CA099
 

 

生命保険等の「第一義目的」は、将来の不測の事態に備えることにありますが、一方で、節税の観点から「生命保険」を検討される方もいるかもしれません。
 
ただし、最近の流れとして、行き過ぎた租税回避の観点から、保険に関する税制が改正され、支払時に一括で損金算入できる保険は、ほとんどなくなりつつあります。
 
そこで今回は、現時点で改正の影響を受けないものとして「貯蓄性があり、かつ一定額の損金算入が可能」な「養老保険」につきまとめます。


 

1. 養老保険とは?

養老保険は、生命保険の一種で、以下の特徴をもつ保険です。

  • 保障期間内に死亡した場合、「死亡保険金」が受け取れる。
  • 何事もなく保障期間が終了した場合は、「満期保険金」が受け取れる。
  • 解約時には、「解約返戻金」が受け取れる。

 
なお、解約返戻金については、早い時期に返戻率が90%程度に達しますので、保障を確保しながら、貯蓄性も備わっている点が「養老保険」の特徴となります。


 

2. 養老保険のパターンと税務上の取扱い

被保険者を「全役員・全従業員」とした養老保険を前提にすると、養老保険は「保険金の受取人」を誰にするか?で、以下の4つのパターンに分かれます。
(「被保険者」 = 保険をかける対象者のこと)
 

パターン 保険金受取人 目的 税務上の取り扱い
死亡保険金 満期保険金
会社 会社 事業保証 + 退職金目的 全額を資産計上
役員・従業員の遺族 役員・従業員 福利厚生目的 役員報酬or給与(※1)
役員・従業員の遺族 会社 事業保証 + 福利厚生目的 1/2福利厚生費(死亡保険金)(※2)
1/2資産計上(満期保険金)
会社 役員・従業員 ???? 明文規定なし

 
(※1)この場合、個人側が必ず保険金を受け取るため、税務上は、役員報酬 or 給与となります。個人側では「生命保険料控除」の対象となります。
(※2)福利厚生費にするには、一定の要件を満たす必要があります。(下記4参照)
 
なお、上記のうち、パターン④は、保険商品としての合理性に欠けるため、税務上は否認される恐れがあります。
 
ですので、今回は①~③に限定してまとめます。


 

3. 養老保険の仕訳

パターンごとに、税務上の仕訳をまとめると、以下のようになります。


 

(1) パターン1 死亡保険金・満期保険金とも「会社」が受け取る場合

 

借方 貸方
保険料支払時 保険積立金(※1) 10,000 預金 10,000
満期保険金( or 解約返戻金)受取時 預金 2,500,000 保険積立金 2,200,000
雑収入(※2) 300,000
死亡保険金受取時 満期保険金受取時と同様

 
(※1)全額資産計上。傷害特約などの特約部分の保険料は、経費計上できます。
(※2)「保険積立金」残高と、受取保険金の差額は「雑収入」(or「雑損失」)として、益金(損金)に算入されます。


 

(2) パターン2 死亡保険金、満期保険金とも「従業員等( or 遺族)」が受け取る場合

 

借方 貸方
保険料支払時 役員報酬 or 給料(※1) 10,000 預金 10,000
満期保険金( or 解約返戻金)受取時 仕訳なし(※2)
死亡保険金受取時 仕訳なし(※3)

 
(※1)全額給与等として経費計上。役員の場合は、定期同額給与の規制を受けます。個人側は、所得税課税対象となります。
(※2)会社側の処理は不要ですが、従業員側は、保険金は一時所得( or 雑所得)として、所得税課税対象となります。(詳しくは、コチラをご参照ください。)
(※3)所得税は非課税ですが、「みなし相続財産」として相続税の課税対象となります。


 

(3) パターン3 死亡保険金は従業員等の遺族、満期保険金は会社が受け取る場合

 

借方 貸方
保険料支払時 保険積立金(※1) 5,000 預金 10,000
福利厚生費(※1) 5,000
満期保険金( or 解約返戻金)受取時 預金 2,500,000 保険積立金 1,100,000
雑収入(※2) 1,400,000
死亡保険金受取時 雑損失(※3) 1,100,000 保険積立金 1,100,000

 
(※1)半分資産、半分損金となります。福利厚生費にするためには、一定の要件を満たす必要があります。(下記4参照)
(※2)「保険積立金」残高と、受取保険金の差額は「雑収入」(or「雑損失」)として、益金(損金)に算入されます。
(※3)死亡保険金は役員・従業員の遺族に支払われますので、会社側は「保険積立金」を取り崩し、同額を「雑損失」に計上します。
個人側については、パターン2と同様、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。


 

4. 福利厚生費にするための要件

上記パターン3で、保険料の1/2を「福利厚生費」として損金算入するには、保険の対象者を「全役員・全従業員」にすることが必要となります。
(特定の者だけを対象としている場合は、給与扱いになります)
また、「福利厚生規定等」を整備のうえ、保険金額や退職時の取扱い等を明記し、福利厚生の一環としての保険であることを明確にしておくことが必要です。



 

5. 参照URL

(国税庁 「養老保険の保険料の取り扱い」)

http://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5360.htm

 

<< 前の記事「000」次の記事「確定拠出年金って?企業型DC・個人型DCの違い」 >>