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長期平準定期保険は、「定期保険」の一種です。
満期保険金がない「掛け捨て」の保険ではありますが、「一定期間」解約返戻金があるため、法人の節税の観点でよく利用されている商品ですね。
また、非常に長い保険期間が設定されていて、「95歳満期」や「100歳満期」といった保険期間が一般的です。


 

1. 返戻金のイメージ

保険期間中に支払う保険料は、一定額です。
一方、解約返戻金については、保険期間が進むにつれ徐々に増加し、一時点でピークを迎えます。
その後は急激に減少し、最終的に解約返戻金は0となります。

イメージはこんな感じです。

(イメージ図)

 

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2. 長期平準定期保険のメリット・デメリット

メリットデメリットをまとめると、以下の通りです。

 

メリット デメリット
  • 掛け捨てではなく、長期間、高水準の「解約返戻金」が存在する
    (ピーク時はほぼ100%に近い解約返戻金)
  • 税務上の要件を満たす「長期平準定期保険」は、保険料を全額損金に算入できる
    (契約前半は、1/2の制限があります)
  • 加入期間中の死亡保障額は定額
  • 一般的な定期保険と比べると保険料は高め
    (キャッシュアウトは多い)
  • たとえ税務上の要件を満たしても、契約前半は1/2しか損金算入できない
  • 短期的に解約する場合は、大幅な損が生じる可能性が高い。

 

税務上の要件を満たす場合は、損金算入できるため、法人の「節税商品」として活用されています。

ただし、解約時に生じる「解約返戻金」には「税金」がかかりますので、単に「課税の繰延」を行っているにすぎません。
ですので、解約に合わせて、役員等への退職金を支給するなど、出口の税金対策をセットで考えておかないと、意味がありません。

一般的には、役員や従業員の「退職金準備」として利用される場合が多いですね。


 

3. 税務上の長期平準定期保険の要件

税法上の要件を満たす「長期平準定期保険」は、以下を全て満たす必要があります。

 

① 法人が契約者・受取人、役員又は使用人を被保険者とした定期保険

 

② 保険期間満了時の被保険者の年齢が70歳を超える

 

③ 保険加入時の被保険者の年齢+(保険期間×2)>105(※)

 

④ 逓増定期保険に該当しない

 

(※)例 40歳で加入。保険期間40年(保険満了時80歳)
40+(40×2)=120>105   OK

 

なお、似たような保険で、「逓増定期保険」という商品もあります。
こちらは、保険期間満了までに、「死亡保険金額」が、「契約当初金額から5倍」まで増加する定期保険です。
こちらも、「掛け捨て」ではありますが、「解約返戻率が高い」点で、同様のメリットがあります。


 

4. 損金計上のタイミング

長期平準定期保険は、毎回支払う保険料が「平準化」されているため(=定額)、保険期間前半に支払う保険料には、将来期間に対応する「前払保険料」が含まれています。
そこで、税務上は、損金算入時期につき、以下の制約が設けられています

 

保険期間の最初の6/10の期間 1/2損金算入、1/2資産計上
保険期間の残りの4/10の期間 支払額と、①の期間の前払保険料を取り崩し、どちらも損金に計上


 

5. 仕訳例

  • 契約者・保険金受取人「法人」・被保険者「代表取締役」
  • 保険加入時の年齢40歳、保険期間40年(満了時80歳)
  • 年間の支払保険料・・・1,000千円
  • 死亡保険金50,000千円


 

(1) 保険期間終了まで解約しない場合

① 前半(6割期間)の年間仕訳(24年目まで)(単位:千円)

借方 貸方
長期前払保険料(資産) 500 普通預金 1,000
保険料(費用) 500
  • 24年目までは、半分が長期前払保険料(資産)、半分が保険料(費用)となります。

 

② 後半(4割期間)の年間仕訳(25年目以降16年間)(単位:千円)

借方 貸方
保険料(費用) 1,750 普通預金 1,000
長期前払保険料(資産)(※) 750

(※)25年目からは、24年目までに積み立てた「長期前払保険料」(資産)を、残期間16年で均等按分し、取り崩します。

  • 24年目までの長期前払保険料(資産)計上額合計・・12,000千円(500千円×24年)
    12,000千円÷16年=750千円


 

(2) 途中解約した場合

  • 加入後20年目に解約して解約払戻金を12,000千円受け取った。(単位:千円)
借方 貸方
普通預金 12,000 保険解約収入(営業外収益) 2,000
長期前払保険料(資産)(※) 10,000

(※)20年目時点の長期前払保険料(資産)残高10,000千円(500千円×20年)
「保険解約収入」には税金がかかります。


 

(3) 死亡により保険受取時

加入後20年目に解約して解約払戻金を12,000千円受け取った。(単位:千円)

借方 貸方
普通預金 50,000 保険解約収入(営業外収益) 40,000
長期前払保険料(資産) 10,000

上記(2)と同様、「保険解約収入」には税金がかかります。


 

6. 参照URL

(法人が支払う長期平準定期保険等の保険料の取扱い)

https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/hojin/870616/01.htm

 

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