の上、意思決定を行う必要があります。
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