居住者と非居住者
目次
国際税務では、個人の所得税に関しては、「居住者」と「非居住者」の区分が非常に重要となります。
なぜなら、居住者は「居住地国課税」、非居住者は「源泉地国課税」の課税方式となり、課税範囲が大きく異なってくるからです。
(居住者は、さらに「永住者」と「非永住者」に分かれますが、ここでの説明は省略)。
1. 居住者・非居住者とは?
居住者とは? | 日本に「住所」(※1)がある、もしくは1年以上「居所」(※2)を持っている個人 |
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非居住者とは? | 「居住者」以外 |
(※1)「個人の生活の本拠」。生活の中心がどこか?という客観的事実で判定。
(※2)生活の本拠とまでは言えないが、その人が「現実に居住」している場所」
上記のとおり、居住者と非居住者の区分では、「国籍」は全く関係ありません。日本に生活拠点があるかどうかが重要となります。
(イメージ 個人の場合)
2. 住所の推定(所得税法施行令 第14条・第15条)
なお、住所については、下記の条文があります。
国内に住所を有する者と推定(14条) | 国内に住所を有しないものと推定(15条) |
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3. 居住者・非居住者の課税の範囲
居住者、非居住者の「課税範囲」をまとめると、以下の通りとなります。
居住者 | 国内外を問わず、すべての所得に対して課税 「全世界所得課税」 →国外にある不動産の貸付・譲渡による収益などの「国外源泉所得」に対しても日本で課税 |
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非居住者 | 日本国内において生じた所得(国内源泉所得)のみ課税。 →国外源泉所得には課税されない |
例えば、日本での「非居住者」でも、日本国内で発生した所得(国内源泉所得)については、「日本で課税」されるため、日本で申告しなければなりません。
つまり、非居住者であっても、日本での不動産収入や株式配当収入、銀行預金利息などは「日本の課税対象」となります
(「源泉徴収」されるものもあります)。
逆に、非居住者でかつ、「国内源泉所得」がなければ、日本では税金がかかりません。
4. ご参考~非居住者になるには?~
例えば、日本人でも、日本の「非居住者」になることで、税率が安い外国所得のウェイトが多い場合には、日本の「居住者」との比較で、税額が安くなります。
ただし・・そうそう簡単に「非居住者」になれるわけではありません。以下の点ご留意ください。
- 単純に海外に「住民票」をうつしただけでは×です。実質的に生活の本拠が海外にあるような場合でないといけません。
- 滞在日数のみで判断されるわけでありません。外国に1年の半分(183日)以上滞在しても、×の場合があります。
最終的には「実質判断」になりますが、おおむね1年程度海外で過ごしていたり、海外に仕事の拠点を作っている場合には、「非居住者」に認定される場合もありますね!
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