No114.NISAって何?
目次
1.NISAって何?
簡単にいうと・・少額の投資で得た利益(売却益・配当金)が、「非課税」になる制度のことです。
通常は、売却益等に税金がかかる(20.315%)ので、かなりお得感のある制度ですね!
(2015年まで、NISA非課税枠は年間100万円でしたが、増額されました)
2.NISAのイメージ・特徴
NISAの特徴や概要は以下の通りです。
(1) 特徴
● 運用期間は、購入年度を含めて5年に限定されますが(ロールオーバーすれば最大10年)、年間120万までの投資が「非課税」となります。
● 非課税枠120万は、5年間毎年もらえますので、120万円✕5年=最大600万まで非課税枠が増えます。
(2)イメージ
(3)概要
投資資格 | 20歳以上 |
---|---|
投資対象 | 株・投資信託 |
運用期間 | 最大5年(ロールオーバーで最大10年) |
非課税枠 | 毎年年間120万まで(2015年までは年間100万円) |
非課税枠総額 | 最大600万まで |
制度期間 | 2014年~2023年まで |
3.メリット・デメリット
売却益等が「非課税」になるメリットはあります。
しかし、課税口座と損益通算できなかったり、非課税枠を使い切れなかった場合は翌年以降に繰り越せないなど、デメリットもあります。
メリット | デメリット |
---|---|
● 売却益等に税金がかからない ● NISA口座なら売却手数料がかからない証券会社もある |
● 運用期間の制限がある ● 他の課税口座と損益通算できない ● 3年間の損失繰越ができない (課税口座では3年間の繰越が可能) ● 非課税枠はその年しか使えず、使い切れなかった分はその年で切り捨て(翌年以降に繰り越せない) |
課税口座と「損益通算できない」のが一番大きなデメリットですね。
簡単にいうと、NISA口座は、利益が出たときは非課税の恩典を享受できるんですが、損失が出たときは・・いまいちなイメージです。
なお、2016年より、毎年NISA口座の証券会社を選択できるようになりましたので、利便性はよくなりました!
(1人1口座までという点は、変更ありません)
4.「120万の枠」は投資額?売却益のこと?
● 投資額120万円に対しての「売却益」の税金が非課税になります。
⇒売却益120万円までが非課税になるというわけではありません。
極端な話、投資額が120万円で、1,000万円で売却できた場合は・・?
880万円の売却益がでますが、全額非課税となります。
● 売却した時点で、「非課税枠」は使われてしまいます。
例えば、30万円投資して、50万円で売却しました。
この場合、残非課税枠は、90万円となります。以下の式参照ください。
120万円(当初非課税枠)- 30万円(利用済投資額) =90万円(残非課税枠)
売却したからといって、非課税枠が120万に戻るわけではない点に注意です。
⇒つまり、デイトレーダーのように何度も売買する方には不向きということですね!
5.5年後はどうなるの?
NISAの非課税期間は、購入年度を含めて5年間です。
例えば、2017年1月に購入した120万円は、2021年12月までに売却しなければ、非課税の恩典を受けることができません。
では、5年後にはどうなるんでしょう?
何も手続きしなければ課税口座に移されますが、「終了年度翌年の非課税枠内」であれば5年間ロールオーバー(繰り越す)が可能です。
このロールオーバーを使うと、最大10年間「非課税枠」で保有できます。
10年間あるので、長期投資という点では安心ですね!
(ロールオーバー後の10年後は、課税口座に移されます)
(1)5年後に利益の場合
売却すれば税金かかりません。また、売却せずにロールオーバーすることも可能です。
ただし、引継できるのは、「翌年の非課税枠内」という点に注意です。
例えば、120万円で投資した株が、5年後に時価200万円になっている場合は、120万円までを移すことができます。
(残80万円は、課税口座に振替)
(平成29年4月20日追記)
平成29年度税制改正により、ロールオーバー時の「非課税口座」の上限が撤廃されました。
つまり、上記例で、120万円で投資した株が5年後に時価200万円になっている場合も、200万円全額を移管することができるようになります。
(2)5年後に損失の場合
NISAで購入した株式が、値下がりしたまま5年間経過した場合はどうでしょう?
ここ、注意点があります。
NISA口座では、5年間売却せずに期限がきた場合、「一旦損益が確定して、特定口座に移されて」しまいます。
そして、その損失は繰り越すことができません。
これは、「5年後に損失一旦確定後、売却せずに保有したまま、株価が上昇して将来売却した場合に、まるまる利益に対して課税される」ということを意味します。
簡単な例で説明しますね。
(例)
- NISA開設時に120万円で株式を購入
- NISA口座終了時(5年後)の時価は30万円(含み損90万円)。
- その1年後、時価120万まで上昇した時点で売却(トータル含み損益はゼロ)
本来は、当初120万で購入したものが、最終的に120万円まで戻っているので、トータル損益はゼロのはずです。
しかし、NISA口座で5年後に損失の場合は、一旦損失90万円が確定して繰り越すことができず、取得価額は値下がり後の簿価に切り下げれます。
上記例では取得価額は切下げ後の30万円となり、これを1年後に120万で売却した場合、差額90万円に対して税金がかかります。
NISA口座で生じた損失90万を繰り越すことができないからこんなことになってしまいます。
ただし、5年後にロールオーバーは可能ですので、現実的には、5年後に損失の場合は、翌年の非課税枠内で引継ぎさせ、値上がりを待つのが賢明ですね。
(通常口座と比較)
通常の口座では、損失を3年間繰越可能。3年内の利益と相殺が可能(税金発生しない)
6.NISAはどんな投資が向いている?
- デイトレーダーのような短期売買を繰り返す取引だと・・あっという間に非課税枠が使われてしまいます。
5年間(ロールオーバー後は最大10年間)の非課税口座ですので、長期投資、例えば、投資信託などの分散投資などが向いています。 - 株主優待が多い会社よりも、配当や売却益が狙えそうな銘柄がよいでしょうね!
(厳密には、株主優待も「雑所得」で税金がかかりますが・・)
7.ジュニアNISA
2016年4月にスタートしました。19歳までの方も、年間80万まで非課税となる口座です。ただし18歳まで払出ができない制約があります。詳しくは、ジュニアNISAとNISAの違いは?をご参照ください。
8.積立NISA
2017年からから、積立NISAっていうのができるようです。今後は、NISAは積立NISAに一本化されていく感じですね。現行のNISAは、2023年までなのに対し、こちらは恒久的な制度のようですよ!
(1)特徴
- 年間投資額は40万まで
- 非課税期間20年
- 対象は長期積立に適した一定の投資商品(分散投資型などで20年超えるもの)
- 非課税期間終了後も、新たな非課税枠への移管は上限なしでいける
非課税期間が20年なので、こっちの方がメリット大きいかもしれないですね!
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