法人が財産を「低額譲渡」した場合の税金は?
法人が保有する「財産」を安く譲渡する場合(低額譲渡)、税金はかかるのでしょうか?
税務上の譲渡価額は、「適正時価」が原則となりますので、たとえ安く売ったとしても、税金がかかる場合がありますので、注意しましょう。
売り先が個人か?法人か?によって取り扱いが異なります。
目次
1.法人⇒個人の場合
(1)売り手側(法人)
法人税がかかります(法人税法22)
(適正時価-取得価額)×法人税率
法人が売り手の場合は、実際売買価額にかかわらず、「適正時価」で売ったとみなされ、「適正時価と取得価額」の差額に対して法人税が課税されます。
(仕訳)
ここでは、わかりやすくするため、売却益を「売却収入」と「売却原価」に分けて記載しますね。
現金 売却原価(※1) 寄付金(※2) |
1,500(実際売買価額) 1,000(簿価) 2,500(差額) |
売却収入(※1) 土地 |
4,000(適正時価) 1,000(簿価) |
(※)1 適正時価で売ったとみなして、売却収入4,000(適正時価)-売却原価1,000=3,000に対して法人税がかかります。
(※)2 寄付金は、一定額を超えると損金不算入となりますので、結果的に「売却益」のほとんどの額が課税されることになります。
なお、買い手が従業員等の場合は、「給料・役員報酬」になります(損金算入可)
(2)買い手側(個人)
所得税がかかります(一時所得・給与所得)
(適正時価-実際売買価額)×所得税率
法人から買い取る場合は、実際売買価額にかかわらず、「適正時価」で買ったとみなされ、「適正時価と実際売買価額」の差額に対して所得税が課税されます。
(仕訳)
土地 | 4,000(適正時価) | 現金 受贈益(※) |
1,500(実際売買価額) 2,500(差額) |
- 法人から買い取る場合の、買い手の取得価額は、「適正時価」となります。
(取得価額の引継ぎはなし)
(※)買い手が従業員等の場合は、給料所得になります。
(3)まとめ
取得価額1,000、実際売買価額1,500、適正時価4,000の場合
法人⇒個人 | 法人税(※) | (4,000-1,000)×税率 | 所得税(受贈益) | (4,000-1,500)×税率 |
(※)寄付金の損金算入限度額を超えた部分のみ、法人税がかかります。
2.法人⇒法人の場合
(1)売り手側(法人)
法人税がかかります(法人税法22)
(適正時価-取得価額)×法人税率
法人が売り手の場合は、実際売買価額にかかわらず、「適正時価」で売ったとみなされ、「適正時価と取得価額」の差額に対して法人税が課税されます。
(仕訳)
ここでは、わかりやすくするため、売却益を「売却収入」と「売却原価」に分けて記載しますね。
現金 売却原価(※1) 寄付金(※2) |
1,500(実際売買価額) 1,000(簿価) 2,500(差額) |
売却収入(※1) 土地 |
4,000(適正時価) 1,000(簿価) |
(※)1 適正時価で売ったとみなして、売却収入4,000(適正時価)-売却原価1,000=3,000に対して法人税がかかります。
(※)2 寄付金は、一定額を超えると損金不算入となりますので、結果的に、「売却益」のほとんどの額が課税されることになります。
(2)買い手側(法人)
法人税がかかります。
(適正時価-実際売買価額)×法人税率
法人から買い取る場合は、実際売買価額にかかわらず、「適正時価」で買ったとみなされ、「適正時価と実際売買価額」の差額に対して、法人税が課税されます。
(仕訳)
土地 | 4,000(適正時価) | 現金 受贈益(※) |
1,500(実際売買価額) 2,500(差額) |
- 法人から買い取る場合の、買い手の取得価額は、「適正時価」となります。
(取得価額の引継ぎはなし)
(3)まとめ
取得価額1,000、実際売買価額1,500、適正時価4,000の場合
法人⇒法人 | 法人税(※) | (4,000-1,000)×税率 | 法人税(受贈益) | (4,000-1,500)×税率 |
(※)寄付金の損金算入限度額を超えた部分のみ、法人税がかかります。
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