最近は、副業や兼業、フリーランスなど・・1つの会社に縛られない働き方が増えています。
今回は、2か所以上で勤務する場合の、労働保険(労災保険・雇用保険)についてお伝えします。
「労災保険」と「雇用保険」それぞれで取り扱いが異なります。



1. 労働保険の種類・加入義務

(1) 労働保険の種類

労働保険は①労災保険と②雇用保険の2種類から構成されています。
①労災保険は事業主全額負担、②雇用保険は雇用主・従業員それぞれで負担します。

 

(2) 労働保険の加入義務

労働保険は(労災保険・雇用保険共通)、パートアルバイトを含めた労働者を1日・1人でも雇っていれば、業種、規模を問わず、事業主は必ず加入が必要となります(農林水産の事業の一部を除く)。

 

(3) 役員や同居親族は×

法人の役員は加入できません。
また、「個人事業主」、「同居の親族」などの労働基準法上の「労働者」でない方も、原則として加入はできません(勤務実態が他の労働者と同様の場合等、一定要件を満たす場合は加入できる場合あり)。



2. 雇用保険

雇用保険とは、労働者が失業した場合などに必要な給付を行い、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに再就職の援助を行うことなどを目的とした雇用に関する総合的な機能をもった制度です。
雇用保険に加入することで、失業給付金、教育訓練給付金や育児休業給付金、介護休業給付金などがもらえます。

 

(1) 雇用保険の被保険者

雇用保険については、下記要件を満たす場合のみ「被保険者」となります
なお、改正により、現在は65歳以上の方も雇用保険の適用対象となっています(高年齢被保険者)。

週の所定労働時間20時間以上
31日以上の雇用見込み

 

(2) 週20時間以上・31日以上雇用見込みとは?

  • 週20時間は、「通常の勤務時間」を指し、残業等は含まれません
    また、「雇用契約上の勤務時間」での判断となります。
    残業等を含めて20時間になる場合や、繁忙期のみ週20時間以上となる場合でも、「雇用契約上」、20時間未満の場合は、雇用契約への加入はできません。
  • 勤務時間等の変更がある場合は、「雇用契約」の勤務時間が20時間以上に変更された時点で「雇用保険」の対象となります。
  • 原則として、学生は雇用保険に加入できません(夜間、通信教育、定時制の学生、卒業見込みの学生は除く)。
  • 「31日間以上働く見込み」について、現実的に週何日、月何日働かないといけないという要件は特にありません。

 

(3) 2か所以上勤務の場合は?

例えば、複数掛け持ちで仕事をしている場合、複数の勤務先で、上記「雇用保険被保険者」の要件を満たす場合があります。
こういった場合でも、「雇用保険」は、2つの会社で同時に加入することはできません。
原則として、主たる生計を維持する会社(給料の多い方)で加入することとなります。

 

(4) 2か所以上勤務している場合の注意事項

複数で仕事を掛け持ちしている場合は、以下の点に注意が必要です。

① 主たる会社退職時の加入漏れ

主たる会社を退職した場合、「主たる会社を退職した」旨を、他の会社へ知らせないと雇用保険が未加入になってしまいますので、ご注意ください。
さかのぼって加入できるのは2年です。

② 副業がばれる可能性

例えば、A社B社で掛け持ち仕事をしている場合、A社で雇用保険加入済にもかかわらず、B社にその旨をお伝えしなかった場合、B社が雇用保険加入手続(ハローワーク)を進めてしまう可能性があります。
最終的にB社での加入はできませんが、ハローワークからA社に「確認」を行う過程で、A社に副業がばれてしまう可能性があります。

③ 退職時の有休消化中

雇用保険は「2か所同時」に加入できませんので、前職退職前の「有給消化中」は加入できません。
「有休消化中」に、新しい会社に入社する場合は、新しい会社に「有休消化中」である旨をお伝えしておく方がよいと思います。
この場合、一般的に前職退職日が「雇用保険加入日」となります。



3. 労災保険

労災保険制度とは、雇用されている方が、業務中または通勤途中に起因したケガ・病気・障害、あるいは死亡した場合に保険給付を行う制度です。

(1) 労災保険の被保険者

労災保険には「被保険者」という概念がなく、雇用時点ですべての労働者が加入したものとみなされます
つまり、雇用保険のような週20時間などの「加入基準」はありません。

 

(2) 2か所以上勤務の場合は?

労災保険は「強制適用」かつ、「事業所単位」で加入します。
したがって、2か所以上勤務の場合は、事業所単位で加入、つまり複数の勤務先で働いている場合は、複数の勤務先で加入することになります。

なお、副業、兼業する方が多くなっていることを背景に、労災保険法が改正され、2か所以上の企業と契約をしている人の労災給付(休業補償等)は、全就業先の賃金を合算した額に基づいて計算されるようになりました(複数業務要因災害に関する保険給付)



4. 参照URL

厚生労働省 雇用保険制度

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/koyouhoken/index_00003.html

厚生労働省 適用範囲

https://www.mhlw.go.jp/bunya/koyou/koyouhoken/osirase.html