No112.iDeCoって何?(個人型確定拠出年金)
目次
1.iDeCoって何?
「iDeCo」っていうのは、個人が将来の年金のために、「毎月決まった金額」を積み立てるものです。
自分で運用方法を決めることができる点が特徴です。
日本語では「個人型確定拠出年金」と呼ばれ、iDeCoっていうのは、その「愛称」のことです。
(individual-type Defined Contribution pension planの頭文字)
もともと「個人型確定拠出年金」っていうのは昔からたんですが、2017年1月以降、加入できる対象が増えます。
なので、最近よく新聞でも話題になっていますよね。
(ご参考~確定拠出年金って?(401K)~)
年金の一種ですが、将来給付される「年金受取額」が、運用結果によって変動するものです。
401Kとも呼ばれます。
(よく対比されるのは、「確定給付年金」。こちらは、将来給付される年金が「固定」されています)
確定拠出年金には「2種類」あります(企業型と個人型)このうち、iDeCoは、「個人型確定拠出年金」の方です。
2.idecoのメリット
idecoは、税制面でかなりのメリットがあります。
また、資産運用面でも、「運用利益が非課税」となることから、かなり注目されています。
メリットは以下の通りです。
(1)節税として利用できる
- 掛金は「全額所得控除」になります。つまり毎年の所得を圧縮できます。
- 将来の返戻金には税金がかかりますが、一括受取にすれば「退職所得」となります。
退職所得には、「大幅な所得控除」が認められていますので、結果的にほとんど税金がかかりません。 - 将来「年金」で受け取る場合も、「公的年金控除」で節税可能。
- 運用した結果得られた利益は非課税
(一般的な金融商品だと20.315%の税金がかかります)
小規模企業共済とかなり似ていますが、拠出時・運用時・返戻時すべてに節税ができる、かなり恩典の大きい制度です。
(2)安全性が高い
拠出した(支払った)年金は、「個人資産」として保障されます。
実はここ・・確定給付年金と違う大きな特徴です、
確定給付年金は、あくまでも年金全体の資産(個人の資産ではない)ので、年金が破たんした場合は、給付額も下がります。
一方、idecoは、「運用リスク」を自分で負う代わりに、個人の資産ですので、(全体で運用する場合と異なり)、運用結果が、他の第三者に影響されることはありません
(3)運用商品を自分で決められる
運用委託する金融機関や、商品を自分で選択して運用することができます。
もちろん、運用結果は自己責任ですが、安全性の高い「預金」で運用することもできますし、「投資信託」「保険」などいろんな商品を組み合わせて運用することが可能です。
3.iDeCoのデメリット
(1)60歳までは引き出しできない
iDeCoは、原則、60歳になるまでは、引き出しすることができません。
また、加入期間が短い場合は、年金の受給開始時期が遅くなります(掛け金の変更はできます)。
なので、短期資金ではなく、あくまで長期的な余裕資金で運用しましょう。
(2)運用によっては損する場合も?
預金と異なり、いろいろな金融商品を選択して運用することができます。
ですので、例えば、ハイリスクハイリターンの商品で運用した場合には、結果的に元本割れするケースも当然あります。
(3)手数料がかかる
加入時の手数料(3,000円程度)だけでなく、毎月数百円程度の「手数料」がかかります。
ただし、運用開始時は、手数料がやや割高となるものの、長期的に見れば、このデメリットは解消されると思います(金融機関によって手数料は異なります)。
4.実際にどれくらい節税できるの?(例題)
- 40歳で加入、60歳で一括受取(運用益はゼロとします)
- 掛け金23,000円/月×12か月×20年=5,520千円
(運用益ゼロのため、返戻金も5,520千円) - 毎年の所得税等が20%の方とします。
- 他に、退職金等は受け取っていないものとします
掛金・返戻金 | 所得税等 | キャッシュフロー計 | |
---|---|---|---|
20年間の掛金 | △5,520,000円 | (※1)+1,104,000円 | △4,416,000円 |
20年後の返戻金 | +5,520,000円 | (※2)0円 | 5,520,000円 |
キャッシュフロー計 | 0円 | +1,104,000円 | 1,104,000円 |
(※1)
5,520,000円×20%(所得税率等)=1,104,000円の節税
(※2)退職所得にかかる税金の算定
退職所得=(5,520千円―8,000千円(※A))×1/2=0
- (※A) 20年間の退職所得控除=400千円×20年=8,000千円
上記にかかる税額 ゼロ
すごいですね!20年間で110万超のプラス結果となりました。
所得が高くなればなるほど、税率が高くなりますので、所得が高いほど節税効果は高くなります。
また、上記のほか、「運用収益」があれば、さらに返戻金は高くなります。
5.iDeCoに加入できる方
今までは、下記①②の方だけだったんですが、2017年1月以降は、③~⑥の方も加入できるようになります。
種類 | 掛け金上限 従来 |
掛け金上限 2017年1月~ |
||
---|---|---|---|---|
① | 自営業者 (第1号) |
68,000円 | 同左 | |
② | サラリーマン (第2号) |
企業型DC・確定給付年金なし | 23,000円/月 | 同左 |
③ | 企業型DCのみ | ‐ | 20,000円/月 | |
④ | 企業型DC・確定給付年金あり or確定給付年金のみ |
‐ | 12,000円/月 | |
⑤ | 公務員 (第2号) |
‐ | 12,000円/月 | |
⑥ | 専業主婦 (第3号) |
‐ | 23,000円/月 |
ただし、企業型DCがある会社は、個人型DCへ加入できるように規約を変更しなければいけない点注意です。
6.運用する投資対象はどんなもの?
定期預金などの元本の安全性が高い商品だけでなく、投資信託なども選ぶことが出来ます。
7.どうやって始めるの?
- 金融機関(証券会社や銀行等)で取扱いがありますので、こちらで申し込んで始めます。
- 金融機関によって運用商品は異なりますし、手数料にも差があります。
- 「小規模企業共済」とiDeCoは併用して加入することも可能です。
<< 前の記事「倒産防止共済って何?(経営セーフティ共済)」次の記事「NISAって何?」 >>