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サラリーマンの夫の扶養に入っている奥様が、パートやアルバイトで働く機会も多いかもしれません。
こういった「扶養に入っている方」のパート収入が「一定の水準」を超えた場合、会社の健康保険(社会保険)の扶養から外れるケースがあります。
扶養から外れた場合は、奥様自身で国民健康保険に加入する必要がありますので、家計への影響も大きくなります。

今回は、会社の「健康保険の扶養から外れるケース」をご紹介し、社会保険上の収入の範囲や判定時期等などを中心にお伝えしていきます。
(今回の論点は、「協会けんぽ」を前提にします。以下、扶養される方を「被扶養者」と略します)

 

1. 扶養から外れるケース

 
健康保険の扶養から外れるケースは、大きく、以下の3つのケースです。

被扶養者の年間収入が増加した場合 被扶養者の年間収入が、一定金額以上(130万円以上など)になる場合。

被扶養者が就職などで社会保険に加入する場合 被扶養者自身が就職したり、現在お勤めの勤務先で、新たに社会保険に加入する場合。
生計維持・同居状態が変わる場合 ● 子供が結婚し、結婚後は、子供の配偶者が主たる生計維持者となる場合。
● 別居となり、仕送りが行われていないなど、現在の被保険者が、主たる生計維持者でなくなった場合。

 
以下、それぞれの内容をお伝えしていきます。
 

2. 被扶養者の年間収入が増加した場合

 

(1) 原則 収入130万円以上で扶養から外れる

「被扶養者」の年間収入が、130万円以上になった場合は、健康保険の扶養から外れます。
(扶養の要件 月額108,333円以下。雇用保険受給者の場合は、日額3,611円以下。)

ただし、以下の例外があります。

60歳以上 or障害厚生年金を受けられる障害者の方 年間収入180万円(月額15万円)以上
19歳以上23歳未満(配偶者や内縁の配偶者除く)の場合 年間収入150万円(月額12.5万円)以上

年齢は、「扶養認定日」の属する年の「12月31日時点」で判定します。学生であるかどうかは問われません。
 

(2) 社会保険上の収入金額とは?

社会保険上(健康保険)の収入金額は、税法上の「所得」とは異なり、税法上は非課税の収入でも「生活維持に充てる継続的なもの」は、収入に含める点が特徴です。
また、社会保険上は、原則として、「所得」ではなく「収入」で判断する点も特徴的です。

ただし、あくまで「恒常的な収入」で判定し、「一時的な収入」は含まれません
「恒常的な収入」を例示すると、以下となります。
 

【恒常的な収入の例】

収入に含まれるもの 摘要
給与収入 非課税の通勤手当が含まれる
年金収入 老齢年金、遺族年金、障害年金、企業年金、確定拠出年金の年金部分など
雇用保険・労災保険給付金 失業手当・傷病、障害・遺族補償給付等
健康保険給付金 傷病手当金・出産手当金等
事業所得・不動産所得 年間売上 - 直接的な必要経費 
⇒ 「経費」の範囲は、税法上の経費よりも狭くなっている点注意。
減価償却費・青色申告控除額・青色専従者給与などは含まれません。
配当収入、利子収入など 継続的に得ている利子収入・配当収入

 
一方で、扶養判定の「収入」には含まれない、「一時的な収入」は、以下の通りです。
 

【一時的な収入の例】

● 保険の満期返戻金・解約返戻金で一括受取のもの(分割して複数年受給するものは除く)(日本年金機構HP)
● 退職金(退職年金は除く)
● 単発の謝礼
● 災害等による補償金・見舞金・保険金等
● 健康保険の出産育児一時金・家族出産育児一時金(一時金のため)
● 不動産譲渡所得・競馬払戻金などの一時所得・宝くじ当選金等(健康保険組合によって異なる)
 

上記の通り、所得税上「非課税」のものでも、社会保険上は「収入」に含まれるものもありますので、所得税とは「全く異なる収入の概念」であることがわかります。
 

(3)  年間収入の判定時期

社会保険被扶養者の要件となる「年間収入130万円」は、過去の収入ではなく、被扶養者に該当する時点以降の「年間の見込収入額」で判定します。
所得税の扶養判定は、過去の暦年(1~12月)所得で判定しますので、収入の集計期間も、社会保険と所得税で大きく異なる)。

 

【2026年4月~改正】

「給与収入」のみを収入源とする方につき、「労働条件通知書や雇用契約書」に記載された時給・所定労働時間等から算出した年間収入が130万円未満であれば、原則として被扶養者として取り扱う形が「明文化」されました。上記の改正により、今後は、残業や休日労働手当など「臨時的な収入」は、扶養認定の収入に含めずに計算ができます

例えば、「雇用契約書」では年間収入130万未満だが、たまたまバイトのシフトが多く、直近3カ月の収入を年収換算すると130万円以上となる場合でも、その収入が「社会通念上相当な範囲」にとどまる場合は、扶養から外れることはなくなります。
 

【扶養者認定の根拠書類の整備】

● 労働条件通知書等、労働契約の内容がわかる書類の添付が必要となります。
● 労働条件通知書等の書面から、臨時的な収入がなかった場合の年間収入の見込額を算定できるようにしておく必要があります。
 

(4)  実務上の判断目安

被扶養者に該当するかどうかの実務上の判定は、各健康保険組合などにゆだねられていますが(健康保険法第39条)、実務上の判定基準を例示します。
給与収入のみを収入源としている方を前提とします)

 

【扶養から外れないケース】

ケース 扶養可否
契約上残業ありだが、残業時間や金額は明示されておらず、残業を除くと年間130万未満 労働契約上計算ができない残業代は、「臨時収入」として年間収入に含めない。
 ⇒ 契約ベースが130万円未満である限り、社会通念上妥当な範囲の残業なら扶養は外れない。
契約上、「交通費支給」「賞与あり」の記載はあるが金額は明示されておらず、当該交通費・賞与を除くと年間130万未満 当該部分は収入に含めず、年間収入130万円未満であれば扶養から外れない。
 ⇒ 結果的に130万円を超えた場合でも、臨時的な収入であり、社会通念上妥当な範囲であれば扶養から外れない
(反復・恒常性があれば×)。
1月~10月末までの給料は300万円。10月末に退職し、11月以降は無職 10月末退職以降、1年間の見込収入はゼロ円のため(130万未満)、退職時点で「扶養」の要件を満たします。
所得税の場合は、1~12月末までの収入300万円で判定するため「扶養」にならない ⇒結論が異なる点、注意
1か月有期雇用契約のみの場合
(更新予定なし・月額20万円)
当該ケースでは、改正後は労働契約書ベースでは、年間日数を見込めないため、扶養から外れることはなくなると思われます
(更新予定がある場合は、改正後も20万円×12ヵ月=240万の収入で判定し、扶養から外れると思われます)。
雇用契約書記載の内容に幅がある場合(〇時間~〇時間、〇時間程度等) 改正後は、契約書ベースでは、年間日数を見込めないため、扶養から外れることはなくなります。

 

【扶養から外れるケース】

ケース 扶養可否
契約上、残業時間や金額は記載されていないが、残業が恒常化して毎年130万円以上 恒常的に年間130万円以上の収入が見込まれるため、扶養者から外れる(労働契約の見直しも必要)。
雇用契約書等がないor正しく更新されておらず、今後1年間の収入見込みが130万円以上 従来どおり「今後1年間の収入見込み」で判断し、扶養から外れる。
 ⇒ 源泉徴収票・直近の給与明細などから今後1年間の収入見込みを1年換算し、130万円未満かどうかを判断
8月末まで無職で収入ゼロ。9月から就職し、毎月20万の給料あり 9月就職以降、1年間の見込収入は240万円のため、扶養から外れる。
所得税の場合は、1~12月末までの収入80万円で判定するため「扶養」 ⇒結論が異なる点、注意
半年後に退職予定(再雇用なし)だが、現在、月額20万もらっている場合 「現時点での契約」で判定。現時点の契約が月額20万円であれば、20万円×12ヵ月=240万の収入で判定し、扶養の要件を満たしません。

 

3.  被扶養者が就職などで社会保険に加入する場合

被扶養者自身が、就職したり、勤務先などで社会保険に加入する場合は、扶養から外れます。
なお、勤務先の会社の従業員数によっては、年収130万ではなく、週の所定労働時間20時間以上などで社会保険に加入義務が生じるケースがあります。

従業員数(※1) 加入要件(すべて満たす場合)
従業員数51人以上
(2027年10月以降 36人以上、
2029年10月以降 21人以上、
2035年10月以降 要件撤廃予定)
週の所定労働時間が20時間以上
● 月額賃金が8.8万円以上(2026年10月以降 廃止)
● 2カ月を超える雇用見込(※2)
● 学生ではない

(※1)従業員数にかかわらず、労使合意の場合は社会保険加入が可能です。
(※2)2ヶ月以内の雇用契約でも、「更新」が明示or同じ事業所で更新実績がある場合は除きます。
 

4. 生計維持・同居状態が変わる場合

(1)被扶養者の範囲

原則として、「日本国内居住者」のみが被扶養者の対象です。
ただし、留学中の学生など「生活の基礎が国内にある」と認められる場合は、「海外居住」でも、被扶養者にできる場合もあります(国内に住民票があるケース)。

また、被扶養者となれる方は、「配偶者」と「3親等内の親族」です。配偶者、子・孫、父母・祖父母、兄弟姉妹、おじ・おば、甥・姪などが含まれます。

なお、税法の扶養判定とは異なり、法律的には親族ではない「内縁関係の配偶者」も被扶養者になれる点が特徴です。
事実婚の確認書類等が求められますが、要件を満たせば、「内縁関係の配偶者の父母及び子」も含まれます
 

(2)親族によって要件が異なる

ただし、親族の種類により、被扶養者の要件として、同居、別居、収入金額の制限が設けられています。
配偶者や子供などに関しては、同居・別居は問いませんが、一定の親族については、原則として「同居」が必要となります。

被扶養者の年間収入要件(130万未満等)など、他の要件を満たしていることを前提に、親族ごとの同居要件をまとめると、以下となります。
 

親族の種類 同居・別居の区分 被扶養者の年収要件
配偶者(内縁関係含む)及び本人の血族の一部(子・孫・父母・祖父母・兄弟) 同居の場合 原則として、被扶養者の年間収入が、被保険者(扶養する側)の年間収入の概ね1/2未満(※)
別居の場合 被扶養者の年間収入が、被保険者からの「仕送り額」よりも少ないこと
上記以外(叔父伯母・配偶者の父母など) 原則 同居が必要 原則として、被扶養者の年間収入が、被保険者の年間収入の概ね1/2未満(※)

別居の場合は、1/2での判断ではなく、「援助額」との比較で判定されるのが一般的です。
「同居」かどうかは、住民票上で判定します。世帯分離されている場合は、住所が同じでも「別居」扱いとされる健保が多いです。

(※)例外的に、被保険者の年間収入を上回らない場合で、被保険者が「生計維持の中心的役割」を果たしている場合は、1/2以上の場合でも認められる場合もあるようです。
 

なお、被扶養者の年齢は、「75歳未満の者」に限られます
(75歳以上になると、後期高齢者医療制度により、ご自身で健康保険に入らなければならないため)

 

5. 扶養を外れた場合の手続は?ばれるのか?

社会保険(健康保険)の被扶養者は、要件を満たさなくなった時点で「資格喪失」となり、勤務先への報告を通じて、(勤務先が)健保組合に異動届を提出する義務があります。
扶養から外れた場合は、ご自身で、国民健康保険に加入する必要があります。

なお、例えば、協会けんぽの場合、少なくとも年1回は、被扶養者の要件を満たしていることを確認していますので、この時点でばれる可能性が高いです。
(現地調査、被扶養者の勤務先からの情報、税務署、市町村からの情報等)
 
扶養を外れた場合、①事実確認日に扶養が取り消されるケースと、②事実発生日に遡って扶養が取り消されるケースがあります。例えば、勤務先の健康保険証で医療機関等で受診していた場合、医療費の追加請求があるケースがあります。被扶養者の認定を取り消されたとしても、強制的に国民健康保険に加入になりますので、自己負担額超えた部分は、後々、国民健康保険で医療費の請求が可能です。
 

6. 扶養から外れた場合の厚生年金への影響は?

社会保険は、大きく、健康保険と厚生年金に区分されますが、今回の論点の「扶養」の概念は、あくまで「健康保険」の論点です。
厚生年金には「扶養」の概念はありません。
ただし、「健康保険の扶養」の要件を満たす場合、配偶者は「第3号被保険者」として「国民年金」の支払が免除される効果があります。

ただし、あくまで当該支払免除は、「配偶者」に限定されています。
例えば、20歳以上のお子様や60歳未満の親などは含まれませんので、たとえ健康保険の扶養に入っている場合でも、ご自身で国民年金を支払わないといけません
(国民年金は20歳以上60歳未満の方のみ。所得・年齢条件を満たせば、免除される場合もあります。)

また、健康保険の扶養要件を満たさなくなった配偶者も同様に、ご自身で国民年金を支払う必要が生じます。

 

7. 参照URL

(従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き)

https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/tekiyo/hihokensha1/20141202.html

(19歳以上23歳未満の方の被扶養者認定における年間収入要件が変わります)

https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2025/202508/0819.html

(令和8年3月9日 労働契約内容による年間収入が基準額未満である場合の被扶養者の認定Q&A)

https://www.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T260310S0010.pdf

 

8. YouTube

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