適正な時価とは?
資産の譲渡等を行う場合、税法は、原則的に「時価」で譲渡が行われたものとして課税されます。
では、いったいこの「時価」って何なんでしょうか?
1.税法上の「時価」の定義
時価っていうのは、「客観的交換価値」です。漠然としてますね(笑)
じゃー税法上の具体的な「時価」の計算方法を・・と思って調べてみると、実は、法人税法や所得税法では、「時価」の具体的な算定方法の記載はないんですね。
「その時における価額」としか記載はありません。(法人税法 第22条、所得税法59条、相続税法第22条、第7条他)
一方、相続税上は、「財産基本通達」という通達があって、「相続税」や「贈与税」を計算する際の評価方法は、明確に定められています。
でも、この「財産基本通達の評価」は・・「時価」ではないんですね。
土地は、「路線価」などを基準に評価しますので、これが「時価」と勘違いされがちなんですが、これは、「時価」ではありません。
あくまで相続税、贈与税の計算をするにあたっての「評価方法」で、相続税上、「路線価」を時価とみなしているだけです。
2.時価って何?
元に戻って・・
「時価」というのは「客観的交換価値」ですので、例えば、客観的な第三者と実際に取引が成立した場合は、「時価での取引」が成立したということになります。
つまり、「恣意性が入らない」取引価額=時価となります。
3.具体的な時価の算定方法は?
実務上、「時価」算定に当たっては、次の方法が用いられます。
近隣の売買事例 | 近隣の売買実例があれば、その売買価額は「客観性」がありますので時価となります。 |
---|---|
鑑定評価額 | 外部の独立した専門家である不動産鑑定士による評価は、「客観性」がありますので時価となります。 |
公示価格 ÷ 0.9 | 国土交通省が、1月1日時点を基準として公表。公示価格は、実勢価額の90%程度といわれていますので、公示価格÷0.9=時価(≒実勢価額)と算定されることがあります。 |
4.各評価額の関係
各評価額の関係を一覧すると、以下の通りとなります。
種類 | 金額 | 摘要 |
---|---|---|
実勢価額 | 100% | |
公示価額・基準地価 | 実勢価額の90% | |
路線価 | 公示価額の約80% | 相続税・贈与税で利用 |
固定資産税評価額 | 公示価額の約70% |
<< 前の記事「譲渡所得とは?」次の記事「みなし譲渡所得課税って?」 >>