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1.小規模企業共済って何?

個人事業主が事業を廃業する場合や、会社役員が、将来退職した場合に備えて、あらかじめ積み立てておく共済制度です。将来、掛金に応じた「共済金」を受け取ることができます。

この「小規模企業共済」は、将来に備えた保険的な意味合いもありますが、実は、税務上もかなり恩典がある商品です。


2.メリット


(1)節税として利用できる

  •  掛金は「全額所得控除」になります。つまり毎年の所得を圧縮できます。
  • 将来の返戻金には税金がかかりますが、一括受取にすれば「退職所得」となります。
    退職所得には、「大幅な所得控除」が認められていますので、結果的に、ほとんど税金がかかりません。

(2)貸付を受けられる

  • 払込掛金の範囲内で、「事業資金の貸付」を受けることができる。


3.デメリット


(1)返戻金が掛け金を下回る場合あり

任意解約は可能ですが、掛金納付月数が「240ヶ月(20年)未満」の場合は、返戻金が掛金合計額を下回ります。


(2)一時所時になる場合あり

65歳未満の方が「任意解約」する場合は「一時所得」となります。


4.実際にどれくらい節税できるの?(例題)

  •  40歳で加入、60歳で事業廃業により、返戻金を一括受取
    (便宜上、運用益はゼロとします)
  •  掛け金5万円/月×20年=12,000千円(5万×12か月×20年)
    (運用益ゼロのため、返戻金も12,000千円)
  •  20年間、所得税等の税率が20%の方とします。
掛金・返戻金 所得税等 キャッシュフロー計
20年間の掛金 △12,000,000 (※1)+2,400,000 △9,600,000円
20年後の返戻金 +12,000,000 (※2)△162,500円 11,837,500円
キャッシュフロー計 0円 +2,237,500円 2,237,500円

(※1)毎年の節税額
12,000,000円×20%(所得税率等)=2,400,000円の節税額

(※2)退職所得にかかる税金
退職所得=(13,200千円―8,000千円(※A))×1/2=2,600千円

  • (※A) 20年間の退職所得控除=400千円×20年=8,000千円

上記かかるに税金=(2,600千円×10%-97,500円)=162,500円

すごいですね!20年間で220万超のプラスの結果になりました。
所得が高くなればなるほど、税率が高くなりますので、所得が高いほど節税効果は高くなります。
しかも、実際には、別途「運用収益」もありますので、さらに返戻金は高くなります。

(一般の生命保険や個人年金との比較)

小規模企業共済は「支払額全額」が所得控除されます。
一般生命保険や個人年金保険等にも「所得控除」はありますが、支払額全額が控除できるわけではありません。
最大でも所得税12万程度ですので、いかに「小規模企業共済」が節税商品なのかがわかると思います。


5.解約時の返戻金は?

20年間加入し続けないと・・「元本割れ」するのはちょっと怖いですね。
でも、これは「任意解約」の場合だけですので、事由によっては5年程度でも全額返金されます。
ここでは、「個人事業主」を例に、代表的な「返戻事由」と「返戻金」をまとめておきます。

返戻事由 返戻金 種類
①廃業・死亡
②事業全部の譲渡
(配偶者・子はH28/4/1以降のみ)
③個人事業の法人成り
(金銭出資)
5年以上加入していれば、少なくとも掛金総額以上の共済金受取が可能 共済金A
老齢給付
(65歳以上で180カ月以上納付)
共済金B
法人成りしたが、法人の役員にならなかった場合 準共済金

①任意解約した場合

②掛金の12か月以上滞納

240か月(20年)以上加入していれば、掛金総額以上の返戻金がある。 任意解約


6.加入要件

対象業種要件 常時使用従業員
or組合員
経営者・役員 個人事業主の
共同経営者
建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業・不動産業、農業 20人以下
卸売業・小売業、サービス業(宿泊・娯楽業以外) 5人以下
士業法人(弁護士法人、税理士法人等) 5人以下
企業組合の役員
協同組合の役員
農事組合法人
20人以下


7.掛け金は?


(1)掛け金月額

1,000円~70,000円まで自由(500円きざみ)。

(2)増額減額は?

途中で増額・減額も可能です。
減額については、H27年改正により「減額要件」が不要となりました

(3)納付方法

  • 月払・半年払・年払が選択できます。
  • 掛け金前納もできますので、例えば、12月に1年分を支払うことで、12か月分の所得控除も可能です
    (一定割合の前納減額金もあります)。
  •  12カ月以上の前納も可能ですが、1年以上前納しても「1年超分」は損金扱いにはなりません。

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