No272.【国民年金】 加入義務がある人は?支払義務は誰にある?会社員、学生、扶養の配偶者で異なる?/ 世帯主・配偶者の連帯納付義務も解説

国民年金は、自営業者だけが加入するものなので、会社員は加入していない・・と誤解されている方も多いかもしれません。
国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人「全員」に、加入義務があります。
一方で、国民年金の「加入義務」がある方「全員」に、「支払義務」があるわけではありません。働き方や扶養の状況によって、支払しなくて良いケースもあります。
今回は、国民年金の「加入義務」がある方、「支払義務」は誰にあるのか?をお伝えするとともに、世帯主や配偶者などの「連帯納付義務」の範囲についても解説します。
目次
1. 国民年金加入義務・支払義務がある人は?
(1) 加入義務がある方
国民年金は、原則として、日本国内に住む20歳以上60歳未満の方につき、全員に加入義務があります。自営業者、会社員、公務員、学生、無職の人などすべての方が加入対象となります。収入がないからといって「加入義務」がなくなるわけではありません(なお、外国籍の人も原則として加入対象になりますが、社会保障協定や在留状況などによって、例外があります)。
(2) 加入義務と支払義務は異なる
一方で、国民年金に「加入」している人全員が、国民年金保険料を「支払う」わけではありません。「国民年金保険料」を支払う義務がある人は、国民年金加入者のうち、「第1号被保険者」と呼ばれる方のみとなります。
「国民年金加入義務」がある方は、働き方や扶養の状況に応じて、以下の3つに区分され、それぞれで保険料の負担(支払)関係も異なります。
| 区分 | 加入義務がある方 | 保険料負担者 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者 | 自営業者、学生、無職の人、厚生年金に加入していないパート・アルバイトなど | 原則として、国民年金保険料を自分で支払。 |
| 第2号被保険者 | 厚生年金に加入している会社員・公務員など | 勤務先で厚生年金保険料を支払っていれば、国民年金保険料を別途支払う必要なし。 |
| 第3号被保険者 | 第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者 | 本人が厚生年金を支払っていれば、国民年金保険料を別途支払う必要なし。 |
● 会社員等(第2号被保険者)も、厚生年金加入を通じて国民年金に加入しています。給与から徴収される厚生年金保険を支払っていれば、国民年金保険料も支払済の取扱いとなります。
● 会社員等(第2号被保険者)が扶養している配偶者(第3号被保険者)も、本人が厚生年金を支払っていれば、国民年金支払義務はありません。
● 第3号被保険者の対象は、あくまで第2号被保険者に扶養されている配偶者に限定されています。親に扶養されている20歳以上の学生などは、第1号被保険者となり、原則として国民年金支払義務があります。
2. 間違えやすいケース
以下のような場合は、第1号被保険者となりますので、注意が必要です。
(1) 退職した場合
本人が退職した場合は、退職時点で第1号被保険者に変わりますので、退職時に、本人が60歳未満の場合は、国民年金支払義務が生じます。
また、本人が退職した時点で第2号被保険者ではなくなりますので、本人の配偶者も第3号被保険者⇒第1号被保険者に変わります。したがって、本人退職時に配偶者が60歳未満の場合は、その時点から配偶者にも国民年金支払義務が生じます。
(2) 会社員の配偶者の収入が扶養の範囲を超えた場合
会社員の夫に扶養されている妻は第3号被保険者となりますので、妻自身は、ご自身の国民年金保険料の納付は不要です。しかしながら、妻が、夫の扶養の範囲を超えて働く場合は注意が必要です。妻が、妻の勤務先で厚生年金に加入しない場合は第1号被保険者となり、妻自身が国民年金保険料を納める必要があります(勤務先で厚生年金に加入する場合は、第2号被保険者となり、自動的に国民年金保険料も支払うことになります)。
(3) 本人が65歳以上の場合の注意事項
厚生年金に加入する会社員の夫が、65歳以降も引き続き勤務し、かつ、「老齢・退職年金等の受給権」が既に発生している場合は、第2号被保険者にはなれません。
この場合、本人が第2号被保険者の資格を喪失した時点で、配偶者も自動的に第3号被保険者の資格を喪失し、第1号被保険者となります。
したがって、こういったケースで、配偶者が60歳未満の場合は、「国民年金保険」の支払義務が生じます(第1号被保険者)。なお、本人については、65歳のため、国民年金支払義務は生じません。
【国民年金の支払義務 まとめ】
| 支払義務あり(第1号被保険者) | 支払義務なし(第2号・第3号被保険者) |
|---|---|
| 日本国内に住む20歳以上60歳未満の方で以下の方 ● 自営業者、学生、無職の人など ● 会社(厚生年金加入)を退職した方 ● 会社(厚生年金加入)を退職した方の配偶者 ● 会社員の配偶者だが、扶養の範囲を超えて働く方(厚生年金未加入) ● 65歳以上で老齢・退職年金等の受給権があり、引き続き、厚生年金に加入している60歳未満の配偶者。 |
● 20歳未満or60歳以上の方 ● 会社員・公務員等で厚生年金に加入している方 ● 厚生年金加入者に扶養される20歳以上60歳未満の配偶者 ● 法定免除の対象者 |
3. 世帯主・配偶者にも連帯納付義務あり
国民年金については、本人以外の家族にも連帯納付義務が課せられています。例えば20歳以上の学生(第1号被保険者)は、原則として本人に国民年金保険料の支払義務がありますが、学生本人だけではなく、世帯主と配偶者にも連帯納付義務が課せられます(国民年金法第88条)。「連帯納付義務」がある方は、以下となります。
| 本人 | 国民年金保険料の納付義務あり。 |
|---|---|
| 世帯主 | 世帯に属する被保険者の保険料につき、連帯納付義務あり。 |
| 配偶者 | 被保険者である夫または妻の保険料につき、連帯納付義務あり。 |
(※)連帯納付義務とは、保険料が二重に発生するという意味ではなく、本人の保険料につき、世帯主・配偶者も納付責任を負うもの。滞納が続いた場合には、連帯納付義務者にも督促状が送付される。
上記の「連帯納付義務者」は、あくまで「世帯主」と「配偶者」であり、親という規定ではありません。したがって、例えば、「世帯主でない親」の場合は、子どもの国民年金保険料の連帯納付義務はありません。
一方で、世帯主の場合、同じ世帯の子どもが第1号被保険者であれば、たとえ勤務先で厚生年金保険を支払っている場合でも、連帯納付義務を負います。
4. 学生・無職でも支払は必要?(支払が難しい場合の制度)
(1) 保険料免除・納税猶予・学生納付特例
収入のない学生や無職であっても、第1号被保険者に該当すれば、原則として保険料を納める必要があります。ただし、支払が難しい場合は、免除、納税猶予の制度が認められています。以下の通りです。
| 種類 | 内容 | 所得の審査対象 |
|---|---|---|
| 保険料免除 | 所得が一定以下の場合や、失業などの場合に、全額または一部を免除 | 本人・配偶者・世帯主の所得が審査対象。 |
| 納付猶予 | 20歳以上50歳未満で、所得が一定以下の場合に、納付を猶予 | 本人・配偶者の所得が審査対象。世帯主の所得は問わない。 |
| 学生納付特例 | 本人の所得が一定以下の場合に、納付を猶予 | 本人の所得のみが審査対象。 家族の所得は問わない。 |
上記の制度は自動的に適用されるわけではなく、申請・承認を受ける必要があります。また、各制度によって、所得の審査対象の範囲が異なる点に注意が必要です。
(2) 納税免除と納付猶予の違い
上記の①保険料免除と、②納付猶予・学生納付特例(猶予)は、将来の老齢基礎年金の金額に与える影響が異なります。①保険料免除の期間は、老齢基礎年金額に一定割合が反映されますが、②納付猶予・学生納付特例の期間は、追納しない限り老齢基礎年金額には反映されません。
また、一部免除が承認された場合でも、免除されなかった残額を納めない場合は、一部免除が無効となり、老齢基礎年金額に影響があります。
保険料免除、納税猶予、学生納付特例については、NO273で詳しくまとめていますのでご参照ください。
5. 参照URL
20歳到達時の国民年金の手続
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/hatachi-tetsuduki.html
第2号被保険者
https://www.nenkin.go.jp/service/yougo/tagyo/dai2hihokensha.html
年金制度の仕組みと考え方
https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkin_shikumi_002.html
保険料納付義務。免除
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000086593.pdf
3号被保険者の「配偶者が65歳になったとき」の手続き
https://www.nenkin.go.jp/service/kokunen/kanyu/20150119.html
6. Youtube






