.jpg” alt=”No268 法人が加入した「終身保険」の会計処理・税務処理/特約付き終身保険・払済保険の場合は? ”
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将来の役員等の死亡に備えて、法人で「死亡保険」に入るケースがあります。
「死亡保険」については、①保険期間が有期となる「定期保険」と、②保険期間が一生涯続く「終身保険」の2種類に分かれます。
今回は、このうちの②、「終身保険」につき、「定期保険」との違いをお伝えするとともに、具体例を使って会計処理を解説していきます。
(なお、医療保険で「保険期間が終身」のものも、広い意味では「終身保険」に区分されます。医療保険については、No223をご参照ください)。

 

1. 終身保険と定期保険の違い/メリットデメリット

(1) 終身保険と定期保険の違い

死亡保険として「終身保険」「定期保険」を比較した場合、被保険者死亡時に、保険金が支払われる点は、共通しています。ただし、保険期間については大きく異なります。「終身保険」は、保険期間(保証期間)の満期がなく、保証が一生涯続くのに対し、定期保険の場合は、満期があり、保証が一定期間に限定されます。
また、終身保険は、貯蓄性があり、中途解約時に「解約返戻金」を受け取れる商品が多いです。一方で、定期保険の場合は、満期返戻金がなく、掛け捨てタイプが多いです。したがって、保険料負担の面でも、大きく異なってきます。比較すると以下の通りです。

 

【終身保険と定期保険の比較】

終身保険 定期保険
保険期間 終身 一定期間
満期返戻金 なし(満期なし) なし
解約返戻金 あり 原則なし(少額)(※)
保険料 高い/td>

安い/td>

(※)中途解約の際、払戻額が設定されている「貯蓄機能」がある定期保険もあり。

 

(2) 終身保険のメリット・デメリット

終身保険に限らず、定期保険にも言えるメリットですが、生命保険は、受取人を指定できるため、相続時の「遺産分割」の対象になりません。したがって、特定の希望する遺族などに死亡保険金を渡すことができます。また、死亡保険金については、相続税の非課税枠もありますので、利便性は高いです。
その他、支払った保険料については、「生命保険料控除」が可能です。
次に、終身保険を定期保険と比べた場合のメリット・デメリットは、以下となります。

 

【終身保険のメリット】

保障が一生涯続く 保険期間が一生のため、解約しない限り、必ず死亡保険金が支払われ、遺族の生活費や相続対策資金の確保がしやすい。
保険料が一定 原則として、保険料は変更されないため、長期的な資金の見通しがしやすい(定期保険は更新ごとに保険料が上がる)。
貯蓄性あり 一定期間経過すると、解約返戻金が発生するため、保険料は掛け捨てにならず、保険と貯蓄を合わせた利用が可能

 

【終身保険のデメリット】

保険料が高い 掛け捨て型の定期保険と比べると、一般的に保険料は高くなる
解約返戻金が下回るケースあり 解約返戻金は発生するが、払込期間が短い時点で解約すると、解約返戻金が払込額を下回るケースがある。

 

(3) 保険料支払期間

終身保険の場合、「保険期間」は一生涯となりますが、保険料支払期間は、「有期払」と「終身払」の2種類に分かれます。
有期払とは、例えば、「10年間」「60歳まで」など、保険料払込期間が決まってるタイプのものです。一方で、終身払は、払込期間が設定されておらず、一生涯保険料を支払うタイプのものです。終身払の方が、毎回の支払額は少なくなりますが、長生きすればするほど、トータルの支払額は多くなります。
 
【ご参考 終身保険の種類】
「終身保険」は、一般的に、契約当初は返戻金が少なく、長期になるほど返戻額は多くなります(払込期間中の返戻金を抑える「低解約返戻金型」などの商品もあります。
代表的な商品は以下となります。

 

定期終身保険 契約時に定めた予定利率で固定、運用される保険
(解約返戻金額は確定)
変額終身保険 運用実績に応じて保険金や解約返戻金が変動する保険
(解約返戻金額が変動)
低解約返戻金型終身保険 保険料払込中の解約返戻金を抑える一方、保険料が割安に設定されている保険(払込期間終了後は解約返戻金が多くなる)
積立利率変動型終身保険 市場金利の動きに合わせて積立利率が、一定期間ごとに見直される保険(解約返戻金が変動)

 

2. 終身保険の会計処理

法人が契約者、かつ受取人が法人の場合を前提にします。
終身保険は、解約返戻金がある「貯蓄性」の保険となり、保険料は掛け捨てにはなりません。したがって、保険料支払時は「資産」として計上し、経費にすることはできません。
保険料支払期間(有期・終身)に関わらず、以下の会計処理となります。

 

(1) 保険料支払時

保険料を支払った際は、「保険積立金(or前払保険料)として「資産」計上します。
 

借方 貸方
保険積立金 ×× 現預金 ××

(※)外貨建ての場合は、支払日の為替レートで円換算

 

(2) 保険金(or解約返戻金)受取時

被保険者が死亡した場合や、中途解約時には、保険金が入金されます。当該保険金受取時の会計処理は、過去に積み立てた「保険積立金」(資産)を取り崩します。
入金額との差額は雑収入(or雑損失)となり、税務上益金、損金に算入されます。
 

借方 貸方
保険積立金 ×× 保険積立金
雑収入(or雑損失)
××
××

 
なお、終身保険に、定期保険や医療保険などの特約が付いている商品もあります。こういった商品の場合は、「終身部分」と「定期部分(or医療部分)に区分し、区分された種類ごとに、それぞれの会計処理を行います(定期保険はNo222、医療保険はNo223をご参照ください)。

 

3. 具体例

  • 契約者は法人、被保険者は役員、受取人法人の終身保険に加入した。
  • 加入は2026年4月、払込保険料は毎月1万円とし、払込期間は終身とする。
  • 以下の場合
    ① 2040年4月に、解約して解約返戻金160万円を受け取った場合(168ヶ月)
    ② 2060年4月に被保険者が亡くなり、保険金500万円を受け取った場合(408ヶ月)

 

(1) 保険料支払時

2026年4月~毎月支払時の仕訳は、以下となります(①②共通)

借方 貸方
保険積立金 10,000 現預金 10,000

 

(2) 保険料受取時(or解約時)

① の場合
2040年4月の仕訳(保険積立金残高 1万円×168ヶ月=168万円)

借方 貸方
現預金 1,600,000 保険積立金 1,680,000
雑損失(対象外) 80,000

 
② の場合
2060年4月の仕訳(保険積立金残高 1万円×408ヶ月=408万円)

借方 貸方
現預金 5,000,000 保険積立金 4,080,000
雑収入(対象外) 920,000

 

4. 受取人が役員等個人の場合

契約者は法人だが、受取人が役員など個人の場合は、課税関係が異なります(満期保険金・解約返戻金共通)。

 

(1) 支払った保険料の課税関係(法人・個人)

受取人が「個人」の場合は、法人側で支払う「保険料」につき、「福利厚生費」にできるケースと、「給与課税」されるケースがあります。
保険の対象が、従業員全員の場合は、福利厚生費の要件を満たすため、個人側には課税されません。一方、特定の者だけを対象とする場合は、従業員等に対する「経済的利益」の供与となり、「給与課税」扱いされ、個人側に所得税が課税されます(法基通9-2-9(12))。詳しくはQ231をご参照ください。濱田会計Q231リンク
なお、役員報酬の場合は、定期同額給与の規制があるため、損金算入できないケースもあります。追加で源泉徴収も必要となりますので、注意が必要です。

 

借方 貸方
給与or福利厚生費 ×× 現預金 ××

 

(2) 受け取った保険金の課税関係(個人側)

受取人が個人のため、法人側での仕訳はありません。
一方、個人が受け取る「保険金」については、「心身又は資産に加えられた損害にかかる保険」のため、所得税は課税されません(所基通9-23、同施行令30)。満期保険金・解約返戻金どちらも共通です。

 

5. ご参考 ~払済にした場合の会計処理~

一定時点で保険料払込をストップし、その時点の「解約返戻金」をもとに、保障額を減額した保険に切り替える仕組みは、「払済保険」と呼ばれます。「払済保険」にした場合、将来の保険料は減額されますが、引き続き契約は継続され、保険期間の変更はありません。

 

一方、「払済保険」にした場合は、原則として、変更時点で会計処理が必要となります。
変更時点で、①過去に積み立てた「保険積立金」の金額と、②変更時の「解約返戻金相当額」との差額につき、当該時点で損益に算入します(法基通9-3-7の2)。変更時点では法人に入金等はありませんが、「解約返戻金相当額」を一旦受け取ったものとみなし、差額につき課税関係が生じます。

 

ただし、養老保険、終身保険、定期保険、第三分野保険及び年金保険(特約が付加されていないものに限定)から、同種類の払済保険に変更した場合は、会計処理は不要とされています。この場合は、たとえ払済保険にした場合でも、保険積立金の取崩しは行わず、その後も、支払保険料につき、「保険積立金等」で資産計上を継続します。

 

6. 参照URL

【第3節 保険料等】
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/hojin/09/09_03.htm#page-top

 

7. Youtube

 

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